「手詰まり感」トランプ氏に「長期戦」辞さぬ構えのイラン…安保「トップ」に対イラク戦争指揮のレザイ氏
【テヘラン=吉形祐司】イラン最高安全保障委員会(SNSC)の事務局長に9日に任命されたモフセン・レザイ氏は、精鋭軍事組織「革命防衛隊」の司令官としてイラン・イラク戦争を指揮し、最長の在任記録を持つ。
同氏の起用は、手詰まり感の強いトランプ米大統領に対して長期戦も辞さない構えを見せ、圧力を強める狙いとみられる。
SNSCのメンバーのうち、2人は憲法規定で最高指導者が自身の「代表」として任命する。最高指導者の代表が自動的に事務局長に就任するとの規定はないが、マスード・ペゼシュキアン大統領がレザイ氏を即座に事務局長に任命しており、今回の人事の目的が事務局長の交代であるのは確実だ。
レザイ氏は革命防衛隊司令官を退任後も国家の要職を歴任し、「ご意見番」として軍事や政治など様々な分野で発言してきた。「超強硬派」ではないものの、最近は自身のSNSでトランプ氏を「狂った男」「絶望的な男」と呼び、攻撃に対しては敵の「殲滅(せんめつ)」で応じるとするなど好戦的な姿勢を示していた。
イランでは、イラクによる侵略で始まったイラン・イラク戦争を「押しつけられた戦争」と呼ぶ。昨年と今年の米イスラエルによる攻撃も「押しつけられた戦争」とされ、レザイ氏が指揮したイラン・イラク戦争と同列に扱っている。
イランは革命直後、イラクのミサイルや化学兵器による攻撃に約8年間耐えた経験があり、レザイ氏の起用は、こうした体験を想起させる人事といえる。
イランの最高指導者モジタバ・ハメネイ師は6月、米イランが戦闘終結に向けた覚書に署名した際、「自分の見解とは異なる」と留保しつつ、承認した。覚書がほぼ実効性を失った状況となり、軍事優先にかじを切った可能性もある。

