「風営法改正は失敗」…逆にスカウトバックの高騰で風俗店が悲鳴をあげる“正視できない現実”

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改正後の風俗店の嘆き

「法改正したんだから、ちゃんと摘発してくれよ。警察は何をやっているんだ」

全国に店舗を展開する大手風俗グループの幹部がぼやく。

昨年6月末に改正風営法が施行されてから1年余りが過ぎたが、業界関係者からは「改正は失敗だった」という声が聞こえてくる。

改正の目的だった〝業界の健全化〟の効果が見られないどころか、改正前より事態が悪化しているというから始末が悪い。一部からは『世紀の悪法』という声まであがっている。改悪の理由となっているのが法改正による「スカウトバックの禁止」。これが〝真逆の効果〟を生み出してしまっているというのだ。

スカウトバックとは、女性の紹介を受けた風俗店がスカウトに払う報酬のこと。近年、悪質なホストの色恋営業により多額の借金を背負わされた女性がスカウトを通して風俗店に送り込まれ、搾取をされ続けることが社会問題となったことを受けて、スカウトと風俗店の間の取引をなくすために風営法が改正された。

性風俗のスカウトグループのなかには『匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)』と名指しされている『ナチュラル』や『アクセス』があり、警察が取り締まりに力を入れてきた。

スカウトバックを禁止したのは、風俗店を取り締まることで悪質なスカウト集団へ流れる資金を根絶するのが狙いだ。しかし、実際にはスカウトグループに流れ込むスカウトバックは増加しているという。

スカウトバックを払い続ける風俗店

法改正を受け、トクリュウではない従来のスカウト会社は風俗店への女性の紹介を取りやめた。スカウト絡みの風俗店の摘発が相次いだことから、世間的には改正の効果はあったように見えた。だが、実態は異なる。

風俗店に女性を供給できるのは法律を無視するトクリュウのスカウトがメインとなり、新規取引が増加しています。風俗店は女性の紹介がないと経営が立ち行かなくなくため、トクリュウに頼らざるを得ない。あってはならない構図が出来上がってしまったのです。東京では過半数の店が、大阪では大手2グループ以外のほとんどの店が、トクリュウとの取引を続けています」(前出・大手風俗グループ幹部)

法律で禁止されたにもかかわらず、これほどまでに多くの風俗店がスカウトバックを払い続ける理由は「摘発されない」から。風俗店もトクリュウも、法改正後に摘発・逮捕されているのは〝氷山の一角〟。ほとんどが「店で働く風俗嬢による通報」というレアケース。スカウトバックは現金取引で、支払い実績などの資金の流れを捕捉することが難しいことも摘発を困難にさせている。

“シェア”を急拡大させたトクリュウは〝顧問料〟の名目で追加のスカウトバックを要求する動きを活発化させており、圧力に屈する風俗店も現れている。

「悪質なスカウト行為を続けるトクリュウの拡大が避けられず、真面目に商売をしている風俗店が根絶されてしまう」

「あと数年したら風俗店の利益のほとんどがトクリュウに流れ、犯罪に利用されてしまう」

業界関係者は懸念している。

風俗店がスカウトを重宝する理由

「風俗店がスカウトと付き合うメリットは大きい。彼らを通して、フーゾクの仕事を希望する女性に業界のことや仕事の内容を知ってもらえますし、女性たちにとっては店よりも相談しやすい存在。彼女たちの不安を払拭してくれますから」(地方風俗店オーナー)

スカウトを使えば、店が求人を出したり直接女性を勧誘する手間が省ける。さらに、スカウトは女性の良いところを本人の代わりに店にアピールもしてくれる。

「最大のメリットは“レベルの高い女性を紹介してくれる”こと。たくさん指名を取れるキャストが増えれば、当然売り上げは良くなる。ハイレベルなキャストが広告に露出することで、集客増も期待できる。スカウトを切ってしまうとこの逆のことが起きる。レベルの高い女性が入らなくなり、売り上げが落ちていく」(複数の店舗を展開する有名デリヘルグループの店長)

この店長が経営する店のスカウトバックは女性1人あたり月3~5万円。売れっ子だと月10万円前後になる場合もあるという。支払いは女性が在籍している限り、永久に続く。

「以前は紹介料(スカウトバック)の相場は、女性の毎月の売り上げのだいたい15%でした。ですが、ここ数年は高騰して20%近くになっています。女性の供給がないと店が潰れるので、『スカウトに頼るしかない』と思っている店がほとんどでしょう。トクリュウの所属メンバーが使用している秘匿アプリを、風俗店側も使用していることもある」(風俗店向けコンサルティング会社幹部)

悪質なスカウト行為をなくすには

法改正後、風俗店のスカウトバックによる利益が増大したのがトクリュウである。違法となったスカウトバックを払い続けている風俗店には、トクリュウのスカウト集団を通じて稼げる女性が集まり在籍数も増える。その結果、違法店に客が流れ、違法店からトクリュウへと流れるスカウトバックも増加するという構図になっている。

法で禁止してもなくならないスカウトバックを根絶するには、どうすればいいのだろうか。

「スカウトバックを払っている風俗店を積極的に摘発することです」(前出・有名デリヘルグループの店長)

「罰則を強化し、スカウトの起訴件数を増やすことで、スカウト行為に対する抑止力を高めるべきです」(前出・地方風俗店オーナー)

「スカウトと店だけでなく、トクリュウを経由して職に就いた女性にも罰則を与える、という考え方もあります。関連法規を改正すれば可能でしょう」(業界団体スタッフ)

性風俗業界では今、『法律を遵守しようとする店が、違法組織以外から継続的かつ安定的に人材を確保できる仕組みを構築すること』が、強く求められている。

取材・文・写真:生駒明