ドードーは歴史家が考えていたほど愚かではなかったかもしれない

by Lamiot
アフリカ大陸の南東沖に浮かぶモーリシャス島に生息していたドードーという鳥は、1600年代を最後に姿を消した絶滅種です。ドードーは愚かでのろまだったという記録がありますが、ドードーの頭蓋骨を調べた研究で、実は他の近縁種より特別頭が悪いというわけではなかった可能性が見えてきました。
sensory world of the Dodo and Solitaire revealed by endocast and skull anatomy | Zoological Journal of the Linnean Society | Oxford Academic

Dodos probably weren't as stupid as historians made them out to be: new research
https://phys.org/news/2026-08-dodos-werent-stupid-historians.html
ドードーは大型の鳥類で、天敵のいない島に生息するおとなしい種だったという記録が残っており、モーリシャス島に侵入した人間の手で乱獲され絶滅しました。ドードーはポルトガル語で「愚か」という意味で、18世紀に「Dodus ineptus(ineptusは愚かという意味)」という学名が付けられるなど、その愚かなイメージが古くから定着しています。
しかし、新たな研究で、このイメージが誤解を招く可能性があることが示されました。
カナダにあるレスブリッジ大学のサラ・シトロン氏は、わずか3つのみ現存するドードーの頭蓋骨を全て調べ、高解像度CTスキャンで頭蓋骨の形状を復元し、脳の大きさと形状を再現しました。これにより、視覚、嗅覚、認知能力に関係する構造を測定することも可能になりました。

by Emőke Dénes
ドードーがハト科の鳥であることから、シトロン氏らはドードーの脳とハトの脳を比較しました。その結果、認知や記憶に関係するドードーの「前脳」が脳全体に占める割合は、ほかのハト類と同程度であることが分かったそうです。
シトロン氏らは「言い換えれば、ドードーの知能がほかのハトより低かったことを示す証拠はありません」と指摘しています。先行研究では、体重に対する脳の大きさもほかのハト類と同程度だったことを示唆する結果も出ており、これらの結果からドードーが特別頭が悪いというわけではなかった可能性が考えられるとのことです。
ドードーがほかのハト類と大きく異なるのは感覚系、特に視覚でした。脳の中で視覚情報を最初に処理する視葉という領域を比べると、ドードーはハトよりも異常に小さいことが判明します。これはハトと比較した場合だけでなく、絶滅した近縁種「ロドリゲスドードー」と比較した場合も同様でした。

こうした小さな視葉はフクロウやキーウィなど夜間の生活に適応した鳥に見られるため、ドードーも暗い場所での生活に適応していた可能性があります。シトロン氏らは「1つの可能性は競争です。かつてモーリシャス島には巨大なリクガメが大量に生息しており、ドードーと同じ果実や植物の多くを食べていました。ドードーは爬虫類が活動しない涼しく暗い時間帯に活動時間を移すことで、競争を減らして食物を得られるようになった可能性があります」と考察しました。
現代に伝えられる記録には、捕獲したドードーを手に持ち、鳴き声を上げさせて他の鳥が近づいてくるのを待つ人々の姿が描かれているものもあります。ドードーが人間を警戒しなかった理由についてシトロン氏らは「単純に天敵がおらず何も恐れる必要がなかったから」と指摘し、これは捕食者が存在しない島に生息する種では一般的なことだと付け加えました。
シトロン氏らは、「今回の研究結果は、不器用で愚かな昼行性の鳥という、長年定着してきたドードーのステレオタイプに疑問を投げかけるものです。私たちは、日の出や日没の時間帯で薄暗い森を進み、現生のハト類と同程度の知能を持って行動するドードーを思い描く必要があるのかもしれません」と述べました。
