「ナメやがって」今も消えない“吉本への怒り”…金属バットが13年前のプロフィール写真を使い続ける理由
13年前に撮影したプロフィール写真を、今も使い続ける金属バット。そこには、売れない若手時代に味わった事務所への怒りが刻まれていた。これまで撮影してきた写真の一枚一枚に刻まれた記憶を笑いと怒りで振り返る。
【画像】「SPECや!」加瀬亮&戸田恵梨香に見間違えられる二人
13年前の写真に刻まれた“吉本への怒り”
-金属バットは、13年前に撮った公式プロフィール写真を今でも使っていて、ファンからも疑問の声が上がっているそうです。マネージャーさんとしても「そろそろ変えてほしい」とそうですが…。
友保 確かによう言われますよ、うちのハイパーしごできマネージャーに。「ええ加減変えましょう」って。
-なんで変えないんですか?
友保 マジであるんですよ、あれは。涙なしには語れないですね。握りしめた拳から血が流れ出てきますよ。
-まさか…怒りで…?
友保 はい、吉本批判です。いや“当時の”吉本批判ですね。俺、当時受けた屈辱をめちゃくちゃ覚えてるんですよ。「だから絶対に変えへん」って言ってる。ほんまにムカついたから。忘れもしません。何日か前に急に「この日の朝、(プロフィール用の)写真撮るから来い」って言われて。
で、わしら若手はバイトがあっても言われたら断れないんですよ、当時の吉本は。断ると「あ、やる気ないんやな」って。「お前、バイトと芸人どっちが大事なんや?」「あ、そっち選ぶんや、芸に本気じゃないな」みたいな。嫌味かましてきよった。みんな無理やり呼び出されて。
小林 とにかく急やったことは覚えてる。
友保 バリクソ急に呼ばれて、朝も早かってんな、あれ。ゲボみたいに早かったね、朝9時とか10時とか。しかも横柄やねんな、態度も何もかも。
小林 社員、横柄やったなぁ。
友保 あの時代みんなクソやねん。いや売れてない芸人には人権なかった。
小林 犯罪者のような扱いやった(笑)。
友保 そんで、現場に行ったらバーッと雑に並べられて、「あんましゃべんな」とか言われて。「はい、撮ります…バチッ」「はい、行って!」って、流れ作業で。芸人やのに写真でチョケたら、怒られるんですよ。
-嫌な思い出ってことですよね。
友保 いや、めちゃくちゃムカつきましたよね。
-小林さんも同じような思いだったんですか?
小林 そういう感じでしたね。でも、撮影スタッフからしても売れてない若手を流れ作業で撮って「どうせ使わんやろこいつらの写真なんか」っていう使い道のない写真を撮ってる感覚やと思う。そんくらいどうしようもない売れてない奴らが集まってたから。
-(笑)。とりあえず全員集めて撮らなきゃいけなかったと。
友保 吉本入ったから、撮らなあかん言うて。
当時5000円で買った勝負服の現在のお値段
-そんな撮影現場にもかかわらず、すごくいい写真ですね。
友保 いやもう怒ってましたからね。めちゃめちゃ怒ってました。今になってたしかに会社から言うてくれるんですよ、新しいプロフィール写真を撮り直しましょうと。でも、何を今更やねん。あんだけ雑に扱っておいて。いや、背景が黄色いとかトリミングしづらいとか、それはお前らが撮ったんやから、お前らが直せよと。
小林 あれ、何年目に撮ったんだっけ?
友保 2013年って芸歴何年目…7年目? 7年目であんなツラしてたん!? そりゃ売れんわな(笑)。
-その時の嫌な思い出を塗り替えるためにも、新しい写真にするというのは…。
友保 嫌な思い出なんか持ってた方がいいでしょ。ずっとムカつけるから。ずっと文句言いたい。ナメやがって。ずっと怒っていたいですもんね。
-芸人にとって「怒り」は大事ですか?
友保 ええ、怒りはパワーですから。でも今はだいぶ良うなりましたよ、吉本興業は。やっぱね、宮迫(博之)さんが暴れてくれたんで、あの人があんじょうやってくれたから。大ゲボ吐いて、ガラス全部割ってくれたでしょ。
小林 100年後ぐらいに英雄扱いになってるかもしれん。
友保 たしかに当時知るもんが誰もおらんくなってから(笑)。
-でも、20代の頃の写真なのに40代になった今も、あまりビジュアルに変化がないですよね。
友保 いや違うんですよ。写真で着てたインナーの白いTシャツ、俺まだ持ってるんですよ。でも、えらい黄ばんでしもて、今はもうめっちゃ黄色いTシャツ。当時好きやったヤー・ヤー・ヤーズっていうバンドのアルバム『イッツ・ブリッツ!』のTシャツやったんですよ。
-アメリカの3ピースバンドですね。
友保 俺めっちゃ好きやって、当時5000円やったんですよ、あのTシャツ。当時の俺の5000円は今の17万円ぐらいなんですよ。でも、プロフィール写真撮るから断腸の思いで買って。一張羅のTシャツ着て行って…。今も家にあるんですけど、もう皮脂で真っ黄っき。
-今はバンドTシャツブームなんで、もしかしてプレミアついてすごく高額になってたり…。
友保 フリマアプリで売ってんすか。
―(スマホで検索して)えっと…1500円でした。
友保 めっちゃ安いすやん(泣)。解散してもうたしな…。
「SPECや!」加瀬亮&戸田恵梨香に見間違えられる二人
-プロフィール写真といえば、この連載が更新されるとSNSでTBSドラマの『SPEC』のメインビジュアルに似てるという声が多いです。お二人が、主演の加瀬亮さんと戸田恵梨香さんに似ていると…。
友保 それめっちゃ言われますね。でもわし『SPEC』見てへんねん。
小林 僕は映画もドラマも全部見ました。たしかに「あ、SPECや!」って思った(笑)。
友保 あれめっちゃ言われるな。知らんから「せやねん」って言ってるけど。
小林 新シリーズもう絶対やらんらしいよ。世界が終わったらしい。
友保 どういうことや。
小林 映画でそうなった。どこ行くねんっていう。エヴァみたいな話やったけど。
-あとM-1グランプリの写真は宣材写真とはまた別なんですか?
友保 M-1の時はM-1で撮るんですよ。応募する時に写真撮らんといかんくて。で、わしら毎回先輩のぶるぼんさんっていう、山口県住みます芸人やってる先輩に撮ってもろてて。
小林 ぶるぼんさんが撮ったら、準々決勝までは確定でいけるみたいなジンクスがあって。
友保 毎回撮ってもうてましたね、スマホのカメラで。
-M-1グランプリ2018の頃のお二人はガリガリで鬼気迫る風貌でしたよね。
友保 あんとき、メシ全然食ってなかったですからね。今はましになりました。いや、なかなか太りましたよ。なかなか人間になりましたわ。
小林 あの頃はそうか、ちゃんと食えてはいなかったか。10年以上夜勤してたもんな。
-何の夜勤されてたんですか?
小林 焼き鳥屋とコンビニと……。
友保 途中お前1回ホテルで働いてたよな。あの瞬間は健康やった。
小林 あのとき、健康やった。朝起きて行ってたから。
友保 その前はコールセンターでも働いて。あのときも健康やったな。
小林 それは1日だけやったよ。
友保 あれ何日か行ってなかったっけ。おばさんに電話でブラジャーのサイズがどうこう聞くっていうバイト。
小林 「わたしけっこう巨乳やけど、このブラでサイズ合うんかな~」って言われるから「フリーサイズになってますんで」って返す仕事。テレビショッピングのやつ。
友保 マジ知らんがな(笑)。
小林 あれ、しかも朝じゃなかったよ。コールセンターは深夜バイトやった。
友保 ほんまか。深夜に「わたしけっこう巨乳やけど…」かー(笑)。
一度見たら忘れない、湿板写真で撮られた金属バット
-あと、この連載のメインビジュアルの写真もなかなかのインパクトですよね。
友保 ああ、坂本龍馬の肖像写真と同じ手法で撮ったやつ。
小林 湿板写真でしたっけ。
友保 なんや、ガラスに写す明治時代の写真とかで。
小林 なんで令和に明治時代の写真やねん。
取材・文/西澤千央

