生産量が減少…なぜ? スダチショックに勝つ!【徳島】
言わずと知れた徳島の名産品、スダチ。
全国に流通する、実に9割以上が徳島県産です。
しかし、ここ数年、県産のスダチは減産傾向にあります。
その背景にあるものと、増産に向けたあの手この手の取り組みを取材しました。
徳島の名産スダチ、焼き魚ににひと絞り。
爽やかな香りが広がります。
しかし、その徳島の誇るスダチが近年、かつてない危機に瀕しています。
(菊正宗酒造 マーケティング課・田上翼 課長)
「スダチ自体の収穫量が減っているということで、2023年の春ごろは『休売』という形をとった」
スダチが不作だった2022年から2023年にかけて、一部の商品に使用するスダチ果汁が不足したため、これらの商品が一時、販売休止や期間限定販売になりました。
(菊正宗酒造 マーケティング課・田上翼 課長)
「独特の苦みが日本酒との相性が良くて、通年に安定的にお客さんに提供したい」
影響は全国各地に…。
(記者)
「こちら醤油メーカーのサイトですが、スダチの果汁不足で、代わりにスダチとカボスを使った新商品をを販売するとしています」
(川中醤油(広島県)・川中健三 社長)
「スダチは徳島オンリーなので、もう代替えが見つけようがなかった。やむを得ずカボスの方を入れて」
「厳密にいうと味も違うので、風味も若干違うと思うので、これをやめるとなったら、もっとお客さんに申し訳ないと」
これから露地物が旬を迎えるスダチ、しかし、その生産量は近年、減少傾向です。
2000年には6900トンだったのが、2022年には約2400トンと約3割まで落ち込みました。
大きな要因の1つが、担い手の減少です。
県内最大の生産地・神山町では、JAスダチ部会員はこの10年で、約600人から450人に減りました。
実際にスダチを生産している農家を訪ねると、厳しい現実が見えてきました。
照りつける太陽。
(スダチ農家・佐々木 宗徳さん)
「暑い」
この日、午前9時すぎで、すでに温度計は35℃超え。
スダチは、7月から9月の暑い時期に作業がピークを迎えます。
この日は、余分な葉や実を落としていく作業。
葉の影になると実が色落ちするため、手入れは欠かせません。
(スダチ農家・佐々木 宗徳さん)
「暑いっちゃ暑いですね。でもやらないとスダチの単価が変わるので、生活に関わってくるので」
夏場はこうした作業が朝晩、毎日続きます。
高齢化に加え、夏の厳しい暑さが生産農家を苦しめています。
(神山営農経済センター・後藤正平 センター長)
「やはりこれを増やしていくのは難しいと思うので、どうにか生産量を減らさないように取り組んでいきたい」
一方、増産に向けた新たな取り組みも始まっています。
(記者)
「すだちは山間部での栽培が通常ですが、今、新たに平地での栽培の可能性が開けてきています」
藍住町を中心に農業を展開する「カネイファーム」です。
3年前にスダチの栽培を始め、2026年初めての収穫を迎えます。
その場所が…。
(カネイファーム・矢野正英さん)
「平地でスダチをやっている農場の第一号です」
「傾斜地ではなくて、フラットな方が作業効率がいいということで始めました」
木は大きく育てず、「垣根」のように低く仕立てます。
こうすることで、夏場の大変な収穫の手間を省きました。
(カネイファーム・矢野正英さん)
「大体このパイプくらい、この高さである程度抑えてしまって」
「木が大きくなると、なっている実ごととってしまおうと」
このほか平地は、獣害が少ないことも大きな利点です。
反面、寒暖差がある山間部のスダチほど強い香りが出ないことから、果汁といった加工用の形で販売します。
(カネイファーム・矢野正英さん)
「まだまだこれから(スダチの生産が)減るだろうと、それを何とか食い止めたい」
「ただ、大面積をするには山間部では難しい。そこで僕らが目をつけたのが加工用のスダチで」
「耕作放棄地を使って、大面積を栽培できる仕組みを作ろう」
「スダチ栽培を平地で、目標100ヘクタール目指して、県内中で増やしていこうと思っている」
新品種の開発も進んでいます。
やってきたのは、石井町の県農林水産総合技術支援センター。
(県農林水産総合技術支援センター・大塚孔太 主任)
「こちらが、徳島県が開発した新品種の『勝浦1号』になります 」
(記者)
「どういう特徴が?」
(県農林水産総合技術支援センター・大塚孔太 主任)
「果実の色が濃いこと、色の抜けが少ないこと」
2024年に品種登録された、勝浦1号。
従来のスダチと比べ、実や葉の色が濃いのが特徴です。
夏に収穫したスダチは長期間保存すると、黄色く変色し、出荷できなくなることが課題でした。
勝浦1号は、長期保存しても色や品質を保ちやすいといいます。
(県農林水産総合技術支援センター・大塚孔太 主任)
「貯蔵スダチに特化したスダチだと思っています」
「貯蔵スダチというのは、最長で翌年の2月~3月まで出荷されるのですが」
「この時期のスダチの数がすごく少ないので、それを補う品種になるのではないのかな」
「生産者の所得向上だったり、スダチのさらなる振興に繋がるのではないかと期待しています」
このほか生産地では、担い手不足を乗り越えるため収穫体験を実施するなど、県内外の関係人口を増やす取り組みも行われています。
環境の変化を克服し、反転攻勢なるか、スダチの未来を守るための模索は続いています。
