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結果的にクルマが売れたという解釈ではない

新型『マツダCX-5』の販売が好調だ。5月21日の発表後、8月末時点で累計約1万7000台を突破した。月間販売台数目標を2000台としており、過去約3ヵ月では想定の3倍近く売れていることになる。

【画像】想定の3倍近くを記録!販売好調の新型『マツダCX-5』 全132枚

そうした中、マツダが国内営業戦略に関する報道陣向け説明会を開いた。注目すべきは、『良いクルマ』が出たので結果的に『クルマが売れた』という解釈ではない点だ。


新型マツダCX-5の販売が好調。5月21日の発表後、8月末時点で累計約1万7000台を突破した。    マツダ

むろん、CX-5の商品性の高さを多くのユーザーが認めていることは事実。その上で、マツダが国内での『クルマの売り方』を変革させる試みがCX-5販売好調を後押ししていることが分かった。変革は、ユーザーが想像するイメージよりはるかに大掛かりであり、大胆である。

今回の説明会の題目は『国内ビジネス構造変革の進捗について』だ。

そう聞いて、なぜマツダがこのタイミングで『構造変革』と名付けるほどの行動に出る必要があるのかと、疑問に思う方がいるかもしれない。

実のところ現実は厳しい。マツダの国内販売は2020年代に入り低迷が続き、2024年度のシェアは3.3%と、マツダとして最盛期に近い2015年度の6.1%から半減している。

そうした中、マツダは2025年度から国内ビジネス構造変革を本格化させており、2026年度の第2四半期に入ったこのタイミングで、その進捗について外部に説明しようというわけだ。

具体的にどのような戦略を打ち、その効果はどうか。また、どのような課題が見えてきたのか。

ビジネス停滞期からの回復を狙う施策

まずは、国内ビジネス構造変革に至るまでの反省点から見ていこう。

マツダは2011年以降、CX-5を筆頭にした『商品主導の成長期』を迎えた。それ以前のマツダはバブル期に国内販売の拡大を狙い、5チャネル体制を敷くも事業として成功しなかったという歴史がある。


2011年に初代CX-5が登場し、マツダは商品主導の成長期を迎えた。    マツダ

その後、ロードスターなど一部の人気モデルに対するユーザーの支持はあるものの、主力モデルのリセールバリューは競合ブランドに対して低く、結果的に新車で大幅な値引きを行うという負のサイクルに陥ってしまう。

そうした状況が初代CX-5市場導入から変わった。マツダがいう第5世代モデルが続々市場導入されマツダの販売力も高まった。ところが、その反動として2019年頃から『ビジネス停滞期』に入り、国内シェアが低下していく。

停滞の主な原因は、全国一律/共通の戦略、ブランド認知の低下、現場支援作の遅れなどから、新規顧客の継続的な減少を生んだと、マツダは分析している。

データで見ると、2015年度はマツダ新車購入者のうち新規顧客の比率は47%だったが、9年後の2024年度には29%まで落ち込んでいる。

こうした状況を打破するため、2025年6月に『3つの柱、4つの重点施策』を公表。3つの柱とは『ブランド育成に向けた成長戦略』、『優先地域の特定、都市圏戦略』、『店舗体験の向上に向けた現場支援の徹底』を指す。

また4つ重点施策とは、『販売網再構築』、『マツダ・ブランドにフォーカスしたマーケティング投資』、『店舗へのブランド価値浸透の仕組み/体制強化』、『バックヤード機能効率化を担う新会社の設立』だ。

こうした国内事業構造変革、新車導入の総合商品計画、そして中古車事業などを含めてバリューチェーンビジネス戦略を連携させる。

ビジネス構造改革の進捗と課題

では、4つの重点施策を順に見ていく。

販売網の再編では、2025年度に都市圏の12店舗で改装を実施し、2026年度にはさらに11店舗で竣工予定だ。店舗をブランド交流拠点、またブランド体験の場へと進化させた。こうした試みにより、首都圏でのシェアは0.2ポイント上昇した。


2025年2月にオープンした港区青山の新店舗『マツダ・トランス青山』の来場者は10万人を突破した。    マツダ

マーケティング変革では、ウェブ来訪が前年比で112%、港区青山の新店舗『マツダ・トランス青山』の来場者は10万人を突破した。これは、これまでターゲット層を特にマツダ好きおよびクルマ好きを想定していたところを、クルマ購入検討意向層の全員にシフトしたこと。その上で、顧客目線での『徹底したわかりやすさ』を強調したことが奏功したと言える。

また、リテールオペレーション変革では、ブランドスタンダードを規定して運用開始し、マツダ・ブランドアカデミーを現場展開。合わせて、マツダ全体組織風土変革についての話し合う場が増えるなど、4つの重点施策は確実に成果を上げているという。

リテールオペレーションに関しては、マツダの大手販売店である関東マツダから『課題と取り組み』について、大きく3つの視点が紹介された。

順に並べると、『店舗間の進捗のバラツキ(格差)』という課題に対しては、店長、事業部長を巻き込んだ活動への転換。『提供品質のバラツキ(不均一)』に対しては、店舗全体で行える仕組み、プロセス構築へのシフト。

そして『関東マツダの強み、取り組みの軸』に対しては、独自価値を明確化し、全店舗への横展開を進める、としている。

マツダが乗り出した、現場をしっかりと見据えた上での国内ビジネス構造変革。その行方を見守っていきたい。