「女の子は守られたけど、現場は何も守られていない」…AV新法から4年、業界歴20年の人気監督が明かす「撮影現場のいま」
2006年の大学在学時にセクシー女優としてAV業界入りした後、2008年にAV監督へと転身。多岐にわたるジャンル作品を手掛ける真咲南朋さん(41歳)。AV制作に携わって20年になるという彼女からみたAV業界の変遷や問題点や、自らの監督作への思い入れなどを語ってもらった。
【前編を読む】41歳・シングルマザーのAV監督が明かす、”月20本のハード現場”と「女優とは絶対に友達にならない」という流儀
トレンドは『わかりやすいエロ』
「わたしの代表作は、痴女エステものですね。エステティシャンが痴女っていう設定の作品を初めて撮った時に、ものすごく売れたんです。以来、『真咲といえばエステだよね』ってなって、一時期は月に5本とかエステものを撮っていました。最近では下品な痴女を撮ることが多いです。衣装とかも含めてとにかく下品に『妖怪にしてください』みたいな発注ですね。
その系統の最近の売れ線でいうとマドンナの『肉感痴女シリーズ』。マドンナの女優さんってしっとりしたドラマ作品への出演が多いんですが、これは収録されている5コーナーのすべてで突拍子もないキャラをやらせました。10年とか20年くらい前のAVって、そういう感じの作品が多かったと思うんですけど、再び、こういう作品が売れているっていうことは、何周もまわって観る人たちが『わかりやすいエロ』を求めてるんじゃないのかなって思います。最近のAVって映画みたいに撮ったりとか、こだわりすぎちゃってる傾向もあるけど、逆にわかりやすい方が売れるんだなっていうことを、この作品で気が付きました」
女性が欲望をまるだしにして、アクティブに男性を弄ぶ作品に定評がある一方で、女性がとことんサディスティックに犯される凌辱作品も真咲作品の定番だ。こちらもまた、真咲さんの演出のポリシーである、極限まで女優を追い込む容赦のない作風が、ユーザーの支持を得ている。
「作品の傾向が二極化しているのは珍しいとは思うんです。でも、痴女でもM女でも、どっちにしても女優さんを追い込むのが好きなんですよ。そういう共通点がある。あとは最近の一押しの作品だとASMRをテーマにした『究極寸止めJOI』です。
最近、音声にこだわりまくったAVがないっていうプロデューサーからの提案で、一緒に考えた作品なんです。内容としては、女優がカメラに向かって延々と猥褻行為を指示するんですが、本当に男性のためだけを考えて台本を書きました。
このシリーズは女優さんにとってすごく難易度が高いんですよ。まず台本のセリフの意味をきちんと理解しないといけないし、膨大な全セリフを覚えてこないといけない。だから、出来る女優がいないっていうので、先日、シリーズが終わっちゃって残念です。このシリーズに出ているような、いい女優と作品作りをすると、映画を撮っている感じになれるんですよね。映画の女優って、基本的には嫌でやってないじゃないですか。AV女優は、本当は嫌だけど稼げるっていう理由で、やっている子もいるので」
同人へ移行する女優が増加
女優がいないと成立しないAV制作。が、「また組んで仕事をしたい」と思える女優ばかりではない上に、最近では同人へと移行する女優も増えている。
「同人は夢がありますよね。女優に関していうと、売れていない女優さんは確実に同人をやってるし、売れていて一本百万円くらいで出てる子でも、同人に行けばもっと稼げるっていうので、辞めちゃうこともある。監督でも、SAMOARI監督なんかは適正を辞めて同人に行きましたが、自分のチャンネルでめちゃくちゃ稼いでいます。
ただ適正の監督が、同人で撮ると仕事はおそらく減るんじゃないでしょうか。敵対しているわけじゃないけど、やっぱり食い合っちゃうので。適正と同人って、テレビとYouTubeの関係に似てると思うんです。テレビよりもYouTubeのほうが自由に出来るじゃないですか。同人AVも適正に比べればずっと自由ですよね。だからこそ事件も起こりやすいし、適正ルールにのっとってない作品もある。
もちろん同人でも、きちんとした体制で作品を制作しているところもあります。けど稀に、そうじゃない制作者が事件を起こした場合に、適正も一緒くたにされて世間から『AVは……』って悪者にされるのは嫌ですね。適正はこの20年でかなりクリーンになったと思うので」
女の子は守られるようになったが…
AV新法の施行以後、適正AVは出演者と契約を結んでから、撮影まで1か月以上空けることや、撮影終了から4か月以上経過してから公表することといった細かいルールに従って制作することになっている。また、撮影現場には俯瞰する位置にカメラが設置されてもいるという。
「いまは台本外のことは出来ないです。昔は『よし、このADとやっちゃおう!』とかあったけれど、いまはそんなこと、絶対に無理ですね。だから、出演する女の子にとっては環境がよくなったと思います。ただ、問題もあって、女優としてデビューして一本目を撮るじゃないですか。でも発売は半年後。その間、どうやって食つなげばいいかっていうのがありますよね。
5本契約とかならいいけど、まずは1本っていう場合に、生活が出来ないっていうので辞めちゃう子とかいる。あと制作側としては、流行りを作品に取り入れたいじゃないですか。でも、適正ルールに従ってリリースされるのは半年後なので、すでに流行りじゃなくなってる。それが制作側としては嫌だなって思います。
もうひとつ、困っているのは、契約した女優が撮影までのひと月の間に怪我したり病気をしたら、撮影現場そのものがなくなっちゃうんです。以前だったら、差し替えの女優さんをその日に呼べたんですけど。現場がなくなっても、もちろんフリー監督には保証なんてない。実際にひと月に現場の半分がなくなったこともあったんですが、それで稼ぎがめちゃくちゃ変わってくるじゃないですか。女の子は守られるようになったけど、現場は何も守られてないなっていうのがあります」
なかなか厳しい状況にある適正AV業界。それでも真咲さんはこの業界で生きていきたいという。
「わたしにとってAV業界ってすごく居心地のいい場所だし、わたしと同じく居心地がいいって感じている人がいるってことは、世間にわかって欲しいです。AV業界は悪いところが取り上げられがちだけど、AVが救いとなって仕事をしている人たちってたくさんいるんです。とにかくわたしはAV業界が好きだから、AV業界の歴史を絶やしていかないように、わたしはやっていかないといけないなって思ってます」
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