阪神・近本光司 首位陥落危機を救う今季1号は自身初の「1―0決勝弾」 連敗を止め「凄く大きい勝利」
◇セ・リーグ 阪神1―0中日(2026年8月4日 京セラドーム大阪)
阪神・近本光司外野手(31)が9日の中日戦で今季1号となる決勝ソロを放った。チームわずか2安打のうちの1本を、自身初となる「1―0V弾」で記し、チームの連敗を2で止め、2位転落危機も救った。これで今季のこのカードは、シーズン勝ち越しが決定。日曜日は8連勝となった。11日からは敵地に乗り込み、同率首位の巨人との3連戦に臨む。
自著「僕は白と黒の間で生きている。」のタイトルどおりに、近本は明確な回答を避ける。ヒーローになったこの夜も核心に触れぬよう思慮深く言葉を選んでいたが、1つだけ力を込めた答えがあった。連敗を2で止めた意義を問われた時だ。
「それはすごく大きかったと思う。翌日は休みなので、今日勝つのと負けるのとでは全然違う。野手は打ててない感覚で(次の試合に)いくので、勝ったので良かった」
100試合目で飛び出した今季1号は、チームを助ける100点満点の一発だった。6回1死から、柳の内角低めの難しいカットボールを捉えると、打球は高い弧を描いて右翼フェンスを越えた。試合を通じて両軍で唯一の得点となる「1」がスコアボードに刻まれる。5回までチームで1安打という苦しい状況を一振りで打開した。
ハイテク野球の最先端を行く選手と言っても過言ではない。「科学を取り入れるのは大事」と、打席データは全て自分の端末に保存。パフォーマンス向上に役立てている。また、回転数などの投手の計測数値や、野球統計の指標から投手の特性をあぶり出すのも得意。この手法は、今や中野や佐藤輝、森下らにも波及している。
しかし、アスリートとしての根本的な考え方はアナログだ。
「野球は科学との相性はすごくいいと思う。例えば、データや映像が伴ったマシンを使うことで、自分をより高めることもできる。でも、結局やるのは自分の体と心。もし、打席で技術、体調、メンタルに不安があったら、タイミングが0・001秒ずれるかもしれない。結局、データが頭に入っていても、それだけで打てない。だから本当に大事なのは、体とメンタル」
4月に左手首に死球を受けて骨折。リハビリ期間中、ひたすら自分の体と心と向き合いった。構えを変え、従来と異なるバットも試し、技術も再構築した。この日のアーチと「11」に伸ばした連続試合安打は、地道な自己研鑽に裏打ちされている。その一方で連続安打に水を向けられると、「こういうの言われると止まっちゃう気がするので、気にせず楽しくやります」と茶目っ気を忘れなかった。
吉田義男が持つ球団記録「入団から8年連続100安打」は、残り43試合で50本。骨折さえも糧に変えた安打製造機なら、決して不可能な数字ではない。(倉世古 洋平)
○…近本(神)が6回の本塁打で今季50安打に到達。近本は昨季まで「新人から7年連続100安打」を達成しており、今季8年連続となれば、球団では吉田義男(53〜60年)以来2人目の快挙となるが、左手首骨折による離脱が響き、残り43試合で50本が必要だ。

