治安戦略アナリストの小比類巻文隆氏が自身のYouTubeチャンネルで「生活保護で薬2万錠!少女に配った“グリ下の薬屋さん”を、元警視庁刑事が解説【大阪・道頓堀】」と題した動画を公開した。動画では、生活保護制度の「医療扶助」を悪用し、2万錠もの向精神薬を不正入手して若者に配っていた男の事件を通じ、医療機関や行政のチェック体制の甘さを厳しく指摘している。

事件の舞台となったのは、大阪・道頓堀の「グリ下」と呼ばれるエリア。若者たちから「薬屋さん」と呼ばれていた無職の容疑者(40)が、女子中学生に睡眠薬などを無許可で渡し、昏睡状態にさせたとして逮捕された。さらに、男の自宅からは5000錠を超える処方薬が押収されており、これまでに約2万錠の薬を不正に入手していたとみられている。

小比類巻氏は、男が生活保護を受給しており、医療費が無料になる「医療扶助」の仕組みを利用して薬を入手していたことに着目。しかし、制度自体を批判するのではなく、「公費で処方された薬が治療に使われず、若者に流れていた疑いがあること」こそが本質的な問題だと語る。

動画内で最も強く問題視されたのは、これほど大量の薬が一人の患者に長期間渡り続けるまで、誰もストップをかけなかった点だ。報道によれば、薬は複数の病院を回って集められたわけではなく、1つの医療機関から処方され続けていたという。小比類巻氏は「処方した医療機関、薬を調剤した薬局、診療報酬を審査する機関、生活保護を担当する行政は、なぜこれを止められなかったのか」と強い疑問を投げかけた。さらに、現在の電子処方箋システムや薬局の自動チェックが抱える、過去の処方履歴に対する「抜け穴」の存在にも言及している。

最後に小比類巻氏は、医療機関側の責任や意図的な不正処方がなかったかについての検証が不可欠だと強調。制度の盲点を突いた極めて悪質な犯罪に対し、「2万錠という異常を見ながら誰も止めなかった制度の責任を問うべき事件だ」と締めくくり、医療提供体制の早急な見直しを求めた。

チャンネル情報

元警視庁刑事・国際捜査官。1993~2023年警視庁。爆弾処理班配属後、警視庁中国語通訳を経て国際捜査官に。以降、国内外の銃器・薬物犯罪の情報収集、秘匿捜査に従事する。ほか殺人、強盗、誘拐事件などあらゆる捜査に参加。退官後、30年に及ぶ警察人生の知見を世の中へ貢献すべく治安戦略アナリストとして活動中。