「全東信」で2017年に180億円の不透明な資金移動…主力銀行など融資撤退、資金繰り悪化の契機に
経営破綻したクレジットカード決済代行会社「全東信」(大阪市)が、2017年に関係会社の営業権を買収する際に、約180億円に上る不透明な資金移動を行っていたことが、関係者への取材でわかった。
複数の大手金融機関がこれをきっかけに融資を引き揚げており、全東信の資金繰りの悪化の契機となった可能性がある。
金融機関や信用調査会社の複数の関係者によると、全東信は17年、カード決済端末の設置取り次ぎ代行などを担っていた関係会社「東信クレジットサービス」(同市)の営業権を、金融機関からの借り入れを基に約180億円で買収した。両社はいずれも同じ男性が代表を務めているが、東信クレジットは営業権の売却で得た利益を原資に代表の男性に多額の配当を行ったという。
ある大手金融機関は、代表個人への多額の資金移動に疑問を持ち、営業権買収や資金移動の意図について全東信側に確認したが、十分な回答が得られなかったとしている。
別の金融機関は、営業権の買収価格約180億円が、当時の東信クレジットの純資産(5000万円程度)に対して高すぎる点に不信を感じ、全東信側に問い合わせたが明確な説明はなかったという。これを機に、主力銀行などを中心に複数行が撤退した。
一方で、地方銀行や信用金庫など地域金融機関を中心に、破綻時には63の金融機関と取引があった。現在、少なくとも34の地域金融機関で計539億円超の融資について回収不能・遅延の恐れが生じている。
これとは別に、破産申立書によると、全東信が20年前から、預金残高の水増し(約170億円)などの手段で粉飾決算を行っていた疑いも浮上している。
金融庁は、各地の財務局と連携し、地域金融機関を中心に与信管理の状況が適切だったかなどの調査を進めている。一方、全東信側が虚偽の決算書などを使って金融機関から融資を引き出していたことが証明されれば、詐欺罪などに問われる可能性もある。
