日本サッカー協会(JFA)は27日に都内のJFAハウスで記者会見を行い、今年9月の第20回アジア競技大会 愛知・名古屋2026に臨む日本女子代表(なでしこジャパン)メンバー22人を発表した。佐々木則夫ナショナルチームダイレクター(ND)、狩野倫久監督が登壇し、質疑応答を行った。

●佐々木則夫ND

「日本で開催される大会なので、もちろん優勝という目標を掲げながら、アジア競技大会のなかでサッカーからも皆さんに元気を送るということを達成していただきたい」

●狩野倫久監督

「32年ぶりに日本で開催されるアジア競技大会において、われわれなでしこジャパンはまずアジア競技大会のなかでしっかりと優勝を勝ち取っていく。そういったところをひとつ、大きな目標に掲げます。このアジア競技大会に関して、昨年度から多くのWEリーグ、なでしこリーグ、大学リーグを視察し、そういった中からメンバーを選考した。一戦一戦、アジアにおける戦いの中で力強く戦っていけるメンバーを選考し、優勝に向けて、日本開催という部分でファン・サポーター、関係者の皆さん、サッカー競技だけでなく、オリンピック組織委員会も含めた協力のもと、他競技とともに男子も含めて、一緒になって優勝を目指して、われわれの力強い戦いで皆さんに勇気と元気を届けられるように。そういったような戦いを一戦一戦見せていきたい」

JFA広報

「大会レギュレーション上は選手23名の登録になっていますが、いま現状は22名が書いてあります。現時点この1名の枠に関しては、怪我やコンディションを考慮して、現在JOCを通じて変更の手続きの最中というところです。本日は22名で発表させていただきたいと思います。手続きが完了し次第、もう1名を改めて発表します。当初予定していた1名に関しては公式発表前ということで、どの選手かは公表は控えさせていただきます」

─来年にはW杯もあるが、今大会をどのように位置づけているか。

狩野監督

「前回6月のメンバー発表のときになでしこジャパンの活動回数を話したなかで、今大会の位置付けについて、ここから多くの選手たちが全体のなでしこジャパンとして捉えているという話はした。でも、今回招集して大会を迎えるにあたっては、日本開催におけるアジアでの戦い、この大会に関してまずは1年後のW杯というよりかは、まずアジア大会における優勝、大会を一つひとつ勝ち上がっていって、チームとして完成度を高めていくということが大きなポイントになる。そういった戦いのなかで選手の活躍も出てくるし、全体の底上げにつながることはあると思う。まずは自分自身スタッフ一同、選手一丸となって、この大会一試合一試合ベストを尽くすことが最大の目的であり目標になる」

─初招集の選手を招集した意図はあるか。

狩野監督

「若い選手においても多く招集した。初招集というなかでもWEリーグであったり、各リーグで活躍している選手、そのなかでこの大会でベストだと感じて招集した。大会を通じてアジアでの国際経験で、日本での自チームとは違う、代表チームでの特にショートスパンで試合が行われていく。そういったアジアでタフな戦いになっていくところを力強く戦っていける。そういったプレーもメンタル的なところも、選手にはぜひピッチで、日本の代表チームで見せていってもらいたいと思っている」

─この大会を通じて、特にどういう成長を期待するか。

狩野監督

「もちろん今までこのチームで活動してきたわけではないので、招集して短い期間のなかで試合を通じて成長していくということが大きな要素になっていく。そのなかで選手が持っているストロングポイントをまずはチームのなかで発揮していく。個の部分を組織に生かしていき、グループに生かしていき、組織に生かしていくというところはポイントに挙げていく。なおかつ個人で局面を打開していく力で、タフにというところは、フィットネス的な部分においてもこの大会を勝ち上がっていくうえでは非常に重要な要素になってくる。男子女子変わりなく、フィットネスレベル、アスリート化というものは各国の選手も、世界のどの部分を見ても、アジアにおいても上がっていっているところはある。そういったフィットネスにおけるタフネス、そういったところもゲームの中で力強く求めていきたいし、日本の躍動感に変えられるようなプレーにしていきたい」

─優勝と成長を促すために、この大会期間中に工夫しようと思っていることはあるか。

狩野監督

「前回、私が指揮を執らせていただいたアジア大会を経験した選手も今回招集している。そういった経験のある選手や若い選手たちをどのように融合していくかが、ひとつ大きなポイントになっていく。そういった意味ではなでしこジャパンのチームスタッフも、新しいチームに対して積極的に、オン・ザ・ピッチでのトレーニングセッションだけでなく、オフ・ザ・ピッチでのミーティング、インディビジュアルの個別のミーティング、グループ別のミーティング、ポジションであったり、色んなパートに分けて行うが、そういったものを含めてグループをよりチームに、強化していくことは、短期間のなかでは重要な要素になる。チームビルディングにおいても、経験のある選手はショートスパンでの大会においては非常に重要な役割を果たすと思っている。キャプテンの話も出るかと思うが、選手はまだ集まっていないので伝えることはないが、そういった選手たちの力は非常に重要になってくる」

─前回優勝の経験を踏まえて、アジア大会での戦いで重視するところはあるか。グループリーグの組み合わせの印象はどうか。

狩野監督

「私が(3年前に)指揮をしたアジア競技大会においては、新しいチームの編成のなかでしっかりと勝ち上がった過去がある。今回も活動日が初めての顔合わせになる。それぞれがアンダーカテゴリであったり、なでしこジャパンに招集したり、知っている選手や活動をともにした選手が多くいる。だが、このチームでの活動は初めてになる。限られたトレーニングやミーティングで合わせていきたい。それは非常に重要な要素。アジアでの戦いは、今までは日本への対策もあるが、われわれは新しいチームとしてのチャレンジ。選手の特長、ストロングポイント、キャラクターを存分に出しながらも、対戦相手に対して準備をしていきたい」

─グループリーグの組み合わせの印象はどうか。

狩野監督

「過去に対戦経験のあるチームもあるが、われわれとしては初めて対戦する。台湾には帰化した日本の選手もいる。ベトナム、タイもアジアではタフに戦ってくるチーム。われわれも最大限準備をして初戦に挑みたい」

─メンバー選考の締め切りが早く、苦労した点はあったか。また唯一の大学生、大箸桜子に期待することはあるか。

狩野監督

「大会のレギュレーション上、エントリーが非常に早く行わなければいけなくなった。視察等、選考に関しては昨シーズンから数多くチェックをした。もちろん海外の選手も含めて、国内ではWEリーグ、大学も視察した。そこに対する難しさはあるが、各リーグの関係者と連携をとったり、共有したり確認したりというところでは、われわれなでしこジャパンとしても、関係各所と連携を取れたメリットは大きくある。残念なことに怪我人が出てしまったり、もしくは今後われわれが招集にあたっても開幕を控えているところは色んな準備をしていかないといけないところはある。皆さまの協力のもと、われわれはこうやってメンバーを発表することができた。大箸選手に関しては、特に大学生の年代、U-20からその後、そこの部分においては大学生の選手たちがWEリーグにおいても強化指定や活躍がめまぐるしい選手たちも多くいる。そういったなかでWEリーグでの活躍もあったし、そのほかの選手も含めて、本当に数多く見させていただいたなかで、失敗を恐れず思い切ったチャレンジをしながら、そこでまた感じてWEリーグや大学に持って帰ってもらいたい。非常にスピードのある、タフで対人の強い選手だと思っている。そういった部分を大会で出してほしい」

─日本開催で注目を集めるが、どのような良さを見せていきたいか。

狩野監督

「一試合一試合なでしこらしさを、ひたむきに全力でひとつのボールを最後まで1分1秒食らいついて、あきらめることなく、全身全霊をかけて、ひとつの勝利を目指して戦っていく姿を、そういう部分をチーム一丸となって出していくことはまずやらないといけないところ。それを皆さまに試合を通じて感じてもらえる、そういった試合になるようにやっていかないといけない。その後に結果はついてくる。まずはそういった準備、試合における取り組み、チャレンジを見てもらいたい」

─今大会で活躍した選手に来年のW杯へのチャンスはあるのか。強化したいポジションはあるか。

狩野監督

「1年後にW杯があるので、それは変わりのない事実。それに向けた強化というところは変わりはない。今回はIW期間外ということで、海外の選手はチームが許可しない限りは呼べない。そういった意味で国内の選手たちが中心になる。そこがひとつ、この大会を通じて成長することで、W杯で活躍できるようなポテンシャルを必ず持っていると私は思って常にWEリーグを観ているし、そういった選手たちをピックアップした。それは自信を持って選考した。そういった(W杯メンバーの候補)に入っていく選手たちになることは期待をしている。一試合一試合を通じて、選手たちが自信を持ってチャレンジをするなかで、普段のチームだったらわかりあえる仲間とのプレーになるが、代表チームだと短時間で合わせないといけない。それをわれわれとしてはより選手がシンプルに思い切った形で躍動できるように、その準備をしたい」

─来月U-20女子W杯があるが、A代表とのプライオリティの線引きはあるか。

佐々木ND

「同時期にU-20の世界大会がある。それと今回新たな来年のW杯に向けてのチャレンジができるような若い選手、そして経験のある選手もアジア競技大会で来年のW杯メンバーになりたい思いもあると思う。この2つの大きな大会のなかで、またさらに質を上げた選手が一人でも多くなでしこジャパンのメンバーに行って活躍してもらうということがいい強化の年になると強く思っている。それとともに、狩野監督は(前回の)アジア競技大会も経験している。新たなスタッフ・人員のなかで、アジア競技大会というのは非常に来年のW杯に向けてのリレーションに、そして結束したなかで、活動をしていくなかでの強化、いいシミュレーションになる。そういった意味でアジア競技大会を含めて、優勝ということを掲げながら、多くの観点からいい大会にしていただきたい」

─海外組はGK大場朱羽(レンジャーズ/スコットランド)のみ。招集できた理由は何か。

佐々木ND

「海外の選手は大場選手のみならず、インターナショナルマッチデーではないので、エントリーしたい選手にはお声をかけたりクラブに交渉したなかでも、大場選手は今回新たに移籍するにあたって派遣していただくということができた。それはよかった」

─ポジション別の人数についてFWが5人と多く、DFは6人と少ない。バランスが偏っているが意図はあるか。

狩野監督

「ポジションに関しては、複数のポジションをこなせるということで、表記に関してDFの選手であってもウイングで日常で出ている選手もいる。DFの選手も違うポジションで出る選手もいる。もしくは中盤の選手でもCBができる選手がいる。表記は棲み分けて書いているが、全体としてはチームの中でしっかりとまずはプレッシングをかけて、そのなかで素早く攻撃していけるところがわれわれのひとつ大きな特徴でもある。そこに対するパワーと力強さを持っている選手たちを選んだ。なおかつ、日常のところと複数できるポジションに対して配置している。試合になったら表記と違うところはあるかもしれない。それはバランスを持って、色んなことを想定して、試合に勝ち上がっていくことも含めて、メンバーを入れた」

─色んなところに視察に行かれているなかで気づきや発見はあったか。

狩野監督

「日本国内において、どのカテゴリでも単純なプレースピード、強度が年々上がっているということは私自身が感じると同時に、様々なデータからも読み取れると思う。そういった意味で日本国内のリーグのレベルは上がっていると思う。選手たちの日常がプロ化して、そこに対する取り組み、指導者も一体となって日々のトレーニングを力強く構築していく、それが年間のリーグやカップ戦を通じても、さまざまな戦いとチャレンジをしていくというところでは、チームだけではなくて個々におけるポテンシャル能力が一気に引き上げられている印象がある。特に若い選手も多く、U-20も大学生も強化指定でプレーする機会を多く得られている。若年層においてもそういった環境下のなかでプレーする機会も非常に多くなっている。日々のところがレベルアップしているということが率直な感想」

─6月に監督に就任してから初めての国際大会になる。今大会にどう臨んでいきたいか。

狩野監督

「まずは勝っていくというところ。新しい選手を招集しているので、そこでのチーム作りは必要になってくる。中2日、3日のショートスパンで試合をこなしていく。われわれスタッフと選手が一体となって、今までの活動と次のロードマップはそのなかのひとつという捉え方はあるが、アジアでの1か月の戦いをまずは一試合一試合準備して取り組む。何ができて、何ができなかったのか、それが先につながる。まずは大会を一試合一試合勝っていくという意味では、いつも通りやるべきことを整理したなかで、相手があって分析して、試合に向かう、そこに対するフィードバック、次の対戦相手とつながる。われわれのモデルだけでなくて、選手の良さがでないと、大会は勝ち上がっていけない。個々における選手たち自身の価値を高めるという意味では、それぞれのストロングポイントが出ないと底上げにはならない。勝ていくこともできない。チームより、まず自分自身がやってやるんだというようなことが出せる雰囲気やチーム作りをしないといけないと思っている」

─WEリーグのレベルが上がったことで、欧米の選手とのレベル差は変化したか。

狩野監督

「底上げができているという意味では(選考は)難しくなっている。レベルの差をどう比べるか。選手個々のポテンシャルで見ていったら、ヨーロッパの中でプレーすることは増えてきている。ヨーロッパとの差という意味では、先日バイエルンとの試合もあったが、やはりチャンピオンズリーグに出るチームに対して、WEリーグチームがチャレンジした。そういった部分においてはもう一段階、二段階も、全体として追いついていく必要はある。チーム全体の底上げ、リーグ全体の底上げとして、海外でやることがすべてではないし、日本国内で若い選手yたちが多く出てきて、アンダー世代やなでしこの中で伸びる選手も多く出てきている。リーグと棲み分けした中では、個人のレベルが上がってきているという印象はある」

─唯一30代でMF成宮唯が選出された。期待する部分はあるか。

狩野監督

「昨年度のWEリーグの活躍を見たら、誰しもが間違いなく(期待する)レベルにあることはわかると思う。私としてはチームを引っ張っていったり、彼女の経験を伝えるという意味では、プレーのなかで選手としてまずは最大のパフォーマンスと力量を発揮してもらいたいというのはある。彼女の持つ運動量だったり、攻守に関わる連続性、得点を取れるというボックスにエントリーしていくゴール前の怖さ、それに対するテクニックは間違いない。経験を通じて伝えてもらうことはあると思うが、彼女にもチームを引っ張るだけでなくて、まずは自分自身の昨年度出したようなプレーを、アジア競技大会で、日本のファン・サポーターの皆さんの前で発揮してもらうことを一番に期待している」

─今回DF登録の6人中5人が初招集。明確な選考基準はあるか。

狩野監督

「アジアで勝っていくというなかでは、さまざまなゲームシチュエーションを想定して、選手をピックアップしたり、選考したりしている。われわれも対策するなかで、守備だけではないがプレーエリア・プレーゾーンが、チーム戦術に対してどのように補っていくかということはある。個々の能力を最大限出していくということはある。個々のポテンシャル・能力がそのポジションにおいて、もしくはプレーにおいて、プレーエリアであったり局面を打開する力、力強さ、その能力が高い選手を選んだつもり。そういった意味で、局面においても打開できる、もしくは守備ではディフェンシブで止められる、そういった選手を選んだ。存分に発揮してもらいたい」

(取材・文 石川祐介)