【二階堂 運人】タクシーGOが元凶?最近めっきり「流しのタクシーが捕まらない」やるせない理由…実は気のせいではなかった

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タクシー乗り場に車が一台も…」なぜなのか

「流しのタクシーがなかなか捕まらない」という声を、最近よく耳にする。手を挙げてもなかなか停まってくれない。やっと来たと思ったら、スーパーサインに「迎車」の文字。タクシー乗り場に行っても、車が一台もいない。心当たりのある人は多いはずだ。

筆者自身もハンドルを握っている身として言えば、この現象の裏には配車アプリ、特に「GO」の存在が大きい。

先日発表されたGO株式会社の通期決算は、増収増益に加え、純利益は前期比300%を超える伸びを記録した。テレビCMも積極的に打たれ、「タクシーを呼ぶならGO」というイメージは、この数年でしっかり根付いた。

一方で、GOをめぐっては「タクシー会社やドライバーに利益がきちんと還元されていない」という声が、業界内で以前からくすぶり続けてきた。純利益300%超という今回の数字は、その噂に説得力を持たせる格好になった。

街で流しのタクシーが捕まりにくくなった理由はシンプルだ。消費者の意識が変わったというより、ドライバー側がGOを使わざるを得なくなっている。

迎車料金込みで単価が高く、依頼も安定して入るGO経由の営業に比べ、街を流すだけでは効率が悪い。結果として、多くのドライバーがGOの営業に軸足を移し、街を流す車両そのものが減っている。

GO以外の配車アプリは「鳴らない」

数字を見ても、GOの一人勝ちぶりは際立つ。

ある調査会社によるタクシー配車アプリの利用者数調査では、GOが首位で、DiDi、Uber Taxi、S.RIDEが続いた。もとは2020年9月に「JapanTaxi」と「MOV」が統合してスタートしたアプリだが、わずか数年で全国47都道府県すべてに展開する唯一のタクシーアプリへと成長し、提携タクシーは全国で8万台を超えた。累計ダウンロード数は3000万件を突破し、直近の決算期の配車回数は前の期から25%増えている。この伸びの速さこそ、他のアプリとの差を生んでいる大きな理由だろう。

現場の感覚としても、都市部を走るタクシーの多くが何らかの形でGOと連動している。GO以外の配車アプリを使っている周りのドライバーに聞いてみても、「鳴らない」という返事が多い。配車アプリが導入されていても依頼が来なければ、営業ツールとして機能しない。

結局、依頼が安定して入るGOに戻ってくるドライバーは少なくない。提携するタクシー会社も全国に広がり、大手から中小まで多くの事業者がGOの配車網に組み込まれている。

この急拡大は、単に「タクシー配車で稼ぐため」の動きではないように見える。GOは自動運転タクシー、いわゆるロボタクシーの研究にも力を入れ、海外の配車サービスとの提携も進めている。全国規模の配車網とデータを今のうちに押さえておくことが、将来の自動運転時代を見据えた布石になっているのかもしれない。

今回の好決算の裏には、目先の収益だけでなく、次の時代の主導権を握るための投資フェーズという側面もありそうだ。

「GOの営業をやらなければ稼げない」実情

しかし、GOの独走がこのまま続くとは限らない。タクシー会社との提携台数で後れを取っていたUber Taxiが、エスライド(S.RIDE)と組むなど、追い上げの動きも出てきた。

アプリでの提携拡大とは別の攻め方をしているのが、交通系スタートアップのnewmo(ニューモ、東京・港)だ。newmoは、大阪府の朝日自動車グループ傘下のタクシー会社3社を買収し、約160台を引き継いだ結果、大阪府内の車両数が計1200台を超え、大阪で首位の事業者に躍り出た。配車アプリとして提携先を増やすのではなく、タクシー会社そのものを傘下に収めてしまうやり方だ。

配車アプリのシェア争いは、この先の自動配車・自動運転の主導権争いにも直結するだけに、今後さらに激しさを増していきそうだ。

見落とせないのが、ドライバー側の実情だ。今や多くのタクシードライバーにとって、「GOの営業をやらなければ稼げない」状況が当たり前になりつつある。GO経由の配車は、迎車料金込みで単価が高く、効率よく売上を積み上げられる。

この差が、ドライバーをますますGO頼みにさせている。稼げているタクシードライバーの背景には、ほぼ例外なくGOの存在があるのだ。

つづく【後編記事】タクシー配車GOの“荒稼ぎっぷり”、現役ドライバーたちのフクザツな本音「チップも奪われて」「無言の圧力が…」』では、GOがドライバーから具体的にどう収益を吸い上げているのか、そして「コアタイム」と呼ばれる仕組みが、ドライバーをいかにGO専属へ縛り付けているのか、現場の目線で見ていきたい。

【つづきを読む】タクシー配車GOの”荒稼ぎっぷり”、現役ドライバーたちのフクザツな本音「チップも奪われて」「無言の圧力が…」