「タンパク質」の摂りすぎに注意!クレアチニン上昇を招く“落とし穴”【医師監修】
タンパク質は健康維持や筋肉づくりに欠かせない栄養素ですが、必要な摂取量はすべての人で同じではありません。年齢や性別、身体活動量、健康状態によって適切な量や摂り方は異なり、量だけでなく質や摂取タイミングも重要なポイントとなります。このセクションでは、タンパク質の1日の摂取量の目安と、個人差を踏まえた考え方について解説します。
監修医師:
浅川 貴介(医師)
2004年私立海城高等学校卒業
2010年私立東邦大学医学部卒業医師免許取得
2012年公益財団法人日産厚生会玉川病院
2016年東邦大学医療センター大橋病院腎臓内科
2018年医療法人社団七福会ホリィマームクリニック
2022年浅川クリニック
【免許・資格】
・医学博士
・日本内科学会総合内科専門医
・日本腎臓学会腎臓専門医
・日本透析医学会透析専門医
・労働衛生コンサルタント(保健衛生)
・東京都福祉局認定難病指定医
タンパク質の1日の適正量と個人差の考え方
タンパク質の適正摂取量は、年齢・性別・身体活動量・健康状態によって異なります。このセクションでは、一般的な目安と、個人差を踏まえた考え方について整理します。
年齢・活動量別の摂取量の目安
日本人の食事摂取基準(厚生労働省)では、タンパク質の推奨量として成人男性(18~64歳)でおよそ65g/日、成人女性(18~64歳)でおよそ50g/日が示されています。ただしこれはあくまで健康維持を目的とした推奨量であり、筋肉量を増やしたい方や高齢者では、必要量が変わってくる場合があります。
運動習慣のある方や筋力トレーニングを行う方については、体重1kgあたり1.2~2.0g程度を目安にするとよいとされており、体重70kgの方であれば84~140g程度が参考値となります。ただし、上限を2.0g/kgと考えると体重70kgで140g程度であり、これを大きく超えて長期的に摂取し続けると、前述のような過剰摂取による悪影響が生じる可能性があります。
高齢者は加齢に伴い筋肉量や筋力が低下する「サルコペニア」に陥りやすいため、若年層よりも体重1kgあたりのタンパク質摂取量を高めに設定することが勧められる場合があります。一般的には体重1kgあたり1.0~1.2g程度が参考として挙げられていますが、腎機能の状態によっては過剰摂取を避けるべき場合もあるため、持病のある方は医療機関で相談したうえで量を決めることが重要です。また、この〇g/kg は保存的CKDや透析患者での低栄養リスクを加味し小越判断をしたうえで医師が判断する基準値となり、標準体重に基づいて計算しています。
タンパク質の質と摂取タイミングの重要性
適正量を守るだけでなく、タンパク質の「質」と「摂取タイミング」も身体への影響を左右します。タンパク質の質を示す指標として「アミノ酸スコア」や「PDCAAS(タンパク質消化吸収率補正アミノ酸スコア)」などがありますが、簡単にいえば「必須アミノ酸をバランスよく含んでいるか」が重要です。動物性タンパク質(肉・魚・卵・乳製品)は一般的にアミノ酸スコアが高く、植物性タンパク質(大豆・穀物)は組み合わせることでバランスが整いやすくなります。
摂取タイミングについては、筋タンパク質の合成を促す観点から「1回の食事で大量に摂るよりも、1日の中で複数回に分けて均等に摂取する」ことが推奨されています。一度に吸収できるタンパク質量には個人差があるものの、1食あたり20~40g程度を目安に3食に分けて摂ることが、利用効率を高めるうえで効果的と考えられています。
また、運動後30~60分以内にタンパク質を摂取すると筋肉合成が促進されやすいとされており、これを「ゴールデンタイム」と表現することもあります。ただし、日常的な健康維持を目的とする方にとっては、タイミングよりも1日の合計摂取量と食事全体のバランスを整えることのほうが基本として重要です。タンパク質に偏った食事にならないよう、炭水化物・脂質・ビタミン・ミネラルをバランスよく組み合わせることを意識してください。
まとめ
タンパク質は身体にとって欠かせない栄養素ですが、必要量を大幅に超えた過剰摂取は腎臓・肝臓への負担や、クレアチニン値の上昇といった腎機能への影響につながる可能性があります。適正量の目安を把握し、食事全体のバランスを整えることが大切です。クレアチニン値の上昇や腎機能の低下が指摘された場合は、自己判断で対処するのではなく、腎臓内科や内科への相談を検討してください。日々の食事を少しずつ見直すことが、健康な身体を長く保つための確かな一歩となります。
参考文献
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
厚生労働省「慢性腎臓病(CKD)について」
国立循環器病研究センター「食事療法について」
日本腎臓学会「CKD診療ガイドライン2023」

