麻生太郎自民党副総裁

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 マスコミ各社は早くから高市早苗首相(65)が、今回の内閣改造・党役員人事で政権の骨格を維持する見通しだと報じてきた。その背景には、政権の生みの親である麻生太郎自民党副総裁(86)による“自己保身のための打算”があるという。

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 その日の麻生氏は、皺一つないライトグレーのスーツに光沢を帯びた紫のネクタイという、いつも以上に行き届いた装いだった。8月25日、高市首相から就任後初めて二人きりでの昼食会に招かれたのだ。政治部記者の声がけには一瞥(いちべつ)をくれたのみで、表情を緩めもせず、昼食会場となる首相官邸の奥に消えたのである。

麻生太郎自民党副総裁

 政治部デスクが言う。

「今回は首相にとって2月の総選挙大勝後、初の本格的な人事です。当然、自身のカラーを強く打ち出そうとした。首相は読売新聞のインタビューで党所属の議員に希望の役職についてアンケートを実施し、その回答を踏まえた上で能力・適性も見極め、人事を決める考えを示していました」

“あいつだけは頼む”

 最大の焦点は鈴木俊一幹事長(73)の処遇だった。

「首相は昨年の総裁選で支援を受けた麻生氏の求めで、義弟である鈴木氏の幹事長就任を受け入れざるを得ませんでした。しかし、鈴木氏は党内外にパイプがなく、幹事長として力量不足。首相も鈴木氏を軽視し、年明けの解散についても相談しなかった。幹事長交代説が浮上した理由です」(前出のデスク)

 しかし、これに黙っていなかったのが麻生氏だ。

高市早苗首相

「麻生氏は首相との50分にわたる件の昼食会で、“あいつだけは頼む”と鈴木氏の留任を最優先で要求したといいます」(同)

 その昼食会の9日後、9月3日付の読売新聞が〈鈴木幹事長続投へ〉と報道し、各社も追随した。さらに両者は9月に入ってからも9日、10日と立て続けに官邸で面会。いずれも人事に関する相談をしたものとみられたが、案の定、

「高市首相は麻生氏にかなり配慮して人事案を練ることになりました。党内基盤が脆弱(ぜいじゃく)な首相にとって、唯一の派閥を率いる麻生氏が最大の後ろ盾だと示した形です」

 とは、政治ジャーナリストの青山和弘氏だ。

遅れてきた春

「首相もこの1年の紆余曲折の中で麻生氏の力を実感したはずです。良い例が、党内でも反対が根強かった消費減税を巡る一件でしょう。総務会も紛糾することなく、食料品の消費税率を1%にする基本方針案を全会一致で了承できた。これは、財務相経験者で財政規律を重視する立場の麻生氏が事前に了承してくれたため。麻生氏が重しとなって、党内をまとめられたのです」(青山氏)

 もはや、麻生氏の意向に正面から異を唱えられる者は党内にほぼいないようだ。

「麻生氏は首相在任中、当時の麻生派が少数派閥だったせいで、政権運営に苦労しました。そんな麻生氏にとって、今はまさに権勢の絶頂。鈴木氏の留任が決まった際は、ご満悦な様子だったといいます」(同)

 首相は来年秋の総裁選を無風で乗り切るべく、引き続き政権内に総裁候補を取り込んだが、

「麻生氏も遅れてきたわが世の春を謳歌(おうか)すべく現体制を維持するため、総裁選は無風でいきたい。いずれ長男に党内の公選を経ずして福岡の地盤を譲る考えとも。今回の人事で、そうした野望もかないそうな見通しです」(前出のデスク)

 ボス猿の交代は当面の間、起こりそうもない。

「週刊新潮」2026年9月24日・10月1日号 掲載