2019年に炎上した『法政大学の入学式、第一志望の新入生0人説を検証!』(wakatte.TVより)

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 福島大学をめぐる発言で炎上した「wakatte.TV」。出演者の高田ふーみん=高田史拓氏と、びーやま=山火武氏はいずれも武田塾の教務で、高田氏は運営会社である株式会社A.verの取締役でもある。動画の末尾には武田塾とは無関係である旨のテロップが流れるが、それを額面通りに受け取る視聴者は多くない。

【写真を見る】卒業証書の上に座り込む高田氏、中森さんが運営する「すごい塾」

 2006年の入社以来、教務主任、教務部長を経て2022年に武田塾塾長に就任し、同年に独立して現在は「すごい塾」を運営する中森泰樹さんは、両氏をごく初期から知っているという。前編に続き、武田塾内部から見たwakatte.TVの位置づけを聞いた。【前後編の後編。前編から読む】

危ういとは思っていた

 立ち上がった2017年当時、武田塾の内部でこのチャンネルはどう受け止められていたのか。

「正直、私自身は本当にまったく関わっていなくて、ほとんどの人が知らなかったと思います。たまに、よくも悪くも話題になった時に話を聞くぐらいでした」

 wakatte.TVが初めて経験した大きな炎上は、2019年に公開された『法政大学の入学式、第一志望の新入生0人説を検証!』という動画だ。当時、懸念はなかったのか。

「私自身、その動画を詳しく見ていたわけではありません。ただ、タイトルを見て『すごいタイトルだな』とは当時正直思いました。

危ういなとは思いつつ、そういうものなのかな、自分が口出しするのも違うのかな、という感じでした」

 中森さん自身は危うさを感じながらも、チャンネルや動画自体の差し止めに至ることはなかった。

偏差値は絶対的なものではない

 今回の炎上では、偏差値で大学を序列化するエンタメのあり方自体への批判も噴出した。

「偏差値ってすごく分かりやすい指標だと思うんですよね。数字なので誰でも分かるし、語りやすい。ただ、大学の価値ってそこだけではなくて、やっているのは研究なので。偏差値だけでは分かることが少ないよね、とはすごく感じていますね」

 チャンネルのファンの中には「学歴至上主義を煽る発信が受験生の発破になっている」という擁護論もある。中森さんは、その一定の効果を認めつつも、偏差値を絶対視することの危険性も指摘した。

「入り口として、全然学校を知らないとか、まだ勉強をやる気がないという子たちに火をつける要素として、学歴の話や偏差値の話は意味があると思います。特に武田塾のような逆転合格を掲げる塾だとすごく大きな要素だと思うんですよね。

 でも実際に関わっていくと、指導の中で偏差値が出てくる場面ってほとんどないんです。過去問や問題集を解いて、その手応えで今の自分との距離が分かってくるので。分かりやすさが秀でているだけで、絶対的なものではないよなと思いますね」

 一方で、中森さんはwakatte.TVだからこそできている意義ある活動もあるという。

「彼らが現地に直接行って、キャンパスや通っている学生を見られるというのは、すごく意味のあることなんじゃないかなと。ほとんどの学生は地方のキャンパスを見たことがないので。選択肢を増やせるのは、本当に大事だと思っていて。

 今回の件を受けて、こういう研究をしていて、こういう先生がいて、というのが伝えられる番組になってくれればいいなと思いますね」

学歴ではなく「行間」が問われる

 中森さんは武田塾で「参考書ルート」の制作に携わり、全国一律の指導法を確立することに尽力した。だが、今は違った形での教育を目指しているという。

「『すごい塾』では参考書や指導法を含め、全部オーダーメイドでやっているんです。その中で、世の中の職業や大学の研究まで、いろんな話をするんです。いわば、『補助輪のような教育』をしている感覚というのかな」

 古巣の武田塾から離れ、新たな教育の道を進んでいる中森さん。今回の炎上で、「学歴」というテーマについての議論が活発化したが、改めて「学歴」という概念についてはどのように考えているのか。

「今の学歴って、ほぼほぼ学校歴の話なんですね。どこに入ってどこを出たか、という話じゃないですか。でも、ここから先に求められるのは、その中で何をしたのかという『行間』の話だと思うんです。大学の4年間であなたは何をしたんですか、と」

 最後に、中森さんがかつての同僚たちに伝えたいことを問うた。

「反省すべきところは反省してもらって。でも、彼らはすごく魅力的な人間だと思うので、改めて自分たちらしさを出して頑張ってほしいなというところですかね。

 彼らぐらい力があれば、あまり過激なことを言わなくても、いろんな人を動かせる力を持っていると思います。投稿前にリーガルチェックを入れるなどして、傷ついたり悲しんだりする人が出ないような番組作りをしていってほしいですね」

 果たして、wakkate.TVは今後どうなってくのか。「学歴」という一大テーマを考える上でも、彼らの影響力は無視できないだろう───。

(後編了。前編から読む)