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「出産に伴う退職」から「落ち着いてからの再就職」までには、知っておくべき2つの重要ステップがあります。1つ目は、失業給付の「受給期間延長」の仕組み。2つ目は、パート再就職で誰もが悩む「年収の壁」を突破し、確実に収入を増やしていく働き方の工夫です。本記事では、『いちからわかる! 新米ママとパパのためのお金入門 2026-2027年最新版』(インプレス)より、出産後の就業ブランクの不安を解消し、損せず自分らしく働くための知識をお届けします。

出産時に退職したら「失業給付の期間延長手続き」を

退職後、失業給付は通常1年以内の受給期間を最長4年に延ばせる

妊娠・出産をきっかけに仕事を辞め、落ち着いたら再就職を、と考えているママもいるでしょう。そうしたママは手続きをすれば、子育てが一段落してから失業給付を受け取れる「受給期間の延長」の制度を利用しましょう。

「失業給付(基本手当)」とは、退職後に再就職を目指す人が求職活動をしている間、雇用保険から支給される生活支援のお金のこと。在職中の賃金のおよそ50~80%が求職期間中に支給されます。たとえば、日給1万円なら約6200円が目安です。本来は退職の翌日から1年以内にもらい終える必要がありますが、妊娠・出産が理由の退職の場合、最長3年間受給延長できる特例措置の対象となります。つまり、退職から最長4年以内であれば、失業給付を受け取りながら、求職活動ができるのです。

また、失業給付の支給までに、自己都合退職では7日間の待期期間に加えて1カ月の給付制限期間がありますが、妊娠・出産が理由の人は給付制限がなく、7日間の待期期間だけで支給対象になります。

失業給付の受給期間延長の条件は、雇用保険に一定期間加入したうえで退職し、産後に再就職を希望する人。手続は2段階で、まず退職翌日から30日経過後、できるだけ早めに(原則として1カ月以内)「延長の申請」を行います。産後すぐでママの体調がすぐれない場合、パパが代理で手続きすることもできます。その後、求職活動を始めるタイミングで「延長の解除と給付の申請」をします。

[図表1]通常1年以内の受給期間を最長4年に延ばせる 出所:『いちからわかる! 新米ママとパパのためのお金入門 2026-2027年最新版』(インプレス)より抜粋

手続きをしておけば、子育てが一段落してから求職する際の助けになります。

雇用保険の受給有無で使える「職業訓練制度」は異なる

再就職を考えるとき、「子育て中のブランクが気になって、自信を持って応募できない」というママもいるかもしれません。そんなときに活用したいのが、ハローワークが提供する職業訓練制度。厚生労働省が運営するこの公的制度は2種類あり、まず「公共職業訓練」は失業給付の受給資格がある人が対象。3カ月~2年の訓練期間で、ITや事務、ものづくりなど幅広いコースがあり、ITパスポート、宅建などの国家資格を目指すコースもあります。失業給付受給中の受講なら、給付期間終了後も継続して失業給付を受給できるのもメリットです。

もう一方の「求職者支援訓練」は、専業主婦や雇用保険に加入していない人も利用できる制度。「基礎コース」とより専門的な「実践コース」があり、パソコン操作から職業体験まで幅広く学べます。条件を満たせば、訓練期間中に月10万円の「職業訓練受講給付金」が支給される場合もあります。

申し込みは管轄のハローワークで行います。「まず何ができるか相談したい」という段階で窓口を訪ねてみるのもおすすめです。

[図表2]職業訓練制度は雇用保険の受給有無で分けられる 出所:『いちからわかる! 新米ママとパパのためのお金入門 2026-2027年最新版』(インプレス)より抜粋

「年収の壁」と働き方のコツ

3種類に分けられる「年収の壁」

子育てが少し落ち着くと、「そろそろパートで働きたい」「もう少し勤務時間を増やしたい」と考えるタイミングもあるでしょう。特に、子どもが幼稚園や小学校に通い始めたタイミングで、働き方を見直す人は少なくありません。そんなときによく耳にするのが、「年収の壁」という言葉です。

年収の壁とは、働いて得る収入が一定額を超えることで、手取りや扶養の扱いが変わる目安のこと。「収入が増えたはずなのに、思ったほど手取りが増えない」ということがあるため、働く時間を調整する人も少なくありません。

図表3のように年収の壁は大きく3つに分けられます。1つめは、本人が支払う「税金」の壁(1)。住民税が年収110
万円、所得税は年収178万円を超えるとおおむね負担が生じます。

2つめは、本人が加入する「社会保険」の壁(2)。勤務先の従業員数が51人以上の企業では年収106万円(※)、50人以下の企業では年収130万円が加入の目安。

※106万円(月額8.8万円)の賃金要件は2026年10月に撤廃予定

そして3つめが、扶養する側(配偶者)の税負担に関わる「配偶者控除・配偶者特別控除」の壁です(3)。扶養される側の年収136万円から控除額が段階的に減り始め、169万円、最終的に207万円で控除がなくなります。配偶者控除なら、税率10%の人で約3.8万円が節税されて手取りが増えます。

[図表3]「年収の壁」の仕組み 出所:『いちからわかる! 新米ママとパパのためのお金入門 2026-2027年最新版』(インプレス)より抜粋

本人の手取りを大きく減らすのは「社会保険の壁」

このうち、本人の手取りへの影響が最も大きいのが2の社会保険の壁です。年収がこの目安を超えると、本人の収入から新たに社会保険料が引かれるようになるため、手取りが一時的に大きく減ります(図表4参照)。

たとえば、年収130万円で社会保険に加入した場合、手取りはいったん壁を超える前(年収129万円時点)より少なくなりますが、そこからさらに160万円前後まで働けば、壁を超える前の手取り水準まで回復します。こうした「働き損」といわれる逆転状態が起こるのは、社会保険の壁を超えたときだけ。手取りを回復した後は、壁を超えて働いた分だけ手取りが着実に増えていきます。

このように、単に所得税だけでなく、住民税や社会保険も考慮し、働き方を考える必要がありますが、壁を超えて働くことでのメリットもあります。特に社会保険(厚生年金+健康保険)への加入は、手取り減で一見、損に見えますが、老後の年金受給額は大きく増えることになります。「壁を超えないほうが得」と決めつけず、今の手取り、働ける時間、家族の生活、将来の安心などを合わせて、総合的に納得できる働き方を選びましょう。

[図表4]「年収の壁」による手取りの変化イメージ 出所:『いちからわかる! 新米ママとパパのためのお金入門 2026-2027年最新版』(インプレス)より抜粋

「働き損」と感じてしまうのは、社会保険の壁を超えた一時的な現象。そこを乗り越えれば、あとは働いた分だけ手取りが着実に増えていきます!