記事のポイント
バケーションは、1990年代のペプシの景品キャンペーンを再現し、商品購入をノスタルジー体験へと変えるコラボ施策を展開している。
体験型マーケティングや限定グッズを通じて、製品だけでなくライフスタイルやブランドの世界観への共感を広げている。
Z世代のノスタルジー需要を取り込みながら、没入型ストーリーテリングでブランドの成長と小売展開を加速させている。


バケーション(Vacation)は、ペプシ(Pepsi)とのパートナーシップを拡大している。

レトロなマーケティングと香り付き日焼け止めで知られるこのビューティーブランドは、7月1日、アーカイブのペプシ関連グッズと、両ブランドをあしらったヴィンテージ調のバケーション&ペプシのオリジナルグッズをプレゼントするコラボレーション・キャンペーンを開始した。

90年代を再現したキャップ景品企画



参加するには、消費者はバケーションが2月にペプシと初めて発売したチェリーコーラ味のリップバームを、ターゲット(Target)、TikTok Shop、またはバケーションのeコマースサイトのいずれかで購入する必要がある。

一部のリップバームには、キャップの裏に景品グッズと引き換えできる番号が記されている。これは1990年代から2000年代初頭にかけてペプシがボトルキャップの内側に景品コードを入れて配布していたキャンペーンを彷彿とさせる。

このキャンペーンは7月から9月30日まで実施され、特別なマークの付いたキャップを持つリップバームは期間を通じて4万個以上が用意される。

2021年のローンチ以来、バケーションはパッケージデザインとマーケティングにおけるヴィンテージ調の世界観づくりで知られてきた。ペプシのキャンペーンを再現することは、リップバームを1990年代への本物の回帰のように感じさせるというブランド理念の一環だったと、バケーションのデザイン担当バイスプレジデントのロイ・フリーマン氏は語る。

「我々は常にものごとを見つめて、『どうすればこれを特別に感じさせられるか』と考えている。五感すべてに訴えることにこだわっているんだ」とフリーマン氏は言う。

「(リップバームの)パッケージデザインを練っているとき、『夏にペプシを開ける、あの瞬間を再現できたら』という発想になった。あの炭酸のシューという音を出す方法まで見つけられたなら、それもやっていただろう」

同ブランドによると、当初のペプシ・リップバームのローンチは発売から最初の3カ月で約100万ドル(約1億5000万円)の売上を生み、ターゲットとバケーションのD2Cサイトにおいて販売個数ベースで同ブランドのもっとも売れた製品となった。

体験型マーケティングへの投資を拡大



今回のペプシとのコラボレーション拡大により、バケーションは、単に製品を消費者の手に届けるだけにとどまらない体験型マーケティングへの投資を強めるほかのビューティーブランドの仲間入りを果たした。

5月には、ジ・オーディナリー(The Ordinary)がブルックリンで短期間のブランドバス路線を開始。コレス(Korres)やキールズ(Kiehl's)といったビューティーブランドは、フローズンヨーグルトチェーンのゴーグリーク(Go Greek)と両ブランドをあしらったボウルを作り、フローズンヨーグルトブームに乗った。

そしてバケーションは、6月30日にエレウォン(Erewhon)とのスムージー・コラボレーションを終えたばかりだ。

「人々をこの世界に引き込んでいるんだ。だから、それは単なる製品ではなく、いまやむしろライフスタイルになっている。手にしている製品だけでなく、その製品のトーンや、交流しているソーシャルメディアのフィードなどにも、より共感できる」とフリーマン氏は語る。

同ブランドの没入型のストーリーテリングは、投資家や小売業者を引きつけてきた。3月には、バケーションはプライベートエクイティ企業のVMGパートナーズ(VMG Partners)から7000万ドル(約105億円)の投資を受けた。

6月には、アルタ・ビューティー(Ulta Beauty)やターゲットといった小売店での取り扱いを土台に、同ブランドはセフォラ(Sephora)にも進出している。

若年層のノスタルジー需要を狙う



今回のコラボレーション拡大は、政治家候補から物議を醸すソフトウエア企業まで、あらゆるカテゴリーのブランドにとって「グッズ」の価値が高まっていることも物語っている。

アーカイブおよび新作のペプシとバケーションのグッズには、ジャケット、Tシャツ、時計、ウォーターボトルなど、さまざまなブランド製品が含まれる。

「身につけるグッズを通じて、この世界への愛を示すようなものだ。日焼け止めブランドのTシャツや帽子を人々が身につけたいと思ってくれる。それを目にできたのは素晴らしいことだった」とフリーマン氏は言う。

フリーマン氏によると、同ブランドは、このキャンペーンが、オリジナルペプシキャップ・キャンペーンの時代には居合わせていなかったかもしれない、ノスタルジー志向の若い消費者に響くことを期待しているという。

2023年のハリス・ポール(Harris Poll)の調査では、Z世代の成人の60%が、インターネット以前の時代に戻りたいと願っていることがわかった。その多くは、自分自身が実際に経験するには幼すぎたであろう時代だ。

「こうした実物のアイテムとのつながりを持つことは、我々の世界観を、そしてノスタルジーを基盤とするブランドであることを、いわば確固たるものにしてくれる。それが本物らしさを与えてくれるんだ」と彼は語った。

[原文:Vacation builds on its nostalgic Pepsi collab with a throwback summer giveaway]

Emily Jensen(翻訳、編集:藏西隆介)