ジープ85周年記念モデルが『ラングラー・ルビコン』である意味 伝わってくる本気と本物感 多くのSUVとは出自が異なる【森口将之が解析】
今年はジープが生まれて85周年
1941年、米国陸軍が実施した軽量偵察車の入札で選ばれた『ウィリスMB』は、第二次世界大戦において連合国側の勝利に大きく貢献した。戦後になると民間向けのシビリアンジープ(CJ)として市販が始まり、ステーションワゴンのワゴニアや、ピックアップトラックのグラディエーターなどを、順次ラインアップに加えていく。
【画像】100台限定で10月3日より発売!『ジープ・ラングラー85thアニバーサリーエディション』 全48枚
つまり今年は、ジープが生まれて85周年。今では横置きパワートレインを採用したレネゲードやコンパスのようなモデルも選べ、アヴェンジャーをはじめとして電動化も進めている。それでもジープがジープであり続けている最大の理由は、『ラングラー』を作り続けているからではないだろうか。

100台限定の特別モデル、『ジープ・ラングラー85thアニバーサリーエディション』を取材。 神村聖
しかもただ生き続けているだけでなく、ラダーフレームに前後リジッドアクスルを組み合わせたサスペンション、副変速機を内蔵したトランスファーなど、本格的なクロスカントリービークルとしての基本構成を頑なに守り続けている。
100台限定で設定された特別モデル
この85周年を記念して、100台限定で設定された特別モデルが『ジープ・ラングラー85thアニバーサリーエディション』だ。卓越したオフロード性能を誇る『アンリミテッド・ルビコン』をベースに、数々の専用装備を採用している。
エクステリアでは、長年使い込まれたアウトドアギアを思わせるスチール・オキサイドに塗られたアルミホイールが、ブラックのボディと組み合わせられる。とはいえ伝統の7スロットグリルをはじめ、それ以外の部分はラングラーそのまま。さりげない手の入れ方、わかっているなあと思う。

リアゲートを開くと、歴代の7スロットグリルを描いた記念プレートが現れる。 神村聖
インテリアはシートやインパネの一部に、アメリカのアウトドアカルチャーから着想を得たチェック柄のファブリックを採用している。長い歴史の中から自由にトレンドをピックアップした自由さがアメリカらしい。
ビジュアルだけで乗るにはクセ強の1台
とはいえラングラー、こういったビジュアルだけで乗るには、クセ強の1台でもある。ドアの開口部は狭く、フロアやシートは高い。サイドステップは悪路で邪魔になるのでなし。スズキ・ジムニーやトヨタ・ランドクルーザー70より、文字どおり敷居が高い。だからこそスマートに乗り降りできること自体が、カッコよさになるはずだ。
垂直に近く顔にも近いウインドウスクリーン、奥行きの短いインパネ、樹脂製ルーフと内側に張り巡らされたロールゲージも、多くのSUVとは出自が違うと感じる。

アメリカのアウトドアカルチャーから着想を得たチェック柄ファブリックを採用。 神村聖
エンジンは他の現行ラングラーと同じ2L直列4気筒ターボ。排気量だけ見ると不足に思えるかもしれないが、実はラングラーは重くない。ベースモデルでは2tを切っており、低回転からしっかり力を出すチューニングに、的確にギアを変える8速ATのおかげもあって、自在に速度を上げていける。
走っているときの骨太感は日本車と別物
現行型は、日本仕様の仕立ても改善された。右奥にあったアクセルペダルが中央寄りに移され、ハンドルの切れ角も大幅に増やされている。とはいえ走っているときの骨太感は、日本車とは別物。太くて重いシャフトを回しながら走っている様子が伝わってくる。
直進性については、まっすぐ走る意志は強固だが、フロントのリジッドアクスルの動きに、マッドテレインのタイヤもあって、ビシッとはしていない。このあたりは僕がかつて乗っていたチェロキー(日本で大ヒットしたXJ系)から大きく変わっていない。

エンジンは他の現行ラングラーと同じ2L直列4気筒ターボを搭載。 神村聖
後輪駆動の2Hから、電子制御センターデフが稼働する4Hオートに切り替えても、舗装路では前輪にはそれほど強く駆動がかからないようなので、雨の高速道路などでステアリングの手応えを求めるなら、4Hパートタイムを選ぶという手もあるだろう。
好きになれば、他のSUVでは物足りないと感じる
乗り心地もまた独特だ。タイヤ自体は硬いけれどエアボリュームが大きく、バネとダンパーも大入力を想定したセットだが、フレームとボディの間でもショックを吸収するため、直接的な衝撃はそれほど伝わってこない。サスペンションはあまりストロークしていないのにダイレクトなショックがないという感触になる。
ステアリングは今や希少なリサーキュレーティングボール式。これに前述のシャシーやタイヤが加わるので、ハンドリングのタッチも独特だ。ただしそのタッチに慣れれば意外に素直だし、この味が好きになれば、他のSUVでは物足りないと感じるはず。

専用の『85th』デカールはブルー・アガベとなっている。 神村聖
今回は残念ながらオフロードを走る機会はなかったが、スタンダードのルビコンでの経験はある。
専用のマッドテレインタイヤ、ローレンジのギア比を4:1まで大きく取った4Lレンジ、前後デフロック、フロントサスペンションのスタビライザーを切り離すディスコネクト機能など、機能の多くは電子制御に頼らず、メカニカルにこだわっている。
だから乗り手のテクニックが走破性に正直に反映される。誰もが簡単に高度な走破性を手に入れられるわけではない。経験を重ねていくほどレベルアップしていく。ケータハム・セブンでワインディングロードを駆ける歓びに通じるものがあるのだ。
85thアニバーサリーエディションのベースにルビコンを選んだ。これだけでジープの本気が伝わってくるし、ラングラーが本物であることを痛感する。日本車で似たようなポテンシャルを備えたSUVはあるけれど、この手応えはラングラーでなければ味わえない。
ジープ・ラングラー85thアニバーサリーエディション 特別装備の内容
●エクステリア
専用『RUBICON』デカール(ブルー・アガベ/ブロンズアクセント)
専用17インチアルミホイール(スチール・オキサイド塗装)
専用『85th』デカール(ブルー・アガベ)
専用『TRAIL RATED』バッジ(ブロンズ)
専用リアトーイングフック(ブロンズ)
●インテリア
専用プレイド(チェック)柄インストルメントパネル・インサート
専用プレイド(チェック)柄シート(85thタグ付)
専用バーバー織りフロアマット
専用『85th』ロゴ付シフトレバー・メダリオン
専用『85th』ロゴ付きテールゲート・プレート

ジープ・ラングラー85thアニバーサリーエディションの価格は944万円。10月3日より100台限定販売となる。 神村聖

