銃器が身近にあるタイでは、一般人・観光客向けにも警察や軍隊の射撃場が開放されている(筆者撮影)

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9日、タイ東部チョンブリー県の市立幼稚園で銃撃事件が発生した。タイ警察の発表では、女性教諭1人が死亡。そのほかの教諭3人、職員3人、園児44人にケガはなかった。

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9日、タイ東部チョンブリー県の市立幼稚園で銃撃事件が発生した。タイ警察の発表では、女性教諭1人が死亡。そのほかの教諭3人、職員3人、園児44人にケガはなかった。

事件発生直後に地元警察および関係機関が現場に駆けつけ、捜査と事態収拾にあたったものの、容疑者は自宅に逃走し立てこもった。容疑者は警察中尉で、死亡した女性は容疑者の妻(報道によっては内縁の妻)。翌朝6時20分ごろ、同じく警察官である容疑者の息子による説得に応じて投降した。動機などは発表されていない。

タイでは今年8月より相次いで教育施設での銃撃事件が発生している。8月7日10時ごろ、バンコク都と北西部で隣接するノンタブリー県内の学校で、同校男子生徒(14歳)が校内で拳銃を発砲。銃器は同居の祖父が所有していたものとみられる。

この事件では、校内で自殺した容疑者と、登校前に自宅で射殺していた容疑者の祖父母を含め教員や生徒ら9人が死亡した。9月2日にはタイ北部の学校で同じく14歳少年が、うつ状態で休学中だったが校内に侵入し、発砲。ただし、この事件では死傷者はなかった。

タイの民間保有銃数はフィリピンの2.7倍以上

ノンタブリー県内の学校内銃撃事件では同日中に、アヌティン・チャーンウィーラクン首相兼内務大臣が事件現場を視察。現場ですぐさまタイ全土で銃器の検問・取り締まり強化をするよう指示した。実際にその後、銃器の取り締まり、既存の登録銃の再確認、法令の改正案の議論や許可証発給一時停止などが行われている。しかし、わずか1カ月後に取り締まる側の警察官による事件が発生してしまった。

タイは軍人や警察官だけでなく、一般人も銃器購入・所有が可能だ。ただし、ここ数年で規制はすでにかなり厳しくなっていたので、一定以上の定期収入がある、親族や友人などの人間関係確認、精神鑑定などが行われた上でしか購入はできない。

とはいえ、スイスに拠点を置く「スモール・アームズ・サーベイ(SAS)」が2017年に実施した調査では、タイの民間人保有銃は約1030万丁と推計され、世界で13番目に一般社会に銃器が多い国とされた。ASEAN内では2番目に多いフィリピンよりも2.7倍以上の数で、人口比率では国民100人あたりフィリピン約3.6丁、タイは15.1丁にもなる。

 ただし、この数にはカラクリもある。タイは王国であるため、すなわち公務員は国王に仕える職員だ。官給品である拳銃を紛失・破損した場合、王室から支給された物品を壊した警察官と判断され、重い処分を受けることになる。

そのため、警察官は自費で購入した拳銃を使用する傾向だという。しかも公務員は特別割引があり、警察官は採用されると自動的に拳銃の所有許可も与えられる。そのため、今回の事件のように、採用後に心理的な問題を抱えた警察官や軍人が銃器を使用した事件を起こすこともしばしばだ。

先の民間保有推計にはそういった警官の銃、未登録の違法銃も含まれるので、タイの一般世帯に当たり前に銃器があるわけではない。そのためアメリカなどと異なり、タイでは一般市民は銃規制を歓迎している。一般市民が保有することをよしとする論調はないのだ。

しかし、すでに出回っている銃器の数が多いのも事実としては変わらない。ASEANダントツの数となるので、急ピッチで進められるタイ政府による銃規制がすぐさま銃器数を減少させたり、事件発生を防ぐには至らないことは間違いない。観光だけでなく、長期滞在でも銃撃事件にそう遭遇するものではないが、タイは銃器関連事件が多いので、そのことを念頭に置いて訪タイするべきである。

文/髙田胤臣 内外タイムス