米同時多発テロ追悼式典へのマムダニ市長出席、反対署名9万人に迫る…親パレスチナ派の主張「容認」と受け止め
【ニューヨーク=山本貴徳】米同時テロから25年となる9月11日の追悼式典を巡り、ニューヨークのゾーラン・マムダニ市長の出席に反対する署名が9万人に迫っている。
親パレスチナ派のスローガンを明確に非難しないマムダニ氏が過激な主張を容認していると受け止められているためだ。イスラム教徒の市長を排除するのは宗教的偏見だとの批判の声も出ている。
追悼式典では、遺族が犠牲者の名前を読み上げ、航空機の衝突やビル崩壊などの時刻に合わせて黙とうする。歴代の大統領や州知事、市長らも党派を問わず参列してきた。
追悼式典へのマムダニ氏の出席に反対する署名活動を始めたのはジョバンニ・ガランテ氏だ。世界貿易センターで働いていた妻を亡くしており、7月からインターネットで署名活動を始めたところ、署名は8万8000人分を超えた。
ガランテ氏らは署名活動にあたって、マムダニ氏が「インティファーダ(反イスラエル蜂起)を世界に」といったスローガンを明確に非難することに消極的だと問題視している。ユダヤ系団体などは、このスローガンが過去の自爆テロなどを想起させ、暴力を容認する言葉だと受け止めており、ガランテ氏は取材に「出席する公職者は、政治的暴力や過激な発言を明確に否定する立場でなければならない」と訴える。
別の遺族のチャールズ・ウルフ氏はマムダニ氏と「9・11」を軽視するような発言をした人物らとのつながりを批判し、「市長がイスラム教徒だから反対しているのではない」と話す。
これに対し、遺族団体の「平和な明日を求める会」は、マムダニ氏の出席を支持している。出席反対の動きについて、マムダニ氏に対する「反米的だ」との非難や、イスラム教への嫌悪が背景にあると批判し、世界貿易センター跡地の「グラウンド・ゼロ」は神聖な場所で、政治を持ち込むべきではないと訴えている。
一方、夫を亡くしたジャッキー・エドワーズ氏は、政治家の出席そのものに否定的だ。政治家の警備などで遺族の出入りが難しくなった経験を挙げ、「私たちが悲しむための時間であるべきだ。ここは埋葬地でもある」と語った。
市長の追悼式典出席を巡って様々な意見が交錯するなか、マムダニ氏は「遺族、生存者、(消防士や警察官などの)初動対応者に敬意を表する」と述べ、式典に出席する考えを変えていない。
