JRT四国放送

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病院というと、どうしても不安や緊張感というイメージがあるかと思います。

そのイメージや雰囲気をアートを活用して、少しでも和らげ安心できる空間に変えようと活動している、女性を取材しました。

ここは、小児科が入る病棟。

壁や天井には、色とりどりのアートが。

(記者)
「何でいいなと思った?」

(患者)
「黄色のテープがあるから(いいなと思った)」

(患者の保護者)
「子どもが来るところなので、色がついている方が子どもにとって、いいのかなと思う」

病棟の中にある、このアートは一体?

(学生)
「ホスピタルアートを作っています」

ホスピタルアートは緊張感のある病院の雰囲気を和らげ、安らぎや癒しの空間にすることを目的にしています。

この日、マスキングテープを使って壁に貼る、アートを作るワークショップが開かれ、大学生や医療関係者などが参加しました。

このマスキングテープを使ったホスピタルアートの仕掛け人が、田中佳さんです。

田中さんは、徳島大学大学院の教授でフランス美術史が専門です。

8年前から、ホスピタルアートを行う2つの団体に所属し、県内外の病院や福祉施設などで活動しています。

( 田中佳さん)
「階段の利用を促進させてほしいという話が、(徳島大学)病院からあった」
「どうしたらその場所に、みなさんに来てもらえるかを考えた時に」
「マスキングテープだったら壁に直接貼れるので良いと思い、マスキングテープでのアートを作り始めた」

マスキングテープを手でちぎることで、アートに丸みが生まれ、作り手の味が出るのも魅力のひとつ。

マスキングテープを選ぶ理由は、ほかにもあります。

( 田中佳さん)
「一般にホスピタルアートは壁画を描くことが多い」
「マスキングテープは臭いがなく手が汚れないので、作業をしていても患者さんに迷惑が掛からないので」
「病院の営業中に作業ができることが大きなメリット」

(ワークショップ参加者)
「楽しかった」
「工作とかも好きだから、楽しかった」
「いろいろなマスキングテープがあって、その色で個性を出せるので楽しかった」

参加者の思いがこもったアートが、次に向かう先は県立中央病院。

経営改善に向けた効率的な運用の一環として、小児科救急と小児科外来が一体化されました。

病棟の再編にあわせて、ホスピタルアートが取り入れられることに。

田中さんと一緒に作業をしているのは、徳島大学名誉教授の平木美鶴さん。

今回は田中さんとタッグを組み、デザインの考案と現地作業を担っています。

(平木美鶴さん)
「地中に埋まっている命を育んでいる宿した形という意味合いで、『たね』と呼んでいる。」

「そういうものがたくさん集まって、大きな命の動きが出てくるようなイメージ」

殺風景だった病棟に、少しずつ彩が加わっていきます。

この後、どうなるのでしょうか。

数日後、病棟を訪れてみると、壁や天井一面に大きな流れを作っている「いのちのたね」がいっぱいに。

上を向いて点滴を打っている間も、緊張がほぐれるようにモビールも吊られています。

(患者)
「色とりどりで、鮮やかで明るい印象がある」

(県立中央病院・渡辺浩良 小児科部長)
「ホスピタルアートで飾りつけもしてもらって、過ごしやすい環境が提供できるようになったと思う」
「芸術家的な発想で、とても癒される空間になった」

田中さんには、ホスピタルアートを見る人、作る人に向けた思いがあります。

( 田中佳さん)
「病院はなかなか来たくない場所だと思うが、ここに来てアートを見てもらって、少しでもほっとした気持ちになったり、安らぐような気持ちになったりしてくれたらと思い、一粒一粒に思いを込めて貼った」

( 田中佳さん)
「この小さなモチーフを作るのは、とても楽しい活動だと思う」
「このようにたくさん(人が)集まって、病院(にアート)を飾ることで、もっと多くの人に楽しんでもらえるアートになる」
「もっといろんな人に知っていただいて、病院とか福祉施設で困っている方や、つらい思いをしている方に届けていきたい」

多くの人々の思いを乗せた「いのちのたね」が、こどもたちの病棟を彩り、心和らぐ空間を生み出していきます。