【特集】“もしも”への備えを考える「防災障害物競走」 石川の食品メーカーと中学生が共同開発
石川県内でも、またいつ起きるか分からない地震。その”もしも”の備えについて考えるきっかけにしてもらおうと、七尾市の食品メーカーとかほく市の中学生が新しい障害物競走を企画しました。中学生が学び考えた災害時の障害と備えとは…
かほく市高松中学校の教室。この日、生徒たちが集まった目的は…
食品メーカー「スギヨ」・田畑 梨杏里 さん:
「防災障害物競走会議を始めていきたいと思います。よろしくお願いします」
普段から自主的に防災について学ぶ、高松中学校の生徒たちと共同で開発することになりました。
一体、どのような障害物競走ができあがるのか…
最初に生徒たちは能登半島地震の発災時に実際に起きた”障害”について、現場を経験した防災士たちに話を聞きます。
■生徒:
「災害時は、箸とか食べるもの(食器)は支給されないんですか」
■防災士:
「届くのは届くの。だけど夏場でもあるんだけど、届いたものを今度、処分する時が非常に大変だった。ゴミの収集がないから」
「深夜でなくても、みんながやっぱり、静かになってる時に(トイレに)行くこと自体もね」
「音とか?」
「そうそうそう。気になる」
発災時には、思いもよらないさまざまな障害が起きることを知ります。
そして、同時にその障害は機転と工夫で乗り越えられることも学んでいきます。
「これ、防災リュック。この中にいっぱい入れてかついで移動できるんだけど、防水なんでここに水を汲んでくることもできるんですね」
災害時の伝言板として使うのは、料理用のキッチンラップ。
「ここ、何年何組の教室」
「2年3組」
「2年3組にいるよ」
「〇〇ちゃんへみたいなのを、貼っておいたりしたら集合できるかも」
生徒たちは、実際の被災経験を基に、障害物競走を作り上げていきます。
そしてイベント当日。
「3日間で電気と水がダメなんだよ。何が必要」
想定したのは、地震発生から3日間の避難生活。
スタート時に袋に詰めた物資を使い、避難生活で起こるさまざまな障害を乗り越えゴールを目指します。
「地震の時、何が一番足りなかった?」
「水とか」
「じゃあ水いるね」
「おでんとかいらんやろ」
「いるよ」
こちらの3人が袋に詰め込んだのは、水や塩・おでんなどの食料品や懐中電灯。果たして選んだ物資は役に立つのでしょうか?
「水が足りなくてくらくらする。さあ、解決するもの持ってますか?子どもが飲んでくれそうなもの」
「もってきた!ジュース!」
「ジュース持ってきた?」
「塩もってきた!塩と水ももってきた」
無事に脱水症状の危機を乗り越えました。しかし、こちらの課題では…
「スマホは使えず、災害情報が確認できない。解決するものは持っていますか。ラジオなど」
「ラジオ持ってる?」
「持ってな~い」
「ほら、こういうことよ」
「今、ここで水がもらえますよとか、いろんな情報分からへん」
災害情報を得ることができるものは、持ってきていませんでした。ですが、この障害物競走では、こんな解決も認められています。
「山本さんおるね」
「山本さんに聞くか。近所の人に聞いてみます」
「オッケーです」
発災時には自分で解決する自助だけでなく、身近な人と支え合う共助、互助も大切です。
一方、こちらの親子。解決できる物資を持ってきてはいましたが、思うように取り出せません。
「防災リュックに入れる時、ちゃんと下の方、出しやすいようにしとかんなんね」
備えるだけでは気付くことができなかった、新たな学びを得ていました。
■参加者は:
「能登半島地震は冬だったじゃないですか。今、夏なので塩分とか、季節によって用意するのが違う。自宅避難なのか避難所に行くのかによって、持っていくものって全然違うんだなと思って」
「本当の地震とかが来たら、このことを学んでできたらなと思いました」
「備蓄するものを改めて再考する機会になりました」
この日の参加者は約150人。参加者はそれぞれ新たな気付きを得ていたようでした。そして、開発した中学生も…
■生徒は:
「防災を通していろいろな人の価値観とかに気付けて、自分でも新たな気付きもあってとても楽しかったです」
「地震とか災害とか防災の価値観とかが自分の中で、一つ一つを友達に説明とか親とか説明できるくらいは変わっていったかなと思います」
障害を…もしもの事態を…乗り越える力へ…
企画したスギヨでは、今後、別のイベントでもこの障害物競走を実施し、地域の防災力を高めていきたいとしています。
