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ダッシュ力でもホンダ・シビック・タイプRを凌駕

ドイツ・ニュルブルクリンクで、FFモデルの最速ラップタイムを塗り替えた、フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50。我々が計測した0-97km/h加速は4.9秒で、ダッシュ力でもホンダ・シビック・タイプRを凌駕してみせた。

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ローンチコントロールに加えて、クロスレシオの7速デュアルクラッチATが効果的だったことは間違いない。だが97km/hへの加速に、シビック・タイプRは1度のシフトアップで済むが、GTI エディション50は2回と、息継ぎが1回多かったことも事実だ。


フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50(英国仕様)

中間加速も唸るほどで、約50km/hから110km/hへの上昇に要した時間は、たった3.7秒。シビック・タイプRより、0.7秒も鋭い。992型のポルシェ911 カレラS比でも、0.1秒速い。1.6kmの直線加速では、240km/hを余裕で超えてもいる。

制動距離も優秀。乾燥路面で約110km/hから停止するまでに、41.8mしか要さなかった。ただしブレーキペダルの感触は、期待より柔らかめ。グリップ状態を感じ取れるフィードバックが薄く、ABSが効く手前での制御が少し難しく思えた。

圧巻の落ち着きでゴルフ GTIの究極形

EA888型エボ4エンジンは、見事なレスポンス。少しこもったような音質ながら、チタン製マフラーはエッジーな響きを放ち、アクセルオフでの破裂音も楽しめる。シビック・タイプRの、モータースポーツ直系といえる強刺激には届かないとしても。

チャレンジングな一般道での、シャシーの落ち着きは圧巻。まるでエンジンが実際より150mmほど手前に載っているような、慣性を感じさせない回頭性も実現している。


フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50(英国仕様)

ステアリングは、従来のゴルフ GTIより重め。速度域が上昇すると、手応えは滑らかになり、反応の精緻さが増す。グリップの限界を伝える情報量は濃くないものの、挙動は一貫し、トルクステアはほぼ皆無。粗野な振動は遮断され、操る自信を抱きやすい。

熟成を重ねた、ゴルフ GTIの究極形と表現できる。それでも、シビック・タイプRで楽しめる、アクセルオフでのタックインのような特徴があってもいい。電子制御LSDの効果で、ウェットでのアンダーステアも抑えられているが、物足りなさもなくはない。

ドライバーが性能を引き出す高揚感を得にくい

ゴルフ GTI エディション50は、ブリヂストン・ポテンザ・レースの強力なグリップの見返りとして、アクセルオフでの挙動が沈着。サーキットを攻めてみても、これまでの系譜通り、安定性重視のシャシー特性にある。

どこか、血気盛んな印象が薄い。乗ればすぐに速さを堪能できる反面、路面状況を読み、ドライバーが性能を引き出すような高揚感は得にくい。贅沢な要求かもしれないが。


フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50(英国仕様)

DCCアダプティブ・ダンパーは15段階に調整可能だが、スポーツやニュルブルクリンクなど、各モードのプリセットで走ることが多いはず。スポーツ・モード時の乗り心地は、やや硬めでもしなやか。気負わず乗れ、長距離ドライブの良き伴侶になってくれる。

走行中の車内は、充分に静かでもある。約110km/h時のノイズは68dBA。よりシリアスな特性にある、シビック・タイプRは70dBAだった。

普段使い想定の燃費は14.1km/Lと悪くない

総じて、ゴルフ GTIの魅力は損なわれておらず、完成度は感動レベル。潤沢なパワーは確実に路面へ伝わり、洗練された快適性も実現している。GTI クラブスポーツでは真似できない鋭さで、外側のタイヤへ荷重を載せながらの旋回を可能としている。

燃費は、通常のゴルフ GTIへ僅かに劣る。これは、ハイグリップなタイヤによる影響が大きいだろう。とはいえ、普段使いを想定した試乗での平均は、14.1km/L。高速道路の巡航でも13.4km/Lと、極端に悪いわけではない。


フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50(英国仕様)

英国価格は4万8075ポンド(約1034万円)で、魅力的なパフォーマンス・パッケージには、3675ポンド(約79万円)の追加が必要になる。ハーマン・カードン社製オーディオやハーフレザー・シートなど、オプションもふんだんで、予算は膨らみがちだ。

荒々しくも落ち着きのある絶妙な仕上がり

半世紀の伝統を持つゴルフ GTIの特長を引き継ぎながら、見事なグリップ力と正確で落ち着いた操縦性によって、傑出の速さを叶えたエディション50。そのバランスの良さは、多くの人の共感を得るものだろう。

ダイレクト感やフィードバックの濃さなど、シリアスなホットハッチとしての刺激は若干薄いかもしれない。金字塔といえる、7代目ゴルフ GTI クラブスポーツSの再来とまでは呼べない。しかし気張らず乗れ、使えて楽しい。いかにもゴルフ GTIらしい。


フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50(英国仕様)

FFモデルとして、ニュルブルクリンクだけでなく、AUTOCARの計測史上でも最速。荒々しくも落ち着きのある、絶妙な仕上がりにある。

◯:通常のGTIには備わらないドラマチックな走り サーキットへ対応するパフォーマンス・パッケージ 保たれたマイルドなマナー
△:歴代ホットハッチの名車へ並ぶ、刺激や敏捷性にはない 強化ブレーキやコイルオーバーキットが欲しい 操縦性より重視された高速域での安定性

フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50(英国仕様)のスペック

英国価格:5万5803ポンド(約1200万円/試乗車)
全長:4292mm
全幅:1789mm
全高:1463mm
最高速度:270km/h
0-100km/h加速:5.3秒
燃費:12.9km/L
CO2排出量:176g/km
車両重量:1445kg(パフォーマンス・パッケージ時)
パワートレイン:直列4気筒1984cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:325ps/5500rpm
最大トルク:42.7kg-m/2000-5500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック/前輪駆動


フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50(英国仕様)