《高市首相と日本会議》次に目指すのは「明治の日」制定 保守層からの支持拡大を狙う高市首相、特定の団体に依存することでかえって国民からの支持を失う可能性も指摘
高市政権の支持率急落の原因とも言われているのが、旧宮家養子案の皇室典範改正だ。この政策について高市首相を後押ししたのが、保守系団体「日本会議」だ。安倍晋三元首相の死後、影響力が低下してきた日本会議にとって、高市政権で勢いを取り戻したいという狙いがある。一方の岩盤保守からの支持を集めたい高市首相は、日本会議が提唱する政策を実行し、その関係性を深めていった。いわば"共依存"ともにいえる関係の高市首相と日本会議だが、次に向かうのはどこか。【第4回】
次に目指すのは旧姓使用拡大法案と「明治の日」
日本会議が次に目指すとされるのが、その旧姓使用拡大法案と「明治の日」制定だ。
選択的夫婦別姓は新聞・テレビの世論調査で賛成が6〜7割に達しているが、日本会議は「日本の伝統的家族観を揺るがし、家族の絆の崩壊につながる」と反対運動を展開してきた。高市首相は夫婦別姓ではなく、パスポートやマイナンバーカードなどに旧姓使用の利用を拡大する方針を掲げたが、特別国会では審議日程が立て込んでいたため、秋の臨時国会に法案を提出する方針だ。
臨時国会では、野党側が提出した選択的夫婦別姓法案と、日本会議が推す政府与党の旧姓使用拡大法案がぶつかることになるが、与党は衆院の3分の2以上の議席を持っており、日本会議の主張に沿う法案が通る可能性が高いと見られている。
もう一つが「明治の日」制定だ。
〈明治に対する国民の思いを甦らせ……我が国の近代史を振り返る契機としたい〉
日本会議などが立ち上げた「明治の日推進協議会」のホームページにある言葉だ。
明治天皇誕生日の11月3日は、戦前は明治節と呼ばれたが、戦後、GHQの指導で「文化の日」となった。
それを「明治の日」として復活させようというものだ。
国会では自民や日本維新の会を中心に超党派の約100人の議員が参加する「明治の日を実現するための議員連盟」が2022年に結成され、会長は高市側近で日本会議国会議員懇談会会長の古屋氏が就任した。高市氏も会合に参加したことがある。
同議連は今年4月の総会で、「明治の日」を制定する祝日法改正案を提出する方針を打ち出している。
多くの国民にはピンとこないが、日本会議など保守系団体には重要事項となっている。日本会議を通じて保守層への支持を拡大したい高市首相にすれば、国民の関心が低い「明治の日」は実現させやすいと考えるかもしれない。
だが、旧姓使用拡大も「明治の日」制定も、特定の支持層に向けた政策ばかり進めているとなれば、国民の受け止め方は変わってくるはずだ。
政治ジャーナリストの宮崎信行氏が語る。
「皇室典範改正に対しては世論調査でも国民の失望感は高く、国旗損壊罪も国民は当惑し、支持されてはいません。強行採決にも批判が集まりました。そのうえ、高市氏がこれから明治の日や夫婦別姓阻止など日本会議肝煎りの法案を強引に進めていけば国民の受け止めもさらに変わる。物価高のなかでもっと優先すべき課題があるのではという疑念が広がるでしょう。支持率低下を受けて特定の支持団体に依存することで、かえって国民の支持を失っていくという負のスパイラルに陥っていく懸念があります」
総選挙で圧倒的な議席を得たことを権力の源泉としてきた高市首相をめぐる歯車は、大きく狂い始めているのではないか。
関連記事では高市首相と日本会議の政策や人脈など "共依存"ともいえる関係について徹底解剖している。
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※週刊ポスト2026年8月28日・9月4日号
