こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡が観測した棒渦巻銀河「NGC 5335」。おとめ座の方向、地球から約2億2500万光年先にあります。


【▲ ハッブル宇宙望遠鏡が観測した棒渦巻銀河「NGC 5335」(Credit: NASA, ESA, STScI)】

くっきりとした渦巻腕を持たない銀河

黄色みを帯びた明るい中心部、その右上から左下にかけて棒状構造が伸びています。その周囲に広がる渦巻腕(渦状腕)は、渦巻銀河や棒渦巻銀河と聞いて想像する明瞭な「腕」ではなく、細かな模様が連なっているように見えます。


このように、渦巻腕が明瞭な渦巻構造を描かず、断片的な模様の連なりのように見える銀河は「羊毛状渦巻銀河(flocculent spiral galaxy)」と呼ばれています。ESA(ヨーロッパ宇宙機関)によると、新たな星を生み出す星形成領域が銀河円盤のあちらこちらに散らばっていることが、こうした形態につながっているといいます。


また、画像の幅は約17万光年に相当し、直径約10万光年の天の川銀河がすっぽり収まるほどの範囲が写し出されています。背景には遠方の銀河も数多く写り込んでおり、宇宙のスケールを感じられる一枚です。


中心部の星形成を促進する棒状構造

不明瞭な渦巻腕とは対照的に、NGC 5335の棒状構造はハッキリとしています。ESAによれば、こうした棒状構造には銀河の中心部へとガスを導き、星形成活動を促進する役割があるといいます。


天の川銀河を含め、観測された銀河全体の約30%にみられるという棒状構造は不変の構造ではなく、20億年ほどの周期で現れたり消えたりすることがあるといいます。ハッブル宇宙望遠鏡が取得したNGC 5335の観測データは、渦巻銀河の構造や進化を探るうえでの貴重な手がかりとなりそうです。


冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ35周年を記念してESA/HubbleやNASA(アメリカ航空宇宙局)から2025年4月23日付で公開された4つの画像のひとつで、ESAのハッブル宇宙望遠鏡公式Xアカウントが2026年8月27日に改めて紹介しています。


 


文/ソラノサキ 編集/sorae編集部


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