スズキの「ちいさな“軽”クーペ」!

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「親友」のような軽自動車

 スズキは、見るだけで笑顔になれる「親友」のような存在を目指し、圧倒的にチャーミングで独創的な軽自動車を開発しました。

 スズキがかつて発売していた軽自動車「フロンテ360(LC10型)」をモチーフに、往年のレトロなイメージを現代の感覚でオマージュしたのは「LC(スズキ エルシー)」です。

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 このコンセプトカーは、2005年10月に開催された「第39回東京モーターショー」にて、参考出品車として世界初公開されました。

 会場では、その可愛らしいデザインや完成度の高さから、「このまま市販してほしい」という声もあがるなど、注目を集めました。

 スズキは、単なる移動手段としてではなく、所有する喜びや「お気に入りの自分の部屋」のような心地よさを重視。「自分にぴったり、うれしいサイズの小さなクルマ」というコンセプトのもと、現代の都市生活にマッチするミニマムなモビリティとして提案されました。

 デザインの最大の特徴は、見る人を惹きつけるフロントマスクです。丸型のヘッドライトと独立したターンシグナル、そして小ぶりなメッキグリルが、どこか擬人化された表情のような愛着を感じさせます。

 ボディサイズは全長3200mm×全幅1475mm×全高1390mm。乗車定員は2名の2シーターで、軽自動車規格の枠内でありながら非常にコンパクトで凝縮感のあるプロポーションを実現していました。

 インテリアも外観に劣らず個性的でした。インパネ下面より下側の内装色に赤を基調とし、シートにはチェック柄を採用。

 また、シンプルな円形メーターやトグルスイッチ、さらに革製のプルハンドルをドアの内側に配するなど、細部にまで1950年代のレトロな雰囲気が徹底されています。

 パワートレインには、排気量660ccの直列3気筒エンジンを搭載。駆動方式はFF(前輪駆動)を採用していました。

 当時のスズキの軽自動車ラインナップで主力を担っていたユニットを想定しており、コンセプトカーながらも現実的な走行性能を視野に入れたメカニズムが組み込まれていました。

 その後、LCそのものが2シーターのまま市販化されることはありませんでした。しかし発表から17年が経過した2022年、スズキは軽乗用車「アルト ラパン」の派生モデルとして「ラパンLC」を発売しました。

 さすがにフェンダーミラーこそ採用されませんでしたが、大きな丸目ライトや横長のフロントグリル、チェック柄のシートなど、コンセプトカーLCの意匠が上手に取り入れられています。

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 LCは、過去の名車への敬意を現代のセンスで昇華させた、エモーショナルなコンセプトカーでした。

 効率や広さばかりが重視されがちな軽自動車の世界において、スタイリングが持つ力とクルマと人との情緒的なつながりを改めて示した1台であり、そのデザインモチーフの一部は、のちのラパンLCにも受け継がれていることがうかがえます。