実はライバルはマクドナルドではない…韓国No.1「マムズタッチ」が日本で狙う意外すぎる勝算
韓国ではマクドナルドよりもポピュラーな韓国No.1バーガー&チキンブランド「マムズタッチ」。日本では、2024年4月に渋谷店がオープンし、2026年7月時点で、原宿店、下北沢店、茅ヶ崎店、秋津駅前店の全5店舗を展開している。
さらに、今年中に新たに11店舗オープンを予定しており、2027年末までに100店舗体制を目指すと発表された。これからの展開がどうなっていくのか、興味深い状況となっている。
前編記事『「韓国ではマクドナルド超え…!」日本で本格攻勢に出る「マムズタッチ」の知られざる正体』に続き、ハンバーガー探求家・松原好秀氏が、「MOM’S TOUCH JAPAN」代表取締役社長の中村昭一氏にインタビューを行った。
ケンタッキーとは少し違う「特徴」
マムズタッチはどんな店か。あらためて中村社長に聞いてみた。プレスリリースを見ると、「韓国No.1バーガー&チキンブランド」という呼称がまずあり、別のリリースには「韓国で最大級の店舗数を誇るバーガーチェーン」ともあるが…。
「韓国No.1ファストフードであるというのは言えると思うんですね」と中村社長。そう聞いて、フードメニューを見てみると、「バーガー」「骨なしチキン」「ピザ」とある。
最後の「ピザ」が意外だが、ともあれこの三枚看板のうち、一番売れているのはどれかと尋ねると、「バーガーですね。大差です」
バーガーは全16品。うちミートパティを使用したバーガーが5品(焼肉バーガー1品を含む)で、残り11品はサイチキンパティを使用したバーガーだ。
「マムズタッチは、お客様からご注文をいただくと、店舗の厨房でバッタリング(衣付け)とフライング(揚げ調理)を手作業で行って商品を完成させており、その結果、豊かな風味とサクサクとした食感が生きたクリスピーな『衣』が特徴です」
看板メニューは「チキンサイバーガー」。サイ(thigh)とは鶏の「もも肉」のこと。見るからに身が厚い鶏もも肉のフライドチキンが、スイートピクルスや特製秘伝ソースとともにバンズから大きくはみ出している。
この「チキンバーガー」なるジャンルは2020年ごろに日本でちょっとしたブームになった。外食各社がチキンバーガーの専門店を相次ぎ始めたが、結局、「KFC」のみが一人勝ちしたような状況に落ち着いている。
KFCは2022年10月、それまでチキンフィレ「サンド」と呼んでいたメニューを「バーガー」呼びに変更し、今もチキンバーガーに力を入れている。
チキンバーガーにおけるマムズのライバルはこの「KFC」ということになるが、KFCの国内店舗数は1,339店(2025年末時点)。数の上では比較にならない。
しかし、KFCのチキンバーガーが売れれば売れるほどに、チキンバーガーというジャンルそのものが活気立ち、注目され、大きくなる。これはマムズにとってメリットでしかない。KFCとマムズは、むしろ共存共栄の関係にあると見てよいだろう。
あくまでも「ファストフード」
韓国チキンについてはどうか。マムズの他にも韓国発のフライドチキンを謳う店はいくつもあるが…。
日本国内の韓国チキン勢をいくつか挙げると、2019年12月に愛知県名古屋市にオープンした「CRISPY CHICKEN n' TOMATO」(クリスピーチキンアンドトマト)」は"ブランドシェアリング"という、既存の飲食店が有名店の人気メニューを自店のメニューに加えて販売する仕組みで全国260店(2026年8月時点)まで店舗数を拡大している。
2020年5月に東京・新大久保に日本1号店を出した「ネネチキン」は、デリバリー・テイクアウトの専門店も含め、全国48店舗(2026年8月時点)。韓国発No.1チキンブランド「bb.q Chicken」は日本では「bb.qオリーブチキンカフェ」の名でワタミが運営。現在国内15店舗。2016年12月に東京・羽田にオープンし、今年10周年を迎える。
こうした各店の活躍もあり、「ヤンニョムチキン」「チーズタッカルビ」といった韓国料理は、今やすっかり身近な存在になった。やり方に違いはあれど、どの店も韓国チキンという、同じひとつの「ジャンル」に属することに違いはない。ジャンルが育てば自身も育つ。市場が大きくなれば自身の領地もまた大きく拡がる。
その理屈でいくと、韓国チキンの発展と拡大は、やはり、マムズにとってプラスでしかない。マムズタッチ成長のカギは「韓国チキン」「チキンバーガー」という、マムズが属する「ジャンルの拡大」に懸かっていると言ってよいだろう。
バーガー、チキンだけでなく「ピザ」もある
そして、意外なメニューが「ピザ」だ。
「ピザは韓国でスタートして、私がマムズに来た今年4月には既に日本でもやっていたんですが、ちょっと一新して、今は新しいものに置き換えて出しています」
中村社長のおすすめメニューは マムズタッチの シグニチャーメニューである『チキンサイピザ』だ。カリッと揚げた骨なし丸ごともも肉(サイ)チキンをピザの上にのせ、チキンのサクサク感とジューシーさ、ピザの風味を一度に楽しめるメニューだ。マムズチキンならではの個性が光るメニューで、韓国で長く愛されてきたシグニチャー商品の味を日本でもそのまま味わえるという点で、特におすすめしたいメニューである。
ピザの強みは「デリバリー」にある。渋谷・原宿といった商業圏の店舗に対し、下北沢や茅ケ崎・秋津の各店は住宅街立地、生活圏の中の店舗であり、デリバリー需要が高い。バーガーのみならず、フライドチキンやピザをメニューに持つことは大きな強みだ。
「ですから、デリバリーをターゲットにした出店戦略であったり、商品開発であったりというところも、今後につながっていくのではないかと見ています」
立地に応じて、各店のメニュー構成も柔軟かつ細やかに変わっていくかも知れない。
これからの動向に期待
渋谷店の客層は10代・20代の女性客がほぼ9割のマムズタッチ。店内BGMにイケてるK-POPが流れている。
この「マムズタッチ」という店名を目にし、耳にする機会もこれからきっと増えるだろう。「どんな店?」なんて疑問を挟む余地がないぐらい「当たり前な」全国チェーンになるかも知れない。
そして、「2027年末までに日本国内100店舗」という新たな目標を掲げたマムズの動きによって、K-POPならぬ「Kフード」もまた、新たな広がりと定着の段階を迎えることになるかも知れない。「韓国チキン」「チキンバーガー」という、マムズタッチが属する2つのジャンルの拡大と併せて、今後の動向をぜひ見守っていきたい。
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