【独自分析】北朝鮮“海軍強化の実態” 衛星写真から見る急速な増強 専門家「ロシアの技術支援があったと見るべき」 日本への脅威は……【バンキシャ!】
北朝鮮は、核弾頭を搭載したミサイルの発射が可能とされる「新型駆逐艦」の就役式を行ったと明らかにした。この規模の駆逐艦が日本海側に配備されるのは今回が初めて。バンキシャは、北朝鮮内部を撮影した複数の衛星写真を独自入手した。いま、急速に“海軍力”の強化を図る北朝鮮。写真を分析して見えてきたのは--。
■海軍の核武装語る金総書記

9月、北朝鮮の国営テレビで放送された特別番組。朝日をあびる一隻の艦艇の映像から始まった。壮大な音楽とともに、北朝鮮の新型駆逐艦、姜健(カンゴン)の就役式の様子が伝えられた。
日本海側に配備されたこの駆逐艦。核弾頭を搭載したミサイルが発射可能とされている。この式典に、ジュエ氏とされる娘と出席した、金正恩総書記。海軍の核武装について、その重要性を力強く語った。
金正恩総書記「核戦闘システムの多角的かつ、効果的な運用を実用化しなければならない。我々は海軍の武力強化のため現在、重要な計画を実行中である」
■衛星写真を独自入手“海軍強化の実態”を探る

いま、急速に“海軍の強化”を図っている北朝鮮。11日、小泉進次郎防衛相はこう述べた。
小泉防衛相「こうした北朝鮮の軍事動向は、我が国の安全保障にとって、従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威となっていると認識しています」
■分析“海軍力強化”の拠点には

バンキシャ!は、“海軍強化の実態”を探るため、複数の衛星写真を独自入手。そこから見えたのは。さらに、判明した日本への脅威とは--。
今回、バンキシャ!が独自に入手したのは、今年7月に、首都・平壌からほど近い南浦(ナンポ)という港町を撮影した衛星写真。

記者「大きな船が映っています。先がとがっていて。装備が色々積んであるように見えます」
この船は何なのか? 長さを測ってみると…145メートルあまり。その大きさや、後部の白いマークなどの特徴から、北朝鮮で最初に就役した駆逐艦、「崔賢(チェヒョン)」とみられることがわかった。
■「駆逐艦を建造する拠点」

米国のシンクタンクなどによると、駆逐艦のチェヒョンは、核弾頭を搭載したミサイルの発射が可能とされていて、最新鋭のレーダーなどが搭載されているという。
今年2月、同じ南浦市の別の場所で「チェヒョン」を捉えた写真を見ると--。
記者「近くには黄色いクレーン、緑の屋根の長い建物があります」
専門家は、ここが駆逐艦を建造する拠点だと指摘する。
安全保障ジャーナリスト・吉永ケンジ氏
「緑の屋根の建屋は駆逐艦建造の専用の工場になっていると思います」

建物をよく見ると、白い壁に赤のラインが入っているのがわかる。
2025年、北朝鮮にとって3隻目となる駆逐艦の建造開始のとき行われた決起集会の様子。そばにある建物の壁には、写真と同じように赤いライン。黄色のクレーンも確認できる。
■1年3か月の間に、造船所の建設から駆逐艦の建造まで

ではこの建物は、いつできたものなのか。2024年3月に撮影されたこの場所の衛星写真。このとき、建造が行われているとみられる緑の屋根の建物はまだない。
しかし、1年3か月後の2025年6月になると、建物が完成している。他にも岸壁や周囲の施設の整備も進んでいる。
チェヒョンとみられる駆逐艦が海上にあることから、少なくとも1年3か月の間に、造船所の建設から駆逐艦の建造までを済ませた可能性がある。
■「ロシアからの技術支援なり技術指導が」

最新鋭の装備も搭載された駆逐艦を、なぜここまで早く建造することができたのか。
吉永ケンジ氏「西側の最新鋭の船と変わらないようなものをつくるのには相当飛躍がありますので、おそらくロシアからの技術支援なり技術指導なりがあった、そう見るべきだと思います」
ウクライナとの戦闘に派兵するなど、軍事的な協力を深めている北朝鮮とロシア。海軍力の増強の面でも、ロシアが支援しているのではと指摘した。
■日本海側の港町でも

次に入手したのは、日本海側の港町、新浦(シンポ)を撮影した衛星写真。一見、軍事施設はないように見えるが、ここは--?
吉永ケンジ氏「潜水艦の建造工場になります」
2025年12月、金総書記が『原子力潜水艦』の建造現場とされる場所を視察した際の写真では、屋根にある窓の特徴が、衛星写真と同じように見える。
■背後にロシアの影

この原子力潜水艦も、背後にロシアの影があると専門家は指摘する。
吉永ケンジ氏「この正面に丸く見えるものが合計6つあります、これは非常に特徴的な形になります」
先端の丸い部分は、魚雷を発射するためのものだという。この『魚雷発射管』は、国によって位置が違うというが……ロシアの潜水艦と比較してみると、位置や形状がよく似ている。
吉永ケンジ氏「形状から見てロシア海軍の技術を相当に使った、もしくは技術指導をしてこの潜水艦を建造したというのが、ここからもうかがえると思います」

潜水艦を造っているとみられる施設から1.6キロほど南に行ったエリア。この写真は、今年7月末に撮影されたもの。山が削られていることや、その形などから専門家はこう話す。
吉永ケンジ氏「おそらく将来的には、先ほどの原子力潜水艦を通常はここに格納しておく、そのための施設をつくっているとみられます。通常陸地にいるときはこの中に収めるような形で、日本やアメリカからの衛星での探知を防ぐ、そういうための施設だと考えられます」
■“海軍強化の拠点”を地図上に表すと…

ロシアからの技術支援のもと、海軍力の増強を着々と進めているとみられる北朝鮮。バンキシャ!の取材で見えてきた、“海軍強化の拠点”を地図上に表すと……。
記者「日本海側に集まっているように見えます」
駆逐艦が建造されているとみられる建物に、原子力潜水艦の建造施設。さらに、海軍が今後拠点とするとみられる港なども日本海側に。専門家は、駆逐艦などの建造は今後も拡大していくとした上で、日本への影響をこう分析する。
吉永ケンジ氏「(金総書記が)『北朝鮮の海軍の艦隊が太平洋まで出ていくんだ』と言っていますので、場所から考えると、北海道と青森の間の津軽海峡、そういうところを北朝鮮の軍艦が堂々と通っていく、そのようなやっぱり絵柄が出てきますと、国民生活にとってもやはり緊張度が高まる、軍事的な脅威であるということが映ってくる、というような影響があると思います」
(9月13日放送『真相報道バンキシャ!』を再構成)