記事のポイント
2026年のAmazonプライムデーは、高額家電よりも日用品や消耗品をまとめ買いする節約型セールの色合いが強まった。
買い物客は計画的な購入を進め、トラフィックは減少した一方でコンバージョン率は上昇し、リピーターの購入が売上を支えた。
ブランド各社は売上増を維持したものの勢いは前年を下回り、年末商戦頼みの販売戦略はリスクが高まっている。


2026年のAmazonのプライムデーセールは、どちらかといえばコストコ(Costco)での買い出しのような様相を呈した。

消費者はこの機会を利用して、プロテインシェイクやゴミ袋、猫用おやつといった商品を買いだめした。消費者調査企業のニューメレーター(Numerator)のデータによると、テレビや携帯電話などの家電を購入したと回答した買い物客はわずか14%だった。

消費者が慎重になる理由は十分にあった。暫定的な和平合意のおかげでガソリン価格はここ数週間でやや落ち着いたものの、レギュラーガソリンの全国平均価格は依然として1ガロン=4ドル(約600円)近辺で推移している。

インフレは日々のさまざまな支出を圧迫し続けている。もうひとつのガジェットのために予算を無理に広げるのではなく、買い物客はいずれ必要になるとわかっている商品をお得に買うことに、ますます意識を向けているようだ。

たしかに、アドビアナリティクス(Adobe Analytics)によると、6月23日から26日まで開催された米Amazon初の6月プライムデーにおけるオンライン支出は、過去最高の264億ドル(約3兆9600億円)に達した。しかし、ニューメレーターのプライムデートラッカー(6万世帯近くによる17万8000件超のプライムデー注文に基づく)によると、イベント期間中の世帯あたりの平均支出額は143.45ドル(約2万1500円)で、2025年の156.37ドル(約2万3500円)から9%減少した。

「実データにアクセスできないサードパーティのコンサルティング会社にありがちな発表と同様、これらの推計は不正確だ」と、Amazonの広報担当者は声明で述べた。

「2026年のプライムデーイベントに対する顧客の好意的な反応に、我々は満足している。イベント期間中、顧客は数百万点の商品を今年最安の価格で購入でき、ディールの80%以上が今年最安値、数十万点が40%以上の割引だった」。

アドビの好調な売上数値は、買い物カゴが大きくなったというより、参加者の裾野が広がったことを反映しているのかもしれない。市場調査会社イーマーケター(eMarketer)のアナリストであるスカイ・カナベス氏が筆者に語ったところによると、世帯あたりの注文単価は下がったようだが、より多くの消費者がイベントに参加したという。

筆者はこの1週間、出品者やコンサルタント、アナリストに、彼らにとってプライムデーがどうだったかを聞いて回った。以下は、印象に残ったいくつかのポイントだ。

消費者は贅沢な買い物ではなく買いだめに走った



オーラルケア企業のアクアソニック(AquaSonic)とピュアデイリーケア(Pure Daily Care)の最高マーケティング責任者であるジョナサン・コーエン氏は、プライムデー期間中、買い物客は一貫して新しいデバイスよりも必需品を優先したと述べた。アクアソニックでは、交換用ブラシヘッドの売上が前年比で2〜4倍(詰め替えパックにより異なる)に伸び、新しい電動歯ブラシの伸びを上回った。歯ブラシ2本のバンドルも同ブランドの売れ筋トップ10に入った。

一方、スキンケアの消耗品は美容機器を上回る好調ぶりで、ピュアデイリーケアのような美容ガジェットは「やや二の次になっている」とコーエン氏は述べた。

「消費者ははるかに計画的になっており、目新しいモノに飛びつくのではなく、プライムデーで価値を最大限に引き出そうとしている」と同氏は付け加えた。

約60のAmazon出品者を支援するアクセラレーションエージェンシーのクランチグロース(CrunchGrowth)創業者であるフィル・マシエロ氏は、ホームテキスタイルが「非常に好調だった」と述べた。大学の新生活や自宅のアップグレードに向けて、買い物客がシーツや毛布、マットレストッパーを買いだめしたことで、売上は43%伸びたという。

また、プレミアム美容製品や電気シェーバー、キッチン家電にも、とくにブランドが通常より深い割引を提供した場合に強い需要がみられたという。

「先を見越して、この機会を活用し、必需品を買っておこうと考える人が大勢いた」とマシエロ氏は述べた。

買い物客は「買う気満々」でやってきた



約75ブランドのAmazon事業を運営するエンビジョンホライズンズ(Envision Horizons)によると、トラフィックが8%減少したにもかかわらず、コンバージョン率は前年比で19%近く上昇した。同時に、総注文数は10%増加した。閲覧する人は減ったが、Amazonの商品ページを訪れた買い物客は購入に至る可能性が高かったのだ。

コーエン氏も同様のパターンを目にした。同氏のブランドのAmazon商品ページへのトラフィックは想定より弱かった。

「例年は前年比での成長を見込んでいるが、2026年は少し物足りなかった」と同氏。しかし、訪れた買い物客は購入する可能性が高かった。

「実際に得られたトラフィックは、より高い率でコンバージョンしていた」と同氏は筆者に語った。このデータは、多くの消費者が衝動買いの品定めではなく、買い物リストを持ってプライムデーにやってきたことを示唆している。

さらにエンビジョンホライズンズによると、4日間のイベント期間中の売上の56%は、そのブランドを初めて買う買い物客ではなくリピーターによるもので、この割合は昨年から15%低下した。

言い換えれば、消費者はすでに購入しているブランドの割引を待って買いだめすることに、より集中していたようだ。

それでもプライムデーは出品者の売上を押し上げた



約100のAmazonブランドを支援するインクリメンタムデジタル(Incrementum Digital)の創業者であるリラン・ハーシュコーン氏は、クライアントの売上が直前30日間と比べて66%増加したと述べた。これは好調な数字だが、2025年の81%増には及ばない。

ハーシュコーン氏によると、セールが4日間続いたことで、買い物客はAmazonやウォルマート、ターゲット(Target)、TikTok Shopのあいだで価格を比較する時間が増え、ブランドが衝動買いを取り込むのが難しくなったという。

コーエン氏はプライムデーを「まちまちの結果だった」と表現した。アクアソニックでは、トラフィックの弱さを高いコンバージョン率が相殺し、全体の売上は会社が期待していた水準にほぼ収まった。ピュアデイリーケアのAmazon売上は「少し軟調だった」。

約200ブランドを支援するeコマースアクセラレーターのスプリーテール(Spreetail)の最高マーチャンダイジング責任者であるオーウェン・カー氏は、プライムデー期間中に2桁の売上成長を達成したと述べた。

スプリーテールでは、プールなどの夏物シーズン商品の売上が好調だった。また同氏は、米国と欧州で続く熱波が、扇風機やそのほかのアウトドア用品など一部カテゴリーの需要を後押しした可能性が高いとも述べた。

プライムデーに積極的に乗り出すブランドも



カー氏によると、同社のブランドパートナー全体でのプライムデーへの参加は2025年から30%以上増加した。同氏はその理由として、関税の不確実性が多くの出品者の最大の関心事だった1年前と比べて、プライムデーへの参加をためらう空気が薄れたことを挙げた。

しかし、一部の小規模ブランドにとって、プライムデーはより厳しい投資になったという。Amazonでキッチン用品を10年間販売してきたユージーン・ケイマン氏は、Amazonの手数料上昇を受けて、2026年はプライムデーをほぼ完全に見送った。

約15の中小規模Amazonブランドを支援するニューヨーク拠点のコンサルタント、チャド・デイビス氏は、マージンへの懸念からブランドが手を引いたことで、クライアントのプライムデー参加率が2025年から約30%減少したと推計した。

ホリデーシーズンに何を意味するのか



イーマーケターのスカイ・カナベス氏は、プライムデーとブラックフライデーが今後も異なる役割を果たし続けると予想している。同氏が筆者に語ったところによると、消費者はAmazonの夏のセールイベントを「大きな買い物」のためではなく、「すでに買っているものを買いだめする」ために利用する傾向を強めているという。

一方で、大きな買い物は、ブラックフライデーやサイバーマンデーまで待つ可能性が高いと同氏は言う。「そのときこそ最高のお得な買い物ができると、消費者は知っているからだ」。

同時にカナベス氏は、11月と12月のホリデー商戦全体の成長は減速すると予測しており、ブランドや小売業者が「赤字から抜け出し」、売上目標を達成するために従来の年末の駆け込み需要に頼ることは、よりリスクの高いものになるとみている。

同氏はこう表現した。「1年分の売上の不足を補うために必要な売上を年末に生み出そうと、そのときまで待つことは、ますますリスクの高い賭けになりつつある」。

[原文:Prime Day results suggest shoppers are saving splurges for Black Friday]

Allison Smith(翻訳、編集:藏西隆介)
Image/instagram : Amazon