岩手の農業資材メーカー、NYの人気店でバッグ販売へ…昨年届いたメール「迷惑メールと思った」
創立60年の農業資材メーカー「北日本製袋」(岩手県矢巾町)が手がけるバッグブランド「COME SACK(カムサック)」が、11月から米ニューヨーク(NY)でバッグ販売に挑戦する。
常設販売が県内にとどまる段階でつかんだチャンスに、北條正憲社長(43)は「世界にカムサックを知ってもらえる機会にしたい」と意気込んでいる。(小林晴紀)
設備を再利用
もともと米麦の運搬に使う樹脂袋を主に製造する資材メーカー。しかし袋の素材が紙やプラスチックに移行するなどして、数十年前から需要が減少。同社も紙製などに転換したが、樹脂袋の円形織機などを持つ工場は残ったままだった。
「会社を支えてきた機械を未来に残したい」。機械の活用策を模索する中、たどり着いたのがバッグ製作だった。北條社長は「農業資材の会社がアパレル業界に挑戦するなら、通常は設備投資が必要。でもバッグなら、これまでの織機を使えるため追加投資なしで始められた」と振り返る。
米国店の共感
同社は2023年、カムサックの販売を開始。24年には人気セレクトショップ「ビームス」(東京都)とのコラボにも成功した。
NY展開のきっかけは、昨年11月に届いた「御社と何かできないか」という1通のメールだった。送り主は、文化や流行の発信地・NY市のソーホー地区にある人気セレクトショップ「Flying Solo(フライング ソロ)」(FS)の担当者。古くからの織機を活用した商品製造を知り、サステナビリティー(持続可能性)の考えに共感して声をかけたとみられる。
NYに広めたい
「迷惑メールと思い、しばらく放置していた」と話すのは、松田満常務(47)だ。だが、メールはほぼ同じ内容で毎月届き続け、今年5月に「本物らしい」と気付き、出品の準備を進め、11月から約4か月間の販売が決まった。
FSでの販売は、目の肥えた消費者だけでなく、ファッション業界のバイヤーやデザイナーの目に触れる可能性も高い。北條社長は「どんな反応があるか楽しみ。カラフルなカムサックでNYの街を彩りたい」と期待している。
盛岡で期間限定店…来月から
「NYでの販売を前に岩手の皆さんに手にとってもらいたい」と、北日本製袋は今秋、「COME SACK」初の期間限定店舗を盛岡駅ビル「フェザン」に開く。期間は10月21日~11月1日。
店舗では、約15種類のカムサックや、米を原料の一部に使用した合成皮革「ライスレザー」を使った新作バッグなどが購入できる。北條社長は「私たちは米と袋にずっと携わってきた会社。『COME SACK』はもちろん、お米の魅力をより知ってもらえる機会にしたい」と話している。
