【柏木 理佳】「セルフレジは便利」のはずだったのに…誰もが感じる「使いづらさ」がなくならないワケ
コンビニやスーパーマーケットでは、当たり前になった「セルフレジ」。しかし、高齢者はもちろん、若者でも「使いづらい」「わかりづらい」という声は少なくない。
前編記事『米国では「セルフレジ見直し」が進んでいるのに…万引きが増えても日本のスーパーがやめられない「切実な事情」』に続き、生活経済ジャーナリストの柏木理佳氏が解説する。
有人レジよりかえって時間がかかる
万引きだけの問題ではない。セルフレジは本当に必要なのだろうか。イギリスでは、2023年、高級スーパーのBoothsがコミュニケーションが減り、また、結局、スキャンがうまくできないなど時間がかかり、店員の作業も増えるという合理的な理由から撤退した。
日本でも、特に、中高年者にとって「操作しづらい」という意見が多い。クレジットカードで払おうとしてカード決済の列に並び、商品を1つずつレジにとおして袋詰めした後、カードを忘れていたことに気づいた場合、現金払いの列に並び直し、さらに商品も1からレジを通して袋詰めしなければならない。
袋詰めがうまくいかず、入りきらないため、横に商品を置くと、重量センサーが機能しなくなりエラーとなり、従業員を呼ばなければならない。
バーコードがうまくスキャンできず、イライラしていると、後ろに並んでいる顧客にもせかされている気がしてストレスになり、有人レジよりかえって時間がかかることもある。スーパーによって、レジの種類も異なり、覚えきれない。
セルフレジだから並ばなくてもいい。早く会計ができるというはずだったのに、逆効果になっているケースもあるのだ。
行政が関与して同じシステムに統一してくれたらいいが店ごとに種類も異なり、せっかく覚えても、また戸惑うことになる。
いつまで経っても「使いづらい」
意図しない万引きもあり見極めも難しい。中途半端な状態のシステムであるのに、導入店は増えている。
一気に最新版になれば、商品の入った籠を置いただけで会計が終わるようなレジだと、複雑な操作は不要になるが、いったい、レジはどの方向に進んでいくのか。
イギリスでは、1個か2個しか買わない顧客用に「スモールショッピング」のレーンがある。その列は数個しか買わない顧客のための列であり、大量に購入する顧客の後に並ばなくてすみ、早くレジに進むことができる。
日本では、高齢者や認知症の人がゆっくり自分のペースで有人レジで支払いをすませることができる「スローショッピング」という列を設けたスーパーなどもある。従業員がサポートしながら、ゆっくりお財布から小銭を出したりコミュニケーションがとれる。
まずは、レジを使う前の行列をなくし、基本的な接客に立ち止まることも重要である。
イギリスでは野菜にまでバーコードのついたシールを貼っていた。入店後、ハンディスキャナーを取り、それで商品のバーコードをスキャンして買い物かごに入れると、毎回追加するたびに計算され合計額が提示されるので予算オーバーすることはない。
レジに行くと、すでに合計額が提示されていて並ばなくてもいい。ただ、レジ前で1個ずつ商品を手に取りスキャンする作業が、籠に入れる時に代わっただけである。日本でも類似のシステムがあるが、普及していない。
アメリカでは、もっぱら万引き対策に必死なようだ。レジの前で未スキャンで商品を袋に入れた場合や疑わしい取引は、遠隔で画面をフリーズさせる機能を導入したり、アラームが鳴るシステムを導入したところもある。
日本でもそのようなシステム開発は進んでいるようだが、今後は、これらの万引き対策用のレジが普及するのかもしれない。
また、最新版のレジの導入には膨大なコストがかかる。カメラ設置や個人情報の問題もあるだろう。これらをクリアするまでは、我々は手間のかかるレジで我慢しなければならないようだ。スーパーは、消費者が手間のかからない最新版に進化するというよりも、まずは、万引き防止対策用で必死という皮肉な結果になっている。
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