[8.8 J1第1節 FC東京 1-5 町田 味スタ]

 電撃移籍を経て迎えたJ1開幕節、出番は突然に訪れた。「急だったのでアップもしてなかったけど、まずは守備でやられないようにと」。FC東京のDF石原広教の新天地デビューは1-5の大敗という苦しい結果に終わったが、Jリーグ屈指のポジション争いに挑む気概は確かに示した。

 石原は今季、浦和からFC東京に加入したサイドバック。本職の右サイドにはDF室屋成が君臨する中、開幕節はベンチスタートとなったが、前半38分に左サイドバックのDF橋本健人が一発退場処分を下されたのを受け、急遽ピッチに送り込まれた。

 2023年まで所属した湘南時代は左サイドバックでもプレーしていたが、ブランクは明らか。また投入直後は4バックの布陣を敷いていたものの、ビハインドとなった後半は5バックに変更するなどフォーメーションも固まらず、加入初戦としては厳しい役目を強いられた。

 それでも石原はチームが失点を重ねる中で「諦めちゃいけないし、10人だろうがなんだろうが続けなきゃいけない。隙はあるように見えていたので」と周囲を懸命に鼓舞。自身のプレーについては「結果が全て」と満足した様子はなかったが、「持ち方などおぼつかない部分もあったとは思うけど、自分の中ではやれると思った」と一定の手応えも重ねたようだ。

 そんな石原は本職の右SBで出場する場合、ドイツでのプレー経験を持つ室屋にポジション争いを挑む形となる。もっとも石原が左サイドもできるとなればチームにとっては大きなポジティブ要素。また石原の加入後にはMF安斎颯馬とDF長友佑都の新契約も決まっており、Jリーグ屈指のSB争いが繰り広げられるのは間違いない。

 それでも石原はこうしたサバイバルについて「競争したくて来たのもあるのですごく楽しい」と断言。「それぞれキャラクターが違う人たちで、誰が出てもJ1でやれる選手たちがいるし、トップの選手たちが揃っている。すごく面白い競争になる」と前向きに語った。

 浦和時代もプレーの幅を広げる3年間を過ごしており、成長意欲や向上心は折り紙つき。新契約を結んだ長友からも「憧れを持っていた選手だし、去年ユニフォームをもらった。そのような選手と一緒にやれるのも滅多にない機会。学べるものを学んで、話も聞けることは全部聞きたい」と刺激を受けており、新天地でさらなる成長を目指す。

(取材・文 竹内達也)