テレビ信州

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私たちの頭を悩ませている食品などさまざまなものの値上げ。食を支える生産者もまた悲鳴を上げています。ブランド豚を飼育する親子の思いを取材しました。
「この苦境を乗り越える」背中を押すかわいい応援団の存在があります。

疲労回復に良いとされるビタミンB1が豊富で、これからの季節、夏バテの予防としてピッタリな豚肉。
県内にはおいしいと評判の数々のブランド豚があります。

下伊那郡喬木村の「くりん豚」もそのひとつです。喬木村の知久養豚で、16年前から育てています。

知久養豚 知久隆文社長
「もう本当に一番の打撃は飼料価格の高騰も あります」

いま、飼料の高騰が生産者を苦しめています。

農林水産省によりますと、配合飼料の価格は2020年まで1トン当たり6万7000円前後でしたが、徐々に値上がり、2022年10月には一気に1.5倍の10万円台まで上がり、その後高止まりとなっています。
ウクライナ情勢による穀物価格や輸送費の高騰が要因とみられています。

知久隆文社長
「廃業も考えている生産者も多々いますので」

「くりん豚」の名の由来は、村の花クリンソウになぞらえています。
水がきれいなところに咲くクリンソウ。喬木村にある群生地と同じ水源の水で豚を育て、村を代表する豚にしたいと「くりん豚」と名付けました。

脂を気にする女性や豚肉嫌いの子どもも好んで食べるような肉にしたい。試行錯誤を重ね、イモ類が50パーセント以上含まれた餌を与えるなど育て方にこだわっています。そのため、飼料は、25年前と比べて3倍にまで跳ね上がりました。

知久隆文社長
「地元から広げていきたいなって思いはありましたね」

その思いは実を結び“銘柄豚”として売り場を大きく確保してくれる店もあります。国産の豚ロース肉しゃぶしゃぶ用は100グラム209円に対して、「くりん豚」は同じ部位でも100グラム239円。少し割高ですが、地元の肉を応援したいという店の思いの表れです。

知久さんはこの農場の2代目。

知久隆文社長
「見ての通り古過ぎちゃって豚舎が。(何年ごろに建てられた?)昭和48年の僕が3歳の頃です」

老朽化した豚舎…建て替えたくても費用が莫大で踏み切ることはできません。せめてと修理でしのぎますが修理する部品代も値上がりしています。

決して楽ではない経営。
それでも踏ん張る知久さんに強力な相棒ができました。息子の宗一郎さんです。

宗一郎さんは 24歳。4年前まで料理人を目指していました。

知久隆文社長
「本当はね、次の就職決まってたんです。ほぼ決まってた。けれどこういう時代だからちょっと家(農場)も厳しくてなんとかしてもらえんかなっていうことで話しをしたら、家に来てくれたんです」

覚悟を決めて父と働き始めて4年。今ではブタの品質を左右する餌やりを任されています。

息子・宗一郎さん
「母ブタは、どちらかと言うとお産した後は太らせ過ぎちゃいけないんで、ボディコンディションを見ながら1頭1頭餌の給餌量が違うんですよね。」

知久さんたちは、ブタの生育に合わせて6段階で餌を変えています。生まれたばかりのブタは中でも高い餌を与えています。

息子・宗一郎さん
(餌ひとつで違うなと実感するときは?)
「子ブタがボーンと成長するときですね」

父の背中を見ながら自分の目標も見据えています。

息子・宗一郎さん
「ブタにとってもストレスのない 農場。かつ地域に迷惑をかけな い農場を作り上げていきたい。気持ちの上ではどこの農場にも負けないような農場を作っていきたいと思いま す」

物価高騰で苦しい中、うれしいことがあるといいます。

知久隆文社長
「学校にたい肥とかを持って行くときとか保育園に行くと、僕の写真も貼ってあるんですけれど大きな声で近寄ってきてく れるんですよね」

私たちはその写真を見たいと保育園へと向かいました。
ありました。満面の笑み。知久さんの写真です。そして、園児が見せたいものがあるとカメラの前に集まってきました。

園児(年長)
「知久さんにお手紙書きました」

書いたばかりの知久さんへの手紙です。月に何度か給食で食べている「くりん豚」。
そして、園の畑にあるジャガイモ、ニンジン、トウモロコシなど。知久さんの堆肥でおいしい野菜ができるようになりました。

園児たちは、この野菜で24日にカレーを作ると決め、どうしても「くりん豚」を入れたいと手紙を書いたのでした。

園児
「飯ごう炊さんでカレーを作りたいんですけど、お肉を育ててないのでお肉を ください」
(くりん豚食べたことありますか?)
「ある。おいしかった」
「うまかったです」
「めっちゃうまかった」

園児たちがいちばん伝えたいことそれは…。
「知久さんいつもありがとう」

物価高の苦しみの中、地域のためになりたいと力を合わせて励む知久さん親子。その先には子どもの明るい未来があります。