この関わりで「愛着障害」が治せます! 専門家が教える最も基本的&効果的なサポート法
「暴言、暴力をくりかえす」「構うと要求がエスカレート」「注意すると逆ギレ」「褒めたのに怒る」そんな手ごわい“不適切行動”をする子が激増している。その原因が「愛着障害」にあることをいち早く指摘したのが、米澤好史氏だった。わかりにくい「愛着」の概念から、独自の愛着障害論、そして効果的な支援の方法まで、渾身の力で書き切った新刊『愛着障害スペクトラム こどもの気持ち&支援スキル大全』より見どころを抜粋して紹介する。
感情に名前をつけて明確化
愛着障害を抱えたこどもは、愛情を注がれても受け止め方を知らず、一瞬の快さは感じても、わいてきた気持ちが何であるかはわかっていません。この支援では、キーパーソンとのかかわりのなかでわいた感情を、こどもに代わって大人が言語化して教えます。そのようにして「感情学習」を進め、愛情を受け止める器をつくるのです。
キーパーソンは、こどもがいま感じた気持ちを見抜き、即座に言語化します。これは普段のあらゆる生活場面で心がけたいかかわりですが、必ず「いい気持ち」をラベリングしてください。
とくに支援の初期には、嫌な気持ちをラベリングすると、その気持ちが膨れ上がり不適切行動を誘発します。ですので、嫌な気持ちはラベリングしません。あるいは、支援が進み、こどもの成長が見られた頃にごく軽くラベリングする程度にとどめます。
いつも「同じ」伝え方でくり返し提示する
相手に的確に気持ちを代弁されると、誰でも〈この人は自分をわかってくれている〉と感じます。「いい気持ち」を言い当てる人には、他の人にはない特別な「つながり」すら感じるはずです。こどもも同じように感じます。だから根気強くラベリングを続けることで、キーパーソンは安心基地、ひいては安全基地になれるのです。
大切なのは毎回同じ表現で伝えることで、そのようにして「気持ち」と「名称」がぴったり一致するように導いてあげてください。また、高学年や愛着障害が強いこどもは、はっきりと言いすぎると受け入れないケースが多いので、たとえば「いまの気持ちはいい感じかな~」などと、やんわり・さりげなく伝えます。
上手に感情のラベリングをするコツ
ときに感情のラベリングがうまくできない、という相談をいただくことがあります。たとえば私の講演会に参加した方から、あるときこんな意見が寄せられました。
①「活動の後はこちらもヘトヘトです。こころから『いい気持ちだよね』と言えません。何と言えばいいかわからなくなることもあります」
②「こどもに無視されたり、『違う!』と反発されたりするので、挫けそうになります」
私は次のような方法をおすすめしています。
まず①については、セリフを決めておくといいでしょう。あらかじめ「私と〇〇したら、いい気分になるよね」「先生と××すると気が晴れるよね」などの定型文を用意しておき、棒読みでもいいからとにかくすぐ言うのです。
内心では〈うんざり〉したままで構いません。セリフだと思って口にしましょう。こどもの気持ちにラベリングする(名付ける)ことができればいいのです。「親の務め」「仕事の一環」だと考えて、あと少しだけ頑張ってみてください。
次に②のように、大人のラベリングを、こどもが受け入れないときにどうするか、ですが、そもそも少々の否定や反発は「想定内」と心得て支援を継続するのが基本です。続ければ必ず、ラベリングはこどもに浸透していきます。苦労はよく理解できますが、簡単にあきらめることなく、気持ちを落ち着けてもう一度やってみてください。
それでもなお、こどもの否定・反発が続くときは、興奮や高揚などの「強すぎる感情」をラベリングしてはいないか、振り返ってみましょう。不適切行動は強すぎる感情によっても起こります。ポジティブであっても、強すぎる感情をラベリングするのを控えることで、反発を予防できるかもしれません(なお、ネガティブな感情をラベリングしてはいけないのは、すでに記したとおりです)。
否定しづらい言葉を選んでラベリングする方法もあります。「先生と〇〇すると落ち着くよね」と言うのを決まり文句にするのもいいでしょう。「楽しい」などのラベリングは、こどもも「そうじゃない!」と否定しやすいものです。しかし「落ち着く」であれば、否定や反発は起こりにくく、大人もこころにゆとりができるはずです。
