秋篠宮が改正皇室典範をめぐり示した“お気持ち”の真意 皇族の役割に「男女の区別はない」という発言が“愛子天皇”の道へつながる可能性も
改正皇室典範に盛り込まれた「旧宮家養子案」については、男系男子による皇位継承が前提であることへの批判が相次ぎ、改正後の世論調査でも女性天皇を認めるべきだとする回答が8割を超える。国民の理解が得られたとは言い難い状況だ。そうしたなか、改正皇室典範に関する秋篠宮の「私も生身の人間」「いろいろと思うところはある」といった発言が注目を集めている。その真意とは――。
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注目すべき「生身の人間」との発言
秋篠宮が"お気持ち"を示したのは、8月13日の記者会見でのことだった。パラグアイ訪問を前にした記者会見ではあったが、質問は外国との友好親善に関してだけでなく、次女・佳子さま、長男・悠仁さまら次世代の皇室を担う若い世代についても及んだ。
旧宮家の男系男子を皇族の養子に迎えること、女性皇族が結婚後も身分を保持することなどが定められた改正皇室典範は、佳子さま、悠仁さまの将来に関わる重大テーマと言える。
「記者が改正皇室典範に触れた時、秋篠宮さまの表情が硬くなり、緊張したように見えました。秋篠宮さまは普段から会見で回答(ペーパー)を用意しない方なので、何を言い出すかわからない。爆弾発言が飛び出すのではと宮内庁は内心ハラハラしていた」(皇室記者)
皇室典範をめぐっては、改正案が国会で審議入りする前の6月、オランダ、ベルギーへの公式訪問前の記者会見で天皇が発言した内容が注目された。制度に関わる事項への言及は控えるとしながらも、皇室のあり方や活動の基本は「国民と苦楽を共にすること」にあるとの考えを改めて示し、皇室典範の改正案が「国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります」と言及している。
皇室史に詳しい東京大学名誉教授(日本中世史)の本郷恵子氏が言う。
「秋篠宮殿下は会見で、皇室典範の改正に関して天皇陛下と同じ気持ちだとおっしゃっています。天皇が会見で話されたことを『もっともだと、その通りだと私は思っています』と発言された。さらに『私自身もいろいろ考えるところはありました』と、ある意味では天皇より踏み込んだご発言もありました」
なかでも本郷氏が注目するのは、「生身の人間」との発言だ。
「『生身の人間』は、天皇であれば象徴としてのお立場上、口にできない表現です。しかし、宮家は天皇家よりも自由度が高い。そこに宮家の役割のひとつがあると考えることもできます。
秋篠宮殿下も皇位継承者として本来は言えないはずですが、現状ではお気持ちを表現する役割を担える方が限られている。そうした点でも今回の発言の意味は非常に大きいと言えます」(同前)
天皇や皇族が皇室典範の改正に関わることはないが、「政府は水面下ですら事前に内容を伝えたり皇室の考え、意見を聞いたりすることはなかったようです」(前出・皇室担当記者)という。
神道学者で皇室研究者の高森明勅氏はこう言う。
「今回の秋篠宮殿下の発言の主旨は、法律の内容と共に、政府による皇室典範改正のプロセスで皇室のご意向が無視されたことへの苦言ではないでしょうか」
それが如実に表われたのが、記者会見終盤のやり取りだと高森氏は見る。
「『生身の人間』でありながら当事者としてのお気持ちを伝えられないのが現状だと殿下が述べられたのに対し、記者が改善の余地はあるとお感じかと重ねて問うと、『やっぱり世の中って進歩していくことが大事ですから』とお答えになった。ここでの『進歩』とは、問いとの対応で見ると、まずは皇室の意向が反映されない現状を前に進めなければならないという意味でしょう」
皇族の役割に「男女の区別はない」の意味
では、秋篠宮の真意はどのあたりにあるのか。現行制度では悠仁さまへの皇位継承が既定路線だ。
「先々に女性天皇、女系天皇が認められるための議論が広がるかもしれないのに、男系の養子をとることを決めてしまうことについて、抵抗感があるのではないか。女性皇族が結婚後も皇室に残る場合、配偶者は皇族にならないとの規定についても、そうした不自然なやり方を取ることについて、ご懸念があるように拝察されました。男女両方のお子様の『幸せ』を願うお立場でご心配が多いのではないでしょうか」(前出・本郷氏)
秋篠宮は以前から、「皇嗣」の秋篠宮と一家を支える宮内庁職員である皇嗣職の男女の区別をやめる改革を行なうなど、ジェンダー平等の考えを表明しており、今回の会見でも皇族の役割に「男女の区別はないと考えている」と発言した。
そこが重要なポイントになると高森氏は見る。
「男性なら民間出身の養子でも皆皇族となり、その子が男子であれば皇位継承資格まで持つのに対し、皇室で生まれ育った内親王・女王の配偶者や子供は民間人という、男尊女卑とも思えるような法律ができたことに違和感を示しておられるのではないか」
そうした秋篠宮の考えが、"愛子天皇"の道へつながる可能性もあるとの指摘もある。
「秋篠宮殿下は悠仁さまに対して『姉たちと同様に』とする教育方針をとってきた一方、愛子さまは天皇陛下のもと、戦没者の慰霊や被災地訪問など象徴天皇としての役割を意識した教育を受けられてきた。殿下が男女の区別はないと明言されたのは、直系長子の愛子さまが皇位を継承されるのが自然と考えておられるからではないか」(高森氏)
"愛子天皇"への道を閉ざす方向で成立した改正皇室典範だが、早くも「再改正」を求める声が上がり始めている。
そうしたなか、天皇や秋篠宮の発言は、皇室典範再改正の議論に「影響する」と高森氏は見る。
「再改正の声が上がる背景には、改正皇室典範の附則第6条に2つの見直し条項が盛り込まれ、附帯決議にも『適時適切な措置』を講じると明記されていることがある。国会でも政府側は繰り返し『将来を縛るものではない』と答弁しています。皇室からのメッセージを受け止めて『国民の理解』が進み、世論が盛り上がることがあれば、意外に早く再改正の議論が始まるかもしれない。その意味で、11月の誕生日会見で秋篠宮殿下が何を述べられるか、大きな注目点になります」(高森氏)
皇室にどのような"進歩"を望むのか、国民の一人ひとりが改めて考えるべき時ではないか。
※週刊ポスト2026年9月11日号
