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 ◇第108回全国高校野球選手権第6日 1回戦 横浜7―2沖縄尚学(2026年8月10日 甲子園)

 横浜(神奈川)の今秋ドラフト1位候補で最速157キロ右腕の織田翔希投手(3年)が10日、沖縄尚学戦で8回2/3を6安打2失点、12奪三振の好投で初戦突破に導いた。優勝候補同士の激突という注目の一戦で、春夏通じて球場表示では歴代最速にあと1キロに迫る154キロを計測。世代屈指の本格派投手は同校の投手では松坂大輔の11勝に次ぐ、歴代2位タイの聖地7勝目を挙げた。

 横浜の勝利を告げるサイレンが響き、「王者たち」が本塁前で歩み寄った。ビッグマッチを制した織田が、沖縄尚学のエース・末吉良丞(3年)と抱擁した。ライバルから「ありがとう、頑張れよ」と言葉を受け、勝者の校歌を歌った。

 「素晴らしいチームに勝ち切れてうれしい。(末吉は)昨年の優勝投手。投げ合えて、凄く楽しかった」

 NPB全12球団に加えヤンキース、レンジャーズなど日米計17球団が視察する中、蝶のように舞い、のように刺した。3回2死、3番打者の3球目に154キロを計測。春夏甲子園の球場表示では歴代最速155キロまで1キロに迫り、巨人スカウトのスピードガンでは155キロだった。全139球中20球が150キロ以上。102キロのスローカーブ、決め球のスライダーもさえ「どこで変化球を使うかしっかり投げられた」と胸を張った。

 伝説のチャンピオンになると決めたのが5月2日。世界スーパーバンタム級4団体タイトルマッチを観戦した。井上尚弥VS中谷潤人の世紀の一戦。東京ドームを埋めた5万5000人の一人が織田だった。井上がベルトを掲げる姿に「得られるものしかない。研究されても絶対に上を行く、世界で戦う選手」と憧れた。

 100日後。高校野球界のチャンピオンマッチで主役を務めた。昨春優勝の横浜VS昨夏制覇の沖縄尚学。今度は自分が3万7000人の大観衆の前で9回2死まで12三振を奪い、6安打2失点と圧倒。他の投手に経験を積ませるために降板を告げられた。

 実は「5・2決戦」は、春季神奈川県大会準決勝だった日の夜だった。翌日が決勝の状況で異例の観戦だったが、村田浩明監督が引率し「そういう試合が人生で必ずどこかで来ると思った」と語る。関東大会後、走者なしでもセットポジションだった織田にノーワインドアップを勧め、ボクサーがステップで刻むような新たなリズムも生まれた。

 沖縄尚学とは優勝した昨年の選抜2回戦で対戦し、3回途中4失点で降板。リベンジした織田は「またここで成長できる」と王座に視線を送る。村田監督からは大会前に「大怪物になれ」と指令を受けた逸材が伝説に一歩近づいた。 (柳内 遼平)