[9.23 アジア大会GL第3節 日本 3-0 タイ 豊田ス]

 3試合連続ゴールを生んだのは、決定機を逃さない動きだった。U-21日本代表MF石井久継(湘南)は後半3分にチームの3点目を決め、初戦の香港戦、第2戦のキルギス戦に続いて得点を記録した。

 ゴールを生んだのは、湘南でともにプレーするFW石橋瀬凪との連係だ。左サイドの石橋にボールが入ると、相手の最終ライン上に立つ石井が両手を上げ、手で方向を示してパスを要求。浮き球のパスを受けると、あえて大きめにトラップして相手を引きつけた。右足で打つと見せてブロックを誘い、切り返しでかわす。最後は左足のシュートを相手の股下に通し、ゴール右隅へ流し込んだ。

 味方の次のプレーを読み、好機に入り込む動きは序盤から際立っていた。前半10分にはDF森壮一朗の突破に合わせてゴール前へ入り、折り返しを左足で捉えたシュートが右ポストを直撃。同13分にはFW古谷柊介からMF中島洋太朗へパスが渡る間にPAに近づき、フリーで速いグラウンダーのクロスを受けた。右足のシュートはブロックされたが、味方の動きと自身が入るべき場所を捉え、攻撃を滞らせずに決定機を作り続けた。その積み重ねが、後半の一撃に結びついた。

 守備でも前線からプレスを仕掛け、背後にパスを通されれば素早く戻って相手を追い詰めた。攻守で動きを止めなかった石井は、得点直後の後半10分に交代。日本は3-0で勝利し、3戦全勝、12得点無失点でグループリーグを首位通過した。

 石井のゴールの1分前には、湘南U-18時代をともに過ごしたDF小杉啓太(フランクフルト)も得点を決めた。石井は中学時代から小杉のプレーを見てきた。「啓太は中学校の時からすごくて、自分からしたら憧れるというか。中3の時にユースの試合に何試合か出ていたし、ずっとすごいという目で見ていた」。現在の姿には「海外に行って成長したというよりも、より磨きがかかった」と感じている。

 特に信頼を寄せるのは対人守備だ。「対人が強いので、100%くらい負けないし、見ていて安心感がある」。スピードや相手との距離の取り方にも成長を感じるという。この日の左サイドでは、小杉が立ち位置を変えながら石橋の攻撃を支えた。石井は「相手から見ていたら、守備はもちろんだけど、攻撃の面でもすごくマークしにくかったと思う。それを自然にやっているのがすごい」と称賛した。

湘南出身トリオが左サイドを席巻

湘南サポーターも観戦

 3人のつながりはピッチの外にもある。試合前、石井は小杉、石橋の湘南トリオでスタンドへ向かっていた。「僕の家族と、お世話になったコーチとか、全部で10人行かないくらいなんですけど、固まって見ていたので。啓太も瀬凪も僕のお母さんを知っているんで、久しぶりに会いたいということで、一緒に行きました」。家族とも顔なじみの仲間が同じピッチの左サイドに揃い、小杉の得点に続いて、石橋のパスから石井がゴールを決めた。

 背番号10に込められた期待にも応えようとしている。以前、13番や14番をつけていた頃から「自分が点を決めてチームを引っ張っていきたいという気持ちでやっていた」と振り返る。「期待も感じているし、だからこそ恩返しをしたい。自分のゴールで、このチームが優勝して、恩返しをすることに今は集中できている」。10番を託された今は、その思いがさらに強まっていた。

 3戦全勝でグループリーグを終え、26日の準々決勝では北朝鮮と対戦する。石井は「すごく硬い試合になるのは想像している」と警戒。「難しい時間帯に点が取れるように、心と身体の準備をしていきたい」と、次の一戦を見据えた。


(取材・文 石川祐介)