「本の甲子園」とは、直木賞作家の今村翔吾が発案し、一般社団法人ホンミライが主催する新たな文学賞である。今村は、書店が激減している現状に強い危機感を抱き、出版業界を盛り上げる活動の一環として本賞を設立した。

本賞の画期的なポイントは大きく2つある。1つ目は「選考委員が図書館員」である点だ。出版業界と図書館業界には、話題の新刊を複数購入して貸し出す「複本問題」を始めとした確執が存在していた。しかし、今村が「図書館業界と出版業界がここまでスクラムを組むのは史上初」と述べるように、本賞は両者の連携を強く意識した取り組みとなっている。

2つ目のポイントは「都道府県対抗のトーナメント形式」であることだ。対象は1年以内に発売された日本の小説で、47都道府県に在住する作家本人の「自薦」によって候補作を募集する。各都道府県の図書館員の投票で代表作を決める地方大会を経て、本選のトーナメントへと進む。本選の選考では、全選考委員の中からランダムに数名を選出し、さらにその判定結果から3票を抽出して多数決で勝敗を決める。この一見運任せなシステムには、「本との出会いは、確率や運や縁だ」という今村の深い考えが根底にある。

動画の後半では、本選に出場する計35作品の中から、大阪府代表の日常ミステリー『謎の香りはパン屋から』や、愛知県代表の『そのハミングは7』などが紹介されている。人間の精神を深く思考する本格SFから親しみやすい日常の謎ミステリーまで、多種多様なジャンルが同じ土俵で争う。運や縁を味方につけ、異種格闘技戦を制する初代大賞作品の行方から目が離せない。

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