@AUTOCAR

写真拡大 (全4枚)

夢はル・マン24時間レースへの出場

「ボーイ・レーサー」という言葉は、あまり褒め言葉としては使われないが、英国在住のブリン・カルダーさんの場合、これほどぴったりの表現はない。18歳のブリンさんはすでに10年間レースを続けており、最初はカートから始め(英国耐久選手権で2度の優勝を果たし、数々の国際大会でも目覚ましい活躍を見せた)、現在はGTカップ選手権でジネッタG56 GT4 Evoを駆っている。

【画像】プレミアムなコンパクト・ハッチバック【3代目メルセデス・ベンツAクラスを詳しく見る】 全25枚

ブリンさんは、「イノベーション・レーシング(英国のレースチーム)でレースをしています。最初の2戦は欠場したのですが、その後はすべて順調で、スネッタートンでの次の2戦に出場できました。そこで耐久レースで優勝し、スプリントレースでは2位になりました。結果的に、チームはクラス2位、僕は総合5位につけました」と語る。


ブリン・カルダーさんのメルセデス・ベンツAクラス    AUTOCAR

「6月26日から28日のドニントン戦に向けて、準備は万全です。それ以降、チャンピオンシップ争いを続けるためにはスポンサーの支援が必要です! ル・マンでレースをすることが、僕の究極の目標です。主要な24時間レースをすべて制し、1年でできる限り多くのレースを勝ちたい」

標準のA160をスポーティにカスタム

そんなブリンさんが、自身の肩書にふさわしいクルマを持っているのは当然のことだろう。筆者が彼とカーミーティングで出会ったとき、彼が乗り付けてきたメルセデス・ベンツ『Aクラス』はてっきり、AMG A 45だと思っていた。ところが実際には、通常のA160 AMGラインに、若きレーサーらしいカスタマイズをいくつか施したものだった。

「フロントスプリッターとリアウィング、それにリアバンパーに黒いウィングレットを追加したんです」とブリンさんは語る。


メルセデス・ベンツAクラス(今回の取材車両とは別のもの)

「ルーフにはフェイクのカーボンファイバーを貼り、標準装備のAMGラインのホイールもブラックアウトしました。ただ、本来とは違うものに見せようとしたわけではありません。A 45と比べると、見た目はかなり違います」

ブリンさんはこの2016年モデルのAクラスを今から1年前に購入した。購入当時は走行距離が約5万kmだったが、現在、オドメーターには12万kmという驚異的な数字が表示されている。

「レーシングドライバーなので、移動が多いんですよ。ただ、標準仕様の1.6Lターボエンジンは100ps程度しか出ず、かなり非力なので、チューニングを施しました」

それも、ちょっとした馬力アップではない。ブリンさんの話によると、ECUのリマップやさまざまなアップグレードのおかげで、この4気筒エンジンは今や220psを叩き出しているという。それでも「アクセルを軽く踏めば、15km/lくらいの燃費はキープできる」とのことだ。

保険料は「意外と」安い?

そこで保険の問題が頭に浮かぶ。英国の保険会社は若いドライバーを警戒しており、「改造」という言葉を聞いただけで尻込みする。しかし、ブリンさんによれば、アップグレードを施した彼のA160でさえ、ごく普通のフォード車よりも保険料が安いという。

「ずっとメルセデスのファンだったのですが、最初は(フォードの)フィエスタを検討していました。ただ、標準モデルの保険料の見積もりがとんでもなく高かったんです。そこでスポンサーの1人が、『手持ちのA160があるから、それの保険見積もりを取ってみたらどうだ』と言ってくれました」


メルセデス・ベンツAクラス(今回の取材車両とは別のもの)

「結果、料金はフィエスタの見積もりの約3分の2でした。2500ポンド(約52万円)に対し、1800ポンド(約37万円)です。しかも、これはブラックボックス(翻訳者注釈:走行中のさまざまな情報を記録し、保険会社に送信する装置。一般的に、装着すると保険料が安くなるものの、走る距離や時間帯に制限がつく場合もあるようです)なしの金額です。僕のように頻繁に長距離を運転する身には、ブラックボックスは不向きですから」

ブリンさんのA160はピカピカで(彼は副業で移動式洗車サービスを営んでいる)、運転の楽しさは明らかだが、彼がもう1台欲しがっているクルマがある。それは友人のBMW M135iだ。

「彼が売る気になったら、僕は真っ先に買いに行きますよ」とブリンさんは言う。それまでは、メルセデス・ベンツA160とジネッタG56が、彼のレース活動を支え続けることになるだろう。