【オーバーツーリズム】「1.5万円のラーメン」「出張寿司」 マネー飛び交う“ニセコ100日戦争” その裏で…地元住民を悩ます“マナー違反” インバウンド増加の光と影【ガチの門】
訪日外国人数は去年、過去最多を更新しました。しかし、その恩恵だけでなくオーバーツーリズムなどの問題も顕著になっています。
【画像で見る】「竹林に落書き」「シカを蹴る」「危険な雪合戦」外国人によるマナー違反と治安悪化
今年3月に閣議決定された、来年度から5年間の国の観光政策の基本計画案(第5次観光立国推進基本計画)では、地域住民も含めて恩恵を受けられるような持続可能な観光地域づくりの取組が重要としています。
観光立国を目指す日本。今、どうなっているのか、現状を取材しました。
(MBSテレビ「ガチの門」2026年1月28日の放送内容を記事化しています)
テニスのナダルも!?各国の富裕層がこぞって日本酒求めてやって来る
観光大国・日本でいま、マネーが飛び交っています。
京都の地で350年以上続く酒蔵を訪れたのは、アメリカ人の観光客。酒蔵見学や日本酒のテイスティングなどができるツアーで、料金は1人あたり5万円。各国の富裕層がこぞって日本酒を買い求めていくそうで…
(増田徳兵衛商店 増田徳兵衛会長)「プライベートジェットで来られる方も多いんですよ。けっこう『ええ?』みたいな方が…名前はちょっと言えませんけれども」
―――Q言える範囲の方は…?
(増田徳兵衛商店 増田徳兵衛会長)「そうですね、この間はテニスプレーヤーのナダルさんとか」
京都の花街では“特別ルール”
さらに、京都の花街では、通常は「一見さんお断り」ですが、外国人観光客は「一見さん」でも“特別ルール”で受け入れています。
ニューヨークから来たという家族。医師として働く夫婦と12歳の一人息子です。初体験のお座敷遊びに、ご満悦。
「楽しかった」
「値段がつけられないほどの価値だよ」
約400万円の再生医療も「高い」とは思わない!?
そして、巨額のマネーは、観光業だけに留まらず医療の分野でも。
「こちら特別室で限られた人しか入れないです」
いわゆる「VIPルーム」で、診察を受けていたのは中国人の女性(30代)。
(医師)「動脈硬化の再生医療について説明させていただきます」
女性が受けようとしているのは「再生医療」。値段はなんと約400万円!それでも、「高い」とは思わないそうで…
(中国人女性)「スバラシイ!」
年々深刻化する「オーバーツーリズム問題」
一方、飛び交うマネーの裏で年々深刻化しているのが、オーバーツーリズムに端を発する問題です。観光地では外国人観光客によるマナー違反が横行。
竹林では落書き被害が多発して、日本らしい風景も台無しです。
「シカを蹴った?」「はい」
そして、被害は国の天然記念物にも…。
(記者)「シカを蹴った?」
(タイからの観光客)「はい。鹿が服とか足を噛んだから。自分がケガをしないようにしているだけです」
悪びれる様子はありません。
ガチ取材!ニセコ100日戦争
去年11月以降、日中関係が急速に悪化。観光業にもその影響は出始めていますが…。そんなことをものともしない“狂乱の街”が北の大地にありました。
北海道札幌市から約100km離れた「ニセコエリア」。倶知安町やニセコ町など3つの自治体にまたがる地域に、パウダースノーを求めて外国人観光客が殺到しています。
「ニセコ100日戦争」とも称される、ハイシーズンのニセコを取材しました。
まずは…
カニが乗せられたラーメンは1杯1万5000円!!
スキー場近くのラーメン店。店内は外国人観光客で満席です。
こちらの店では、レギュラーサイズの味噌ラーメンが1杯なんと3000円。看板メニューのカニが豪快に乗せられたラーメンは1杯1万5000円。
(店員)「外国の方からしたらそこまで高く感じないんだと思います」
焼肉店やスーパーにも外国人観光客の姿
焼肉店も、外国人観光客で店内は溢れかえっています。
(焼肉店 店長)「きのうも1グループで86万円くらいお支払いされたグループがありました。冬場は稼ぎどきですね」
ニセコ100日戦争の狂乱は、市街地にあるごくごく普通のスーパーでも。外国人観光客がカートいっぱいに商品を買いこんでいました。
(アメリカ人観光客)「すし、和牛。アメリカよりニセコの方が安い」
観光客の「爆買い」に地元住民は…
(地元住民)「7万円とか8万円とかするウニは外国人しか買わないから。私たちはそれに外れたものを買う」
さらにホテルでは、職人が部屋で寿司を握る「出張寿司」も。香港から来た家族は“リピーター”で、ひと晩で総額26万円以上の支払いです。
キッチンカーも集結「ニセコがバブリーって聞いたから来た」
また、100日戦争の期間には、スキー場周辺にニセコドリームを掴もうと道内外からキッチンカーも集結。
(北海道・遠軽町から)「ニセコがバブリーって聞いたから来ました。始まったばかりですが、なかなかすごいです」
“バブル”はこんなところでも。
(記者リポート)「大手牛丼チェーン店では、早朝だと1720円、深夜は1963円の時給です」
(近隣の町の人)「みんなニセコに行って、10日間で10万円貯めたっていう子がいます。ニセコはすごい、みんなそっちに行っちゃう」
住民を悩ます外国人観光客によるマナー違反と治安悪化
一方で、住民を悩ませているのが…。
「ゴミのポイ捨てとか、車庫から物が盗まれたり」
「すごく酔っ払いが歩いているよね、怖いところはあります」
外国人観光客によるマナー違反と治安の悪化です。
大晦日は「無法地帯」に
(記者リポート)「赤信号お構いなく渡っています。クラクションを鳴らされました」
この日は大晦日。年越しまで約1時間、町は“無法地帯”と化していました。
(記者リポート)「コンビニの前に人だかりができています。コーンを被っていますね、コーンを頭の上に掲げて盛り上がっています」
危険な雪合戦
マナーなんておかまいなしで、どんちゃん騒ぎ。そして、モラルなき行為は年をまたいでエスカレートしていきます。
車道を挟んでの、危険な雪合戦。歩道からはみ出してまで投げ合う外国人を記者が注意すると…
(記者)「やめて投げないで」
(外国人観光客)「対決しています。あなたたちも気をつけてね」
その後も、危険な雪合戦は続きました。
町に恩恵が全くない訳ではありません。ニセコエリアで人口が最も多い倶知安町の町税は、過去最高の約49億円以上。
しかし地元の住民は…
倶知安町民「恩恵は感じていない、まったく」
(倶知安町民)
「恩恵は感じていない、まったく」
「街として潤っているのかというと、現状ここに住んでいる人は潤っていない」
「物価の高さでも段違い。手を叩いて喜んでいる場合ではない」
冬に轟く狂騒曲、「恩恵を全く感じない」と嘆く地元住民。税収が“過去最高”なのに一体なぜなのでしょうか。
実質的な税収増にはならない
特に増えている税収は、「宿泊税」「固定資産税」です。
「宿泊税」は、自治体が特定の目的に使うもので、俱知安町では、無料循環バスの運行など主に観光インフラの整備に充てられています。いわば、観光客から得たお金を観光客のために使っている状況です。
また、「固定資産税」が増えると、国から交付される地方交付税交付金が減らされます。そのため、実質的な税収増にはならないということです。
(2026年1月28日放送 MBSテレビ「今田・橋下とニュースショー ガチの門!!~ニッポン、このままで大丈夫なのかSP~」より)
