相場展望 米国株:金利高・イラン長期化、割高意識高まるAI・半導体関連株に売り優勢
■Ⅰ.米国株式市場●1.NYダウの推移1)8/17、NYダウ▲272ドル安、53,459ドル (日経新聞) ・8/17の米国株式市場でNYダウは前週末比▲0.50%安と続落して終えた。中東情勢の不透明感から原油価格が上昇し、株式相場の重荷となった。NYダウの下げ幅は一時▲300ドルを超えた。
・トランプ米国大統領は8/17、自身のSNSに「最大の目標はイランにいかなる形であれ核兵器を持たせないことだ」と投稿した。トランプ氏は、米国はイランとの覚書の延長を求めていない、と述べたとロイター通信が同日に伝えた。
・米国とイランの戦闘終結に向けた協議の不透明感から、8/17の米国原油先物市場ではWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近9月物が上昇した。インフレ圧力が高まるとの見方から米国債券市場では長期金利が前週末から水準を切り上げた。金利上昇で株式の相対的な割高感も意識されやすかった。
・NYダウの構成銘柄ではないが、半導体のマイクロン・テクノロジーが+4.1%高となった。米国政権が、アップルに中国から半導体メモリーを調達しないように求めたと米国紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が8/14に伝えた。中国企業との競争が激化するとの懸念が薄れ、メモリーやストレージの関連銘柄に買いが入った。
・主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は+1.6%上昇した。市場では「大型ハイテク株から半導体株への資金の移動が進んだ」との指摘があった。半導体株の一角が買われる一方で、マイクロソフトやアルファベット、アマゾンが下落した。
・その他の構成銘柄では、ナイキやウォルト・ディズニー、マクドナルドが下落した。セールスフォースやシャーウィン・ウィリアムズも安かった。半面、キャタピラーやシェブロン、ゴールドマン・サックスが上昇した。
・ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は前週末比▲0.31%安と、続落した。メタプラットフォームズやネットフリックスが下落した。半面、スペースXや韓国の半導体大手SKハイニックスの米国預託証券(ADR)は高かった。
●2)8/18、NYダウ▲116ドル安、53,343ドル (日経新聞) ・8/18の米国株式市場でNYダウは前日比▲0.21%安と、3日続落して終えた。中東情勢を巡る先行き不透明感が投資家心理の重荷となった。世界的に国債利回りに上昇圧力がかかっていることも、株式の売りを促した。
・トランプ米国大統領は8/18、自身のSNSに「イランとの間で進行中、または予定される協議や対話は一切ない」と投稿した。一方、イランのガリバフ国会議長は同日に「米国が約束を履行するまでホルムズ海峡は再解放されない」と述べたと伝わった。ガリバフ氏は敵対行為に対して「大きな打撃を与える用意がある」とも語った。
・米国原油先物市場ではWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近9月物が前日比+1%あまり上昇し、期近物として7月末以来の高値を付ける場面があった。イラン情勢を巡る不確実性やエネルギー輸送の正常化に対する警戒感が、株式市場の重荷となった。
・米国長期金利は米国・東部時間8/18未明の取引で一時4.74%と、7月末以来の高水準となった。米国30年債利回りは一時5.33%と、2007年以来の高さを付けた。原油高を受けたインフレ懸念や財政悪化に加え、人工知能(AI)インフラ構築のための資金調達を目的とした社債発行で、世界的に国債利回りが上昇している。
・米国債には買いも入り、米国長期金利は前日比で低下に転じた。もっとも市場では「国債利回りの上昇で、米国株の相対的な割高感が意識されている」との声があり、株式相場を下押しした。
・NYダウの構成銘柄では、エヌビディアが安かった。金利上昇でAIインフラ関連の資金調達コストがかさむとの懸念で関連銘柄の売りが目立った。データセンター向け発電機器を手掛けるキャタピラーも下げた。
・他の構成銘柄では、ボーイングやゴールドマン・サックス、シスコシステムズが下落した。シャーウィン・ウィリアムズとハネウェル・テクノロジーズも安かった。一方、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)やナイキ、コカ・コーラなど消費関連株は買われた。セールスフォースやIBM、アップルも上昇した。
・ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は前日比▲1.33%安と、3日続落した。マイクロン・テクノロジーやマーベル・テクノロジ-など半導体関連の売りが目立った。サンディスクやシーゲート・テクノロジー、インテルが大幅に下げた。
・主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は▲4.9%安と大幅安で終えた。
●3)8/19、NYダウ+119ドル高、53,463ドル (日経新聞) ・8/19の米国株式市場でNYダウは前日比+0.22%高と、反発して終えた。米国財務省が国債の買い入れ額の上限を引き上げると同日に発表した。長期債を中心に国債利回りが低下(債券価格は上昇)し、株式相場の支えとなった。
・米国財務省は、国債の買い入れ消却(バイバック)の1回あたりの上限額を20億ドルから少なくとも40億ドルに引き上げる方針を発表した。10~20年債と20~30年債が対象となり、期間は11/4までとした。
・米国債券市場では長期金利が前日比▲0.07%低い4.63%を付ける場面があった。市場では「世界的に債券の利回りが上がっていたこともあり、今回の発表を受けてさらなる上昇に歯止めがかかったのは株式相場にとって好材料だった」との声が聞かれた。
・NYダウの構成銘柄では、メルクの上げが目立った。一部の皮膚がんを対象にバイオ製薬のモデルナと共同開発してきた治療法の臨床試験(治験)が良好な結果を得たと8/19に発表し、買いが集まった。
・半導体関連や人工知能(AI)関連銘柄の一角が売られた。米国紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は8/18夜、米国オープンAIの2026年4~6月期の売上高が67億ドルで、アンソロピックの同四半期の売上高116億ドルを下回ったと報じた。NYダウの構成銘柄ではないが、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やブロードコムが下げた。
・米国連邦準備理事会(FRB)は8/19午後、7/18~19に開いた米国連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表した。多くの参加者はインフレ圧力が落ち着かない場合には今後、金融引き締めを行う可能性があると意見した。市場では「7月の会合後にFRB高官が発言したことをほぼ反映した内容だった」との声が聞かれ、相場への影響は限られた。
・その他のNYダウの構成銘柄では、セールスフォースやアムジェン、ウォルト・ディズニーが買われた。ナイキとアマゾンも高かった。半面、キャタピラーやハネウェル・テクノロジーズ、ゴールドマン・サックスが下落した。
・ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は、前日比+0.15%高と4日ぶりに反発した。ネットフリックスやテスラに買いが入った。一方、AIインフラのネビウスやコアウィーブが売られた。
2,米国株 : 金利先高観が浮上し、割高意識が高まるAI・半導体関連株に売りが優勢
●1)世界的な金利先高観で、割高意識が高まり半導体株に売り⑴米国株式市場に逆風の材料 ①金利高 ②原油高 ③相対的に割高感が増したAI・半導体株に売り圧力が増す ④イラン紛争 ⑤米国にインフレ加速懸念 ⑥米国中間選挙はトランプ信認選挙、支持率低下
⑵投資家心理が悪化①売り優勢の展開
⑶ついに株式相場を牽引してきたAI・半導体株が、売り先導役に転換か? ①米国主要株価指数(前日比)
| 指数 | 8/18 | 8/19 || NYダウ | ▲0.22%安 | +0.22%高 || ナスダック総合 | ▲1.33%安 | +0.16%高 || S&P500種 | ▲0.69%安 | +0.21%高 || 半導体株(SOX) | ▲4.98%安 | ▲2.12%安 |
②相場の牽引役であった半導体株が一転して売り優勢続く
●2)スペースX、株価大幅下⇒小反発も先行き不透明感が強い ⑴スペースXの株価推移
| 日付 | 株価(ドル) | 備考 || 6/12 | 160.95 | 新規上場、公募価格135ドル || 6/16 | 201.80 | 最高値 || 7/07 | 149.47 | ナスダック100の採用日 || 7/17 | 123.99 | 公募価格135ドル割れ || 8/05 | 108.27 | 最高値比▲46.3%安、公募価格比▲19.8%安 || 8/10 | 138.74 | 8/5比+28.1%反発、公募価格回復 || 8/11 | 133.29 | - || 8/12 | 146.15 | 売り筋の利益確定のための買いで上昇か || 8/19 | 139.65 | - |
・公募価格135ドルを挟んだ攻防が続く流れとなっている。 ・IPOに伴う売却制限の解除が続くため、強気になれない。
⑵新規株式公開(IPO)に伴う、次のロックアップ解除は8/20に約3.2億株
⑶IPO後発のオープンAIの決算が、同業のアンソロピックの決算に見劣り ・超大規模IPOに、不透明感が湧き出る展開となる。 ・スペースX株価にとってプラスとならない材料が出現。
3.米国30年債利回り5.31%、19年ぶりの高水準、原油高や日本の金利上昇が波及 (時事通信)
■Ⅱ.中国株式市場●1.上海総合指数の推移1)8/17、上海総合+55高、3,982 (亜州リサーチ) ・週明け8/17の中国本土マーケットで上海総合指数は、中国政府の政策に対する期待感が高まる流れとなり、前営業日比+1.41%高と続伸した。7/10以来、1ヵ月超ぶりの高値水準を回復した。
・足元で低調な経済統計の発表が続くなか、当局は経済対策を急ぐとの見方がある。
・週末に報告された7月の金融統計に関しては、人民元建て新規融資額が予想以上に減少し、過去最大の減少幅を記録した。マネーサプライ(通貨供給量)M2の伸びも予想を下回った。
・中国政府が先端技術の国産化に注力していることも改めて意識される。市場関係者の間からは、政府が経済成長の軸足を人工知能(AI)・半導体産業に移すとの観測で、関連銘柄に投資マネーが流入しているとの声が聞かれた。
・一方、中国本土では今日8/17(日本時間午後4時ごろ)、7月の月次経済統計が集中して公表される。最新の市場コンセンサスでは、小売売上高が持ち直す一方、鉱工業生産は鈍化し、年初来の固定資産投資や不動産投資は縮小率が拡大すると予想されている。なお、今日の統計発表時間については、これまで午前10時(日本時間11時)が通例だったが、午後に変更された。中国では8/17午前10時から、北京市の人民大会堂で江沢民・元国家主席の生誕100周年記念行事が開催されるため、その影響とみられる。
・業種別では、ハイテクの上げが目立つ。非鉄・産金も高い。インフレ関連、海運、自動車、不動産、保険・証券、医薬、エネルギーなども買われた。半面、酒造・食品は安い。銀行、公益なども売られた。
●2)8/18、上海総合+7高、3,990 (亜州リサーチ) ・8/18の中国本土マーケットで上海総合指数は、前日比+0.19%高と小幅ながら3日続伸した。前場は原油高を通じたインフレ懸念や、金利の先高観で売りに押されたものの、中国政府の経済対策への期待が下支えとなった。
・前日までに公表された7月の月次経済統計が弱い内容となるなか、当局が景気対策を急ぐとの見方が強まっている。市場関係者の間では、第3四半期(7~9月)内に預金準備率が引下げられるとの観測も一部で浮上した。
・ただ、株価指数は重い。
・戦闘終結に向けた米国とイランの「覚書」が60日間の期限を超え、ホルムズ海峡の正常化が困難になるとの見方が広がり、中東情勢の不安が相場の重荷となった。
・業種別では、農林水産の上げが目立った。食品もしっかり。石油、石炭、アパレルなども買われた。半面、印刷包装は安い。医療器械、化学繊維、船舶製造も売られた。
●3)8/19、上海総合▲95安、3,894 (亜州リサーチ) ・8/19の中国本土マーケットで上海総合指数は、投資家心理が悪化する流れとなり、前日比▲2.40%安と4日ぶりに反落した。
・中東情勢の不透明感が続いているほか、世界的な長期金利上昇が重しだ。戦闘終結に向けた米国とイランの「覚書」が失効するなか、トランプ米国大統領は8/18、「イランとはいかなる協議もしていないし、予定もない」と発言した。ホルムズ海峡の運航正常化も見通せず、WTI原油先物は7月下旬以降の高水準で推移している。
・中国本土や香港に対する影響の大きい米国金利に関しては、8/18の米国債券市場で小幅に低下したとはいえ、10年債利回りは一時1年7ヵ月ぶり、30年債利回りは一時2007年以来の高水準を付けた。
・その他、米国株安も逆風。8/18の米国株式市場では、このところ堅調だったフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が▲4.9%安と大幅に反落した。韓国や日本でも半導体関連が急落し、中国株マーケットにも売りが波及した。また、前日の上海総合指数は7/10以来、1ヵ月超ぶりの高値水準を回復したとあって、売り圧力も意識された。
・業種別では、ハイテクの下げが目立つ。非鉄・レアアースも安い。軍需産業、インフラ建設、自動車、不動産、医薬、消費、公益、証券なども売られた。半面、銀行は高い。エネルギー、海運、通信も買われた。
●2.BYD、1~8月期の販売▲16%減、政府の補助金縮小で、中国EVは「虚構の繁栄」から高機能競争へ (日経ビジネス)●3.中国7月石炭生産量、前年同月比▲10.1%減の3.43億トン、コロナ禍の水準まで減少、安全規制強化で 1)1~7月の生産量は27億トンに達し、前年同期比で▲2.9%減少した。 (ロイター) 2)5月に山西省にある炭鉱でガス爆発が発生し、82人が死亡。17年ぶりの最悪の鉱山事故となり、石炭資源が豊富な同省の炭鉱が検査のため操業停止。
●4.中国・7月鉱工業生産は伸び鈍化、小売売上高は予想下回る (ロイター)1)国家統計局発表の経済指標| 項目 | 7月前年比 | 予想 | 6月 || 鉱工業生産 | +4.5% | +4.8% | +5.3% || 小売売上高 | +0.6% | +1.5% | +1.0% || 1~7月固定資産投資 | ▲6.7% | ▲6.0% | 1~6月▲5.7% || 自動車 | ▲17.0% | ー | ▲16.1% |
2)内需低迷や台風による混乱、消費刺激を狙った政策の効果減退が、経済への重しとなっている実態が改めて浮き彫りになった。小売売上高は、夏の需要にもかかわらず減速した。
■Ⅲ.日本株式市場●1.日経平均の推移1)8/17、日経平均+506円高、69,220円 (日経新聞) ・8/17の東京株式市場で日経平均は前週末比+0.74%高と、5日続伸して終えた。終値で6万9,000円台を回復するのは7/6以来およそ1ヵ月ぶり。主要企業による2026年4~6月期決算の発表が一巡するなか、業績拡大の期待が高い人工知能(AI)・半導体関連株が買われて日経平均を押し上げた。だが、戻り待ちや利益確定の売りが出て、日経平均は下げに転じる場面もあった。
・前週までに主要企業が発表した4~6月期決算に関し「予想していたよりも堅調な内容が確認できた。通期見通しを引上げる企業も多く、総じて評価できる決算だった」との受け止めが多い。8/17は今期の業績見通しを上方修正していたアドバンテストが買われたほか、キオクシアやソフトバンクG(SBG)などAI・半導体関連株が相場を牽引した。
・日経平均は一時▲200円あまり下落した。日銀による利上げ加速の思惑もあって8/17の国内債券市場で長期金利が一時2.930%と約30年ぶりの水準に上昇するなど金利の先高観は強まっている。日経平均が前週に+3,000円あまり上昇するなど急ピッチに水準を切り上げるなか、株価の割高感が意識されやすく日本株には売りも出た。
・東証株価指数(TOPIX)は▲0.31%安と、9営業日ぶりに反落した。JPXプライム150指数は▲0.76%安と、8日ぶりに反落して終えた。
・東証プライムの売買代金は概算で8兆9,492億円、売買株数は20億9,249万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は627と、全体の約4割にとどまった。値下がりは890、横ばいは39だった。
・個別銘柄では、東京エレクトロンやイビデンが上昇した。一方、ファーストリやソニー、KDDIが下落した。
●2)8/18、日経平均▲1,759円安、67,460円 (日経新聞) ・8/18の東京株式市場で日経平均は前日比▲2.54%安と、6営業日ぶりに大幅反落した。下げ幅は▲1,800円を超える場面があった。中東情勢の先行き不透明感が投資家心理の重荷となった。日本・米国の長期金利上昇を背景に半導体関連銘柄の相対的な割高感が意識されたのも日経平均を下押しした。
・8/17の米国株式市場でNYダウなど主要3指数が下落した。トランプ米国大統領が、米国はイランとの覚書の延長を求めていない、と述べたと伝わった。中東情勢の先行き不透明感が改めて意識され、8/17の米国原油先物相場が上昇した。市場では「米国・イランとの間で緊張緩和を模索する機運も乏しく、日本株に戻り待ちの売りを出すきっかけになった」との見方があった。
・一方で、国内の長期金利上昇がPER(株価収益率)の高い銘柄が多い半導体関連の相対的な割高感を意識させた。円安などを背景にしたインフレに対応するため、日銀が早ければ9月会合で利上げに踏み切るとの見方が、金利の先高観につながっている。東京株式市場では、アドバンテストや東京エレクトロンなどの半導体関連が軒並み売りに押された。
・東証株価指数(TOPIX)は▲1.05%安と、続落した。銀行株などが買われて上昇する場面もあったが、続かなかった。JPXプライム150指数は▲1.42%安と、続落して終えた。
・東証プライムの売買代金は概算で10兆1,564億円、売買株数は22億1,462万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は783、値上がりは722、横ばいは51だった。
・個別銘柄では、村田製作所や太陽誘電、TDKが売られた。一方、三菱商事や三井物産が買われ、武田薬品も上昇した。
●3)8/19、日経平均▲2,134円安、65,326円 (日経新聞) ・8/19の東京株式市場で日経平均は前日比▲3.16%安と、大幅に続落した。およそ2週間ぶりに6万6,000円の節目を割り込んだ。前日の米国半導体株安や、世界的な金利上昇圧力を受けて人工知能(AI)・半導体関連株が売られ、相場の下げを主導した。8/19のアジア市場でハイテク株の比率が高い韓国総合株価指数(KOSPI)や台湾加権指数が大きく下げたのも投資家心理を冷やし、日経平均の下げ幅は一時▲2,300円を超えた。
・8/18の米国株式市場で主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が▲5%近く下落した。8/18は米国30年物国債の利回りが19年ぶりの高水準をつけたほか、日本では長期金利が一時2.945%と約30年ぶりの水準に上昇した。欧州でも主要国の国債利回りが上昇するなど中東情勢が混迷するなか、世界的に金利の先高観を意識した売りが出やすかった。
・インフレ圧力が強まるなか、国内外では経済指標の弱さが目立ち始めている。内閣府が8/17に公表した4~6月期の実質国内総生産(GDP)速報値は前年比年率1.1%増と市場予想に届かなかった。米国では7月の小売売上高が予想に反してマイナスとなっていた。「景気減速と物価上昇が同時に起きるスタグフレーションの兆しをいち早く察知する動きが強まり、株価下落に拍車をかけた」との指摘があった。
・東証プライム市場では値下がり銘柄数が1,155と、全体の7割強を占めた。AI・半導体関連や機械株のほか、金利上昇の恩恵を受けやすい銀行株も利益確定の売りに押された。もっとも、市場では「AI・半導体関連を中心に4~6月期は好業績の銘柄も多く、総悲観に傾いているわけではない」との声があった。東証プライムの値上がり銘柄数は362、横ばいは39だった。
・東証株価指数(TOPIX)は▲3.09%安と、3日続落した。JPXプライム150指数も▲2.78%安と、3日続落して終えた。東証プライムの売買代金は概算で10兆1,151億円、売買株数は25億1,136万株だった。
・個別銘柄では、ソフトバンクG(SBG)とキオクシアが大幅安となった。フジクラや古河電工の下げが目立ったほか、トヨタやファナック、三菱UFJも売られた。一方、メルカリやキッコーマンが高い。コナミやアステラスが上昇した。
●2.日本株 : 日経平均のトレンドが、上昇⇒下降へ転換するか? 瀬戸際に直面●1)日経平均の日中の動き⑴8/17の日経平均 前日終値 (68,713円) 始値 +169 好決算銘柄に買いが入った 安値 ▲221 戻り待ちや利益確定の売りが出て、下げに転じる 高値 +512 AI・半導体関連株が買われ日経平均を押し上げた 終値 +507 本日の高値近辺で引けた (69,220円)
・AI・半導体関連株の反発が、一時的かどうか試される展開となる。
⑵8/18の日経平均 前日終値 (69,220円) 始値 ▲373 米国主要3株価指数の下落が波及 高値 ▲127 金利高で銀行株などが買われた 安値 ▲1,852 金利利高・中東情勢で、AI・半導体株が軒並み売り 終値 ▲1,759 引けにかけて、若干の買い戻し (67,460円)
・東証プライムで、値上がり722銘柄、値上下がり783、横ばい51だった。 新高値銘柄数は102・新安値5と、個別銘柄では強い物色買いが目立った。 ・金利高で利ザヤ増期待で銀行株が買われたが、金利負担増を嫌い不動産株が売られた。
⑶8/19の日経平均 前日終値 (67,460円) 始値 ▲648 米国株安が波及しAI・半導体株が売り 高値 ▲627 世界的金利先高観・中東混乱で経済減速懸念 安値 ▲2,327 AI・半導体株安が下げを主導、韓国株安で、大幅安 終値 ▲2,134 引けにかけて下げ幅を縮めた (65,326円)
・東証プライムの値下がり銘柄数は1,155と、全体の74.2%と多数。 ・ただ、8/18~19で日経平均は▲3,893円下落したため、急ピッチな下げに対する 自律反発が予想される。
●2)日経平均を動かす、寄与上位5銘柄の状況⑴8/17、日経平均+506円高に占める寄与上位5銘柄の寄与額+708円高、占有率139.92%
| 銘柄 | 寄与額 | 上昇率 | 株価上昇幅 || アドバンテスト | +220円高 | +2.40% | +910円高 || キオクシア | +190円高 | +13.09% | +8,100円高 || ソフトバンクG | +118円高 | +2.49% | +147円高 || 東京エレクトロン | +97円高 | +1.59% | +960円高 || フジクラ | +83円高 | +6.79% | +413円高 || 合計 | +708円高 | - | - |
・久しぶりに、AI・半導体関連株が力強く上昇して、日経平均を押し上げた。 ・ただ、東証プライムの値上がり銘柄数は627で、全体の40.2%に過ぎなかった。 大幅高にもかかわらず、値下がりは890で、全体の57.1%を占めた。 ・したがって、全面的な株価上昇とはならなかった。
⑵8/18、日経平均▲1,759円安に占める寄与上位5銘柄の寄与額▲1,156円安、占有率65.71%
| 銘柄 | 寄与額 | 下落率 | 株価下落幅 || アドバンテスト | ▲463円安 | ▲5.08% | ▲1,920円 || 東京エレクトロン | ▲373円安 | ▲6.17% | ▲3,710円 || ファーストリテイ | ▲146円安 | ▲2.36% | ▲1,810円 || キオクシア | ▲110円安 | ▲7.58% | ▲4,690円 || 村田製作所 | ▲64円安 | ▲9.58% | ▲794円 || 合計 | ▲1,156円安 | - | - |
・AI・半導体株が下落を主導、金利高を嫌気して不動産株も売られ、大幅安となった。
⑶8/19、日経平均▲2,134円安に占める寄与上位5銘柄の寄与額▲1,145円安、占有率53.65%
| 銘柄 | 寄与額 | 下落率 | 株価下落幅 || ソフトバンクG | ▲485円安 | ▲10.34% | ▲603円 || アドバンテスト | ▲203円安 | ▲2.34% | ▲840円 || 東京エレクトロン | ▲173円安 | ▲3.05% | ▲1,720円 || キオクシア | ▲169円安 | ▲12.60% | ▲7,200円 || フジクラ | ▲115円安 | ▲9.73% | ▲574円 || 合計 | ▲1,145円安 | - | - |
・日経平均に占める寄与上位5銘柄の寄与率低下が特徴 ・寄与率の推移
| 日付 | 寄与率 || 8/14 | 116.54% || 8/17 | 139.92% || 8/18 | 65.71% || 8/19 | 53.65% |
・寄与率低下は、AI・半導体関連株の下落が、相場全体に波及していることを示唆。 日経平均そのものにマイナス影響が及び始めた。 これは、憂慮すべき問題である。 ・長期上昇基調にあった日経平均のトレンドに、どのような水をさすのか注目。
●3)値下がり率8/18の順位からみても、半導体関連株が先導した下落であった ⑴8/18値下がり率の上位
| 銘柄 | 下落率 | 株価下落幅 || キオクシア | ▲7.58%安 | ▲4,690円安 || コクサイエレ | ▲6.94%安 | ▲646円安 || SUMCO | ▲6.72%安 | ▲273円安 || スクリーン | ▲6.29%安 | ▲920円安 || 東京エレクトロン | ▲6.17%安 | ▲3,710円安 |
⑵8/19も前日の流れが継続 ・今期、増収増益見込みも、材料出尽くし感が優勢となり大幅下落。
●4)日経平均は、長期上昇トレンドから低下トレンドに転換するか瀬戸際⑴日経平均の動き| 期間 | 変動幅 || 7/30~8/17 | +7,786円高 || 8/18~8/19 | ▲3,894円安 |
⑵7/30~8/17の上げ幅に対して、8/18~19の下げ幅は▲50.0%と急ピッチで下落した。
⑶日経平均のトレンドが、上昇⇒下降へ転換するか? 瀬戸際に直面 ・日経平均のチャートでは、上昇の勢いが低下しているのが見て取られる。 ・上昇トレンドに戻るには、新たな要因が加わることが必要となる。
●3.GDP4~6月は年率換算で+1.1%増、個人消費は前期比▲0.02%減、最大リスクは物価上昇 (テレ朝)
■Ⅳ.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)・2326 デジタルアーツ 業績堅調・6523 PHP 業績絶好調・7733 オリンパス 業績好調
執筆者プロフィール
中島義之 (なかしま よしゆき)
1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

