Daiichi-TV(静岡第一テレビ)

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浜岡原発の再稼働に向けたデータ不正問題に揺れる中部電力。新たに廃炉作業にかかる工事費用を不適切に請求していたことがわかりました。

27日、会見を開いた中部電力は一連の問題について説明し謝罪しました。

(中部電力 大塚 温久 原子力部長)
「当社の原子力部門において度重なる不適切事案を発生させ、地域の皆さまをはじめとするステークホルダーの皆さまにご迷惑をかけていくことに、心より深くおわび申し上げます…本事案は2024年度の解体撤去工事に関する『NuRO』への実施報告費用請求の資料作成過程における文書作成行為に関するものであることから、浜岡原子力発電所の安全性に直接影響を与えるものではないと考えています」

静岡・御前崎市にある中部電力・浜岡原発。1・2号機の運転は2009年に終了し、2042年度の完了を目指し廃炉作業が進められています。

原発の廃炉作業では、電力会社が廃炉にかかる資金を管理する経済産業省所管の「NuRO」に工事費用を請求します。そして、NuROは提出された書類を確認した上で、電力会社に費用を支払う仕組みです。

中部電力は2025年5月、「NuRO」に対し2024年度の廃炉作業に関する証拠書類を提出。その際、少なくとも14件の解体撤去工事に関する報告書で、実際より工事が進んだように見せるなど書き換えていたといいます。そして2025年9月、中電は書き換えた報告書をもと費用を請求していたということです。

7月、「NuRO」からの指摘を受け、社内調査の結果、不適切な手続きが発覚。8月17日、原子力本部長に報告したということです。書き換えた動機について中部電力は…。

(中部電力 大塚 温久 原子力部長)
「2024年度の計画、これに合わせたかった、計画通りの実績としたかったという意見が得られているのは事実でございますけども…計画通りの数値にできるだけ合うようにという意図はあったと聞いていますが…計画通り行かなかったとき(NuROから)ペナルティがあるかというと、そういったわけではございません。そういったところも含めて、なぜ、計画と一致させたかったというところについては、1つの今後の調査のポイントになるとは思っております」

社内の調査では、「当初の計画に合わせたかった」などと報告が上がっていて、現在、外部の弁護士が、過大な請求がなかったか調べているということです。

“辻つまを合わせる意図”で行われたとみられる今回の不正。組織的な関与については、「一個人が行ったものではない」と説明したうえで次のように述べました。

(中部電力 大塚 温久 原子力部長)
「資料を作成している部署というのが、浜岡原子力発電所にあります廃止措置計画課という部署になります…1つの部署の中でやってたことは、これはもう間違いなくわかっております。では、広がりがどこまでかというところがまだ何ともいえないところなので…もう少し調べてまいりたいと思います」

中部電力を巡っては、2026年1月、浜岡原発3・4号機の再稼働に向けた審査で、想定される地震のデータを過小評価していた疑いが発覚。これを受け、原子力規制委員会は再稼働の審査を「白紙」に…。中電は、原子力規制委員会に対し、近日中に報告書を提出することになっています。

度重なる不祥事に中部電力は…。

(中部電力 大塚 温久 原子力部長)
「基準地震動の不適切な事案、それから、今回、本事案も含めまして、重ねてですね、社会の信用、信頼を損ねることであるという風に捉えております。特に私どもは、原子力発電所を運営する原子力事業者としての信用というものを大きく損なったという風に捉えております…組織的な要因であったりガバナンスであったり、何が原因だったのか、これきちんと抑えていかなければいけない問題だと捉えております」

また、経済産業省は、中部電力に対して今回の不適切な事案が発生した原因や経緯再発防止策のほか、似たような事案がほかにもないか確認して9月25日までに報告するよう求めました。

この新たな不正の発覚に、浜岡原発のある御前崎市民も怒りをあらわにします。

(御前崎市民)
「許せない…これだけ大きな会社が不正をするようじゃいけない…正々堂々と正しいことをしないといけない」

(御前崎市民)
「原子力発電所がないと浜岡はやっていけないよくわかっている。うまくやってほしいが、今の中電の体質では改善は難しい」

御前崎市長は改めて不信感を示しました。

(御前崎市 下村 勝 市長)
「少し注目の度合いは地元市としては違ってきているという認識です…極めて不適切だというふうに私自身は感じている。これから会社が変わっていこうという気概があったかと思うが、そういった部分が完全に払しょくされないと、なかなか住民の理解も得られにくいと思っていますので、そこはしっかり対応してもらう必要がある」

また、静岡県の鈴木知事は、「大変遺憾である。中部電力は事実関係や原因の調査や再発防止策の検討を行い、県民に丁寧に説明し、国は厳正な指導をするよう強く求める」とコメントを発表しています。

静岡市街地でも話を聞きました。すると、相次ぐ不祥事の発覚に南海トラフ地震を心配する声も…。

(静岡市内で)
「やっぱり地震対策とか静岡大変ですので…余計そういうところがうそで塗り固められたのが外に出ていくというのがすごく心配にはなります」

また、会社自体の変化を求める声も複数聞かれました。

(静岡市内で)
「会社自体は悪いもんじゃないと思うんですけど、その経営陣の問題じゃないのかなと思いますね」

(静岡市内で)
「人を入れ替えるとかしないと、悪いことした時に結局うやむやにするじゃないですか。上が変わらないとどうにもならない…どういうふうに変えたかというのを明確に
提示はしてほしいです。そうしないとどう信頼してもいいかも分からないので」

データ改ざんに加え今回の不適切な請求。中部電力の度重なる不祥事に企業のガバナンス問題に詳しい専門家は…。

(青山学院大学 八田 進二 名誉教授)
「これは、トップ主導のプレッシャーが潜在的にあるからというふうに理解するのが一般的…未達があった時に何かしらの制裁措置があるんじゃないか…あるいはそれを腹割って話せる環境にない 心理的安全性が満たされていない組織だというふうに思わざるを得ない」

一方で、今回、記者会見が行われた中で、八田さんはある言葉に注目しました。それは…。

(中部電力 大塚 温久 原子力部長)
「浜岡原子力発電所の安全性に直接影響を及ぼすものではないと考えております」

『安全性に直接影響を及ぼすものではない』この言葉は、リスク管理が不十分な現状をあらわしていると厳しく指摘します。

(青山学院大学 八田 進二 名誉教授)
「報告書・文書が違ってたんだと…この問題は浜岡原発の組織・機構に対する不信感・信頼性が毀損してるわけです。今回はこのデータの作成・文書だけかもわからないけど、これまでいろいろなことが起きている。ほかにないという保証はどこにあるんですか…実態に問題があるから不正が起きる。だから、その辺が組織全体としてのリスク感覚が完全に劣化してる」

再稼働を巡るデータ改ざん発覚後に行われた株主総会を経て、続投が決まった現会長と社長。八田さんは、会社の立て直しには経営陣の一掃が必要だといいます。

(青山学院大学 八田 進二 名誉教授)
「組織全体にはびこっている不正の温床…各当事者は真面目かもしれないが、より高い倫理観を持って業務に励まなきゃいけないけど、その技術者としての倫理も欠如してしまっている。これを全面的に見直すためには、やはり司令塔を変えなければ、私は組織は変わらないと思います」

そして、27日午後、中部電力の豊田 原子力本部長が御前崎市役所を訪れ、今回の問題について説明し謝罪しました。

市議からは厳しい指摘が…。

(御前崎市議)
「書類の書き換え、不正請求、このようなことを聞いて、原子力事業者としては“あるまじき行為”だと思いました」

(御前崎市議)
「市民の声として、一体、中部電力の何を信用すればいいんだと。二度あることは三度あるよねと。仏の顔も三度までだよねと、いくつも聞いているんですよ」