「僕たちすら時代遅れ」高校生が感じるネット利用のリアル スマホ制限「親に感謝」意見も SNS規制…必要なのは「納得」【ホンネ座談会】
未成年のSNS利用について、現在はアプリごとに年齢制限がある(例:日本ではInstagramは13歳からなど)が、一律にすべてのSNSで年齢制限を課す国も出てきたのをうけ、日本政府も今後議論を続けることになっている。SNSが「居場所」になっているこどももいるなどとして、一律年齢制限には慎重な意見もある中、当事者である高校生がどう考えているのか取材した。(社会部・こども家庭庁担当 見須理々子)
■中学生で最多「使い始めた年齢は0〜2歳」
今回はこどもとSNSの関係に詳しく、こども家庭庁の審議会の委員でもある兵庫県立大学の竹内和雄教授の協力を得て、小規模ながら高校生に話し合ってもらった。また大人の意見も聞くため、保護者、高校教員、Meta(Instagram、Facebookなどを運営)の社員にも、高校生とは別のテーブルで議論してもらった。
議論にあたっては「お互いを認め合う」「否定しない」「一人が話し続けない」という3つのルールを共有した。
まず竹内教授がいくつかのデータを紹介。「今の中学生では、ネットを使い始めた年齢が0〜2歳と答えた人が最も多い」という調査結果もあり、幼少期から生活にネットが入り込んでいる実情に高校生から驚きの声があがった。
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佐々木雅幸さん(高校2年生):「(インターネットについて)てっきり僕ら高校生が一番詳しいと思っていました。でも、(中学生では)ネットを使い始める年齢が『0〜2歳』が一番多いと知って…。高校生の僕たちですら、知らないことも多く、もう時代遅れなんだなと実感しました」
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大森満彩桜さん(高校2年生):「自分たちが思っているより、小学生のほうがネットの使用時間が長くて驚きました」
佐久間健さん(保護者):「大人のほうがネットについて知らない世界が多いんだと学びました」
■ネットは「親からすると悪い面だらけ」?
竹内教授が投げかけた問いに高校生からは「悪いものじゃない。両面あるのかな。やっている方からすると良い面ばかりだけど親からすると悪い面だらけなのかも」という声があがった。
まずは「ネットの良いところ」をあげてもらった。
【高校生チームの発表:ネットの良いところ】
◎財布がいらない
◎ゲームができる
◎アニメが見られる
◎位置情報がわかる、迷子にならない
◎ネットショッピングができる
◎ウォークマンがいらない
◎海外の映画を見ることができる
◎写真やビデオを撮影できる
大人チームからは「連絡が簡単・いつでも誰とでもつながれる」や「自己主張・自己表現の場がある」、「(時や距離を超えて)一流のものに触れることができる」といった意見が出された。
■「悪いところ」当事者ならではのリアルな“トラブル例”

一方、「ネットの悪いところ」については当事者ならではのリアルな悩みやトラブルの例が…。
【高校生チームの発表:ネットの悪いところ】
◎依存性がある、見始めたら止まらない
◎位置情報が友達同士でわかる
◎SNSの情報にデマが多い
◎現実とネットの差、文面だけで感情がわからないことが多い
◎本屋や映画館が衰退する
◎対面コミュニケーションが減少した
「位置情報アプリのせいで友達同士が喧嘩になった」「LINEのニュアンスが伝わらず『怒っているのかな』と不安になる」など、便利さの裏返しで生じるトラブルは日常茶飯事だという。
さらに最近では学習面での「AI活用」が広がる中、便利さと思考力低下など両面あり、葛藤が出てきているという。
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佐久間睦さん(高校2年生):「(練習)問題の解説をしてもらうときは便利です。解説がない問題集も多いので、みんなAIに聞いていますし、苦手分野の分析もAIでできます」
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大野敬太郎さん(高校3年生):「僕は模試の自己採点もAIにやらせています。学校の解答発表を待てないので、すぐ点数の目安を知りたくてAIに採点してもらっています」
作文や読書感想文をAIに書かせている友達もいるという発言もあり、思考力の低下などへの心配も出された。
堀内千保さん(Meta 公共政策本部長):「これからAIネイティブ世代が出てきたときに、自分で考えて勉強していくということがどうやって変わっていくんだろうと、すごく関心があります」
■国による一律規制か家庭内のルール作りか 子どもたちが納得できないと効果がない?
「じゃあネットの利用をやめたら良いのか?」という問いに対し、高校生の本音は「生活に根付きすぎて使わないのは無理。ゲームやSNSをやらないと友達の輪から外れて会話が成立しなくなる」というものだった。一方で、スマホ依存を自覚し「自分で制限するのは無理だから、親に厳しく制限してもらった方がありがたい」と漏らす高校生もいた。
高校2年生の佐々木さんは、中学時代に家庭でスマホの使用時間のルールを決め、それを今も守っているという。「一時期はイライラしていたけれど、親がスマホの使用時間を管理してくれているおかげで依存せずに済んでいる。今では親に感謝している」と語る。
実はルールを決める際、親子で話し合い、しばらくやってみてから佐々木さんが意見を言ってルールを変えるなどもしたといい、「国による一律の制限ではなく、親子が話し合ってお互いが納得した上でルールを決めるのがよいのではないか」と話した。
竹内教授によると「親子で話し合ってルールを作った場合にそれを守る子の割合が多い」というアンケート結果もあり、特に中学生までは親子の話し合いが有効だという。竹内教授が「高校生になったら親に言われなくても自己管理できるようにしないと。大人になったら誰も管理してくれないから」と言うと、うなずく高校生もいた。
便利さの裏にある依存のリスクやトラブルを実感しつつも、「もはやネットなしの生活は考えられない」と語る高校生たち。彼らが求めているのは大人による一方的な「禁止」ではなく、こどもたちの実情を理解したうえでの「話し合い」「納得」だ。
16歳未満のSNS利用を昨年12月から法律で制限しているオーストラリアでは反発も大きく、年齢を偽る例などが横行しているという。こどもたちを危険な情報やネット依存などから守るために、どんな仕組みが有効か、丁寧な議論が必要だ。