「泣き叫ぶ妻と子に村中が」北朝鮮の”最も残酷な夜”
北朝鮮で、自国通貨ウォンへの不信が都市部から農村へと急速に広がっている。
デイリーNKの現地消息筋によれば、これまで外貨と縁の薄かった農村住民の間でも、わずかな余裕資金をドルや中国人民元に替えて保有する動きが目立ち始めたという。「ウォンを持っていれば損をする」との認識が浸透しているためだ。
北朝鮮では2009年のデノミネーション(通貨切り下げ)を伴う貨幣改革で住民の貯蓄が大きな打撃を受け、自国通貨への信頼が著しく損なわれた。当時の金正日政権は、責任を朴南基(パク・ナムギ)朝鮮労働党計画財政部長に押し付け、彼を処刑して収拾を図ろうとした。
2019年に韓国に亡命した北朝鮮のリュ・ヒョヌ元駐クウェート大使代理が、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)とのインタビューで、当時目撃した「残酷な場面」について語っている。
その場面とは、朴部長の家族が管理所(政治犯収容所)に連行された時の様子だ。
(参考記事:若い女性を「ニオイ拷問」で死なせる北朝鮮刑務所の実態)
リュ氏によれば、連行は夜に行われ、朴元部長の妻子が泣き叫ぶ声を聞き、「同じ村(隣近所)」に住むエリート官僚たちが皆、起き出してきたという。リュ氏は管理所への連行を見たのはこれが初めてだったとのことで、「心臓の動悸が激しくなり、その夜は眠れなかった。もしかしたら自分たちも、あのような運命に陥るかもしれないと考え…」と語っている。
言うまでもなく、このようなやり方で民心が納得するはずもなかった。その後も当局は外貨使用を規制し、ウォンの利用を促してきたが、今にいたるも通貨の信任は取り戻せていない。

