「核のごみ」閉じ込め期間は最長10万年 地層処分の現状と課題は 地下500メートルの世界を取材『every.特集』
茨城県常陸大宮市に国が「核のごみ」最終処分場の調査を申し入れ、住民からは戸惑いの声が上がっています。最長10万年にわたり地下深くに閉じ込める計画ですが、日本では処分地がまだ決まっていません。地下500メートルの研究施設を取材し、地層処分の現状や課題を探りました。
■茨城県常陸大宮市 “核のごみ処分場” の調査申し入れ

8月31日、国が茨城県常陸大宮市に核のごみ最終処分場の調査申し入れを行いました。
常陸大宮市民は--
「どこでも嫌がることなのだけど、日本国民全体で考えればある程度やむを得ないと思う」
「核のごみ、核ってあまりいいイメージがないので、詳しくはわからないが怖いというのが一番ありますね」
住民たちも戸惑いを隠せません。
“核のごみ処分場”とはどのようなものなのでしょうか。
■「核のごみ」処分技術を研究する施設とは

北海道の一番北に位置する稚内市から車で1時間、幌延町にある「核のごみ」の処分技術を研究する国の施設に向かいます。関係者以外立ち入り禁止の場所に案内してもらいました。
研究員「左前方に見えますオレンジ色の線が入った建屋になります」
この施設では地下500メートルまで縦にトンネルを掘り、核のごみを入れる容器を埋め、長い期間で傷みがどれくらい進むかなどを調べています。
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地下深くの世界を案内してもらいました。
幌延深地層研究センター 木村駿研究員
「小窓からのぞいていただくと地下500メートルまで一直線に掘削されている様子がご覧になれるかと思います」
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到着したエレベーターに乗り、約7分かけて地下500メートルまで降りていきます。施設によりますと、現在人が立ち入れる場所としては、国内で最も深い場所だといいます。
記者
「わぁ…下が見える…怖い。下、完全にいま抜けていますよ。すごいなぁ」
エレベーターの底の部分にはカメラが取り付けられていて、地下深くに降りていく様子を見ることができます。
記者
「(降りてきた場所が)493、495、500いきました」
■最長10万年 放射性物質を保存する地下500メートルの世界 懸念は

地下500メートルに到着すると、さらに奥に向かうトンネルが続いていました。
記者「体感は何にも変わらないですね」
気温は21度。地上から空気を取り入れて換気しているため、地上と変わらない環境です。
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「核のごみ」とは、原発で出た使用済み核燃料から、再利用できるプルトニウムなどを取り出したあとの高レベル放射性廃棄物のこと。人が近くに立つとわずか20秒で死亡するという放射能レベルの高い廃液のため、ガラス原料と溶かし合わせてステンレス容器の中で固めます。

処分場で使われるのは、中央に核のごみが入ったステンレス容器を入れるスペースが空いている筒のような容器。ステンレス容器に入れられた核のごみはこの中に入れます。まわりを金属の容器で覆い、さらに外側を特殊な粘土で覆って保管されます。
金属容器の厚さは19センチメートル。何重にもバリアをして、人体に影響がなくなるまで、最長10万年にわたり放射性物質を閉じ込めておくといいます。長期にわたる地下での保存です。

記者
「結構、水がポタポタと垂れていますね」
幌延深地層研究センター 木村研究員
「地下水が滴り落ちている様子になります。岩盤の中が地下水で満たされています。ですので、地下深く掘ると、地下水がトンネルの内部に向かって流れ込んでくることになります」
岩盤から染み出すように地下水が湧き出ていました。
幌延深地層研究センター 木村研究員
「これが深度500メートルの岩盤になります」

記者
「その上にあるのが地下水ですね。(舐めると)塩っ気がありますね。水というより海水のような感じかな」
懸念されるのは、地下水を通じ、放射性物質が漏れ出すことです。
幌延深地層研究センター 木村研究員
「(地下は)水に満たされています。ただし、地下深部では水の動きがもともとはゆっくり、非常に遅い動きなので、人間の生活環境に至るまでには長い時間がかる」
地上近くにある地下水と異なり、深い岩盤の中にある地下水は、年間に数ミリ程度という極めて遅い速度でしか動かないといいます。この施設ではこうした“長期的な地下水の動き” についても研究し、影響を調べています。
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地下深くに作られる、東京ドーム214個分にも及ぶ広大な敷地の最終処分場。4万本以上の核のごみが、大型車両で、地下300メートルより深くに運ばれます。最終的に土で埋め戻し、最長10万年にわたって閉じ込めておく計画です。
■最終処分地選定の流れ

日本で処分場の場所を決めるには、三段階の調査を行います。
過去の論文などから地盤などについて調べる「文献調査」、地質や地下水について調べる「概要調査」、地下にトンネルを掘って調べる「精密調査」の三段階で、最短でも20年かけて1か所に絞り込んでいきます。また、調査段階に応じて、国から地域振興などに使える交付金が出ます。
第一段階となる「文献調査」はこれまで全国4か所で行われ、今回、茨城県常陸大宮市が5か所目。第二段階となる「概要調査」はまだ行われていません。
■“文献調査”に日本で初めて表明した北海道・寿都町 次の概要調査にも前向き

北海道の南西部にある、漁業の盛んな人口約2500人の町、寿都町。今から6年前、第一段階となる「文献調査」に日本で初めて手を挙げましたが、町は大きく揺れました。
寿都町 片岡春雄町長
「私の強い思いを尊重していただきましたので、文献調査をただいま表明したい」
町長の自宅には、火炎瓶が投げ込まれる放火未遂事件が発生。町には20億円の交付金が入りましたが、住民は賛成・反対に二分されました。
町長にあらためて話を聞くと--
寿都町 片岡町長
「交付金が目当てではありませんと。ここは誤解のないように。この問題は先送りできない。誰かが先頭を切らなかったらだめなんだよね」
寿都町の文献調査は終了し、“処分場建設の可能性がある候補地”と判断されました。20億円の交付金は、町の施設の運営費や職員の人件費などに充てられました。次の段階となる「概要調査」に進めば、国から最大70億円が交付されます。
今、町長は概要調査に進むことに前向きな意向を示しています。
--次の調査に対してやるべきだと思いますか?
寿都町 片岡町長
「当たり前じゃないですか。文献調査だけだったらやる必要ないですよ」
しかし、寿都町のある北海道の知事は、核のごみの持ち込みは「受け入れ難い」とする条例があることを理由に、概要調査にも反対する姿勢を示しています。地域の意見が1つにまとまるのは容易ではありません。
寿都町 片岡町長
「原発という国策は国が決めたことなので、最後の後始末まで国がやるべきです」
■政府関係者「実際は無理な話」

私達の取材に政府関係者からは--
政府関係者
「日本のどこかに埋めるなんて、実際は無理な話だ」
「自分がこの仕事をしている間は、処分する場所は決まらない。しかし、生きている間には決めたい」
私たちが電気を使う限り増え続ける“核のごみ”。今後、国は別の自治体にも申し入れを行い、候補地を増やしていきたい考えです。
(9月2日『news every.』より)