3つの重点施策を推進!ネットアップ合同会社、2027年度の事業戦略発表会を開催
発表会は、ネットアップ合同会社 代表執行役員社長の斉藤 千春氏による挨拶から始まった。
斉藤社長は2026年度の事業成果を振り返るとともに、2027年度の事業戦略を発表した。「データ インパクト アクセラレーション イニシアチブ」をスローガンに掲げ、顧客のAIによる利益創出を支援する取り組みや、「面で届ける・業界で効かせる」「描いて導く・実証で支える」「共に創り・共に伸ばす」の3つの重点施策について説明した。
ネットアップ合同会社 代表執行役員社長の斉藤 千春氏斉藤社長は、2026年度の成果として、保守サポートの顧客満足度が5点満点中4.84を記録し、顧客との個別セッションも前年度比2.5倍に増加したと説明した。また、ネットアップを「データインフラを提供するベンダー」と認識する回答が63%増加するなど、伴走型アプローチが市場から評価された。グローバルでは総売上高が前年比5%増の69億ドルとなり、過去最高の業績を達成した。

AIの導入自体ではなく、「AIによってどれだけ利益を生み出せるか」が企業の競争力を左右すると指摘した。AI活用の成果を高めるには、必要なデータを安全に蓄積・管理し、適切なタイミングで利用できる環境が不可欠であることを強調した。ネットアップは、インテリジェントデータインフラを通じて、データをインテリジェンスへ変え、実際のビジネス成果につなげることで、顧客のAIによる利益創出を支援する。
また、2027年度は「Data Impact Acceleration Initiative」を掲げ、次の3つの重点施策を推進する。

1. 面で届ける・業界で効かせる
地域・産業・技術を組み合わせ、自動車、製造、金融、情報通信、官公庁など、業界ごとの課題に適したソリューションを展開する。地域ごとの人材や電力、パートナーシップといった特性も踏まえ、構想から実装まで伴走する。
2. 描いて導く・実証で支える
「AI Factory Journey」を通じて、顧客のビジネス課題やAI活用の可能性を整理し、データから成果を生み出すロードマップを策定する。さらに「AI Factory Lab」において、データ共有、AI対応、サイバーレジリエンス、クラウド連携などを実環境で検証し、AI基盤の導入を加速させる。
3. 共に創り・共に伸ばす
製品販売を中心とした従来の協業から、顧客、パートナー、ネットアップがAIによる事業成果を共に生み出す共創モデルへ移行する。課題の定義や共同提案、他の業界・顧客への横展開まで連携し、三者が継続的に成長できるエコシステムの構築を目指す。
これら3つの重点施策を通じて、業界や地域ごとの課題解決、構想から実証・導入までの伴走、パートナーとの共創を推進する。製品を提供するだけでなく、データを具体的なビジネス成果へと変え、顧客のAIによる利益創出を支える方針を明らかにした。
■GPUクラウドサービスの提供も目指す
ゲストとして登壇したソフトバンク株式会社 執行役員 技術統括 共通プラットフォーム開発本部長のカーン アシック氏は、AIインフラの構築・運用におけるネットアップとの協業事例や、今後のパートナーシップへの期待について語った。
ソフトバンク株式会社 執行役員 技術統括 共通プラットフォーム開発本部長のカーン アシック氏ソフトバンクは、日本語に特化した大規模言語モデル「Sarashina」の開発をはじめ、AIの学習や推論を支えるGPU基盤の整備を進めている。過去3年間で約11万基のGPUを構築・サービス化しており、北海道・苫小牧や大阪・堺などでは大規模なAIデータセンターの整備を推進している。今後は、GPUを細かく仮想化し、顧客が必要な規模で利用できるGPUクラウドサービスの提供も目指す。
カーン氏は、AI基盤だけでなく、通信、法人向けサービス、データセンターなどのインフラを一つの組織で設計・運用できる点を、ソフトバンクの強みとして挙げた。工場やロボットなどでフィジカルAIの活用が広がることを見据え、データセンターに加えて、利用現場に近いエッジ側への計算基盤の配置も進めていく考えだ。
ネットアップについては、マルチテナンシーに対応するストレージ技術や、数十ペタバイト規模に及ぶ導入実績を評価した。今後は、AIサービスを支えるストレージ基盤の拡充に加え、ランサムウェアなどのサイバー攻撃への対策についても、ネットアップをはじめとするパートナー企業と連携し、エコシステム全体で解決していく姿勢を示した。
■3つの重点施策の具体的な取り組みを解説
ネットアップ合同会社 専務執行役員 コーポレート営業統括本部長の齋藤 智恵美氏は、同社の3つの重点施策の具体的な取り組みを解説した。
ネットアップ合同会社 専務執行役員 コーポレート営業統括本部長の齋藤 智恵美氏1. 面で届ける・業界で効かせる

第1の施策は、「産業」「地域」「技術」の3つの視点を組み合わせ、顧客ごとに最適なソリューションを提供する取り組みだ。
産業面では、自動車、製造、金融、情報通信、官公庁などの分野で蓄積した知見を整理し、それぞれの業界が抱える課題に対応した実践的なソリューションとして展開する。例えば、製造業ではAIによる品質改善や予兆保全、デジタルツイン、通信分野ではAIデータセンターやGPU基盤、公共分野ではサイバーセキュリティや災害対策、研究機関では大量の研究データを共有・活用する基盤の整備を支援する。
地域面では、IT人材、電力、通信インフラ、パートナー企業の強みなど、地域によって異なる条件を踏まえ、全国のパートナーと連携しながら現実的な解決策を提案する。
技術面では、ネットアップが強みとするサイバーレジリエンス、クラウド連携、AI Readyなデータ基盤、世界規模のパートナー網を活用する。国内外の事例から得た知見を再現可能な設計パターンとして体系化し、日本市場へ展開する方針だ。
2. 描いて導く・実証で支える

第2の施策では、伴走型アプローチ「AI Factory Journey」を通じて、顧客のAI構想を具体的な事業成果につなげる。
初めに「AI Factory Business Workshop」を実施し、顧客が保有するデータを棚卸しする。そのうえで、活用すべきデータ、変革できる業務プロセス、創出可能な事業価値を整理し、投資効果や優先順位を踏まえた段階的なロードマップを策定する。
続く「AI Factory Lab」では、データ共有、AI Ready、サイバーレジリエンス、データガバナンス、クラウド連携などを常設のラボ環境で検証する。多くのプロジェクトから得た知見を「Design Principles(設計原則)」として活用し、顧客の構想を実現可能なアーキテクチャへ落とし込む。
構想の策定やPoC(Proof of Concept、概念実証)で終わらせず、本番環境への導入と事業成果の創出まで支援する点が、この取り組みの特徴だ。
3. 共に創り・共に伸ばす

第3の施策は、顧客、パートナー企業、ネットアップの3者による「AI Value Co-Creation Alliance」の構築だ。
従来のハードウェア販売を中心とした協業から、顧客の課題を共同で定義し、AI活用シナリオの設計、共同提案、導入後の成果創出まで連携する共創モデルへ移行する。
特に日本のパートナー企業が持つ業務知識や高品質な運用サービスと、ネットアップのインテリジェントデータインフラを組み合わせることで、顧客のAIビジネス変革を支援する。個別案件で得た成果を再現可能なビジネスモデルとして整備し、ほかの顧客や業界にも横展開していく考えだ。
齋藤本部長は、「AIの可能性を語る時代から、AIの成果を証明する時代へ移った」と指摘した。3つの施策を通じて、顧客のデータをインテリジェンスへ変え、さらに具体的なビジネス成果へ結び付ける方針を示した。

今回の発表会では、ネットアップがストレージ製品の提供にとどまらず、データの整理からAI基盤の検証、本番導入、利益創出まで支援する姿勢を明確にした。「AIの可能性を語る時代から、成果を証明する時代へ移った」との言葉どおり、3つの重点施策が企業のデータを利益へ変えるモデルとして定着するか注目したい。
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