「幸楽苑」と「餃子の王将」あえての“値下げ”で分かれた明暗。ラーメン1000円時代に“490円を堅持”で好調のワケ
◆値下げが導いたV字回復
幸楽苑はラーメンチェーンの中でもコロナ禍からの回復が遅れていました。2021年3月期から3期連続の営業赤字。一方、競合で日高屋を運営するハイデイ日高は2023年2月期には黒字転換を果たし、このときに6億円以上の営業利益を出しています。
値下げをした2024年3月期に3300万円の営業利益を出し、黒字転換を果たします。そしてここから怒涛のV字回復が始まるのでした。2025年3月期も営業黒字を拡大し、2026年3月期は営業利益15億1500万円となりました。この年の営業利益率は5.2%で、コロナ前の2019年3月期の4.0%を上回っています。
客単価を抑えて客数で稼ぐビジネスモデルにファミリーレストランのサイゼリヤがありますが、幸楽苑はそのビジネスモデルを踏襲して成功した数少ないラーメンチェーンの一つと言えるでしょう。
◆客数減少の課題に直面する餃子の王将
足元でやや苦戦しているのが餃子の王将ホールディングス。2026年5月の既存店客数は前年同月比で1.6%減少しました。売上は3.3%減っています。2025年度の年間客数は0.8%の減少。一方で、客単価は5.3%伸びており、売上は4.4%増加していました。
高価格帯へとシフトした店は、客数減を単価で補って成長しています。しかし、餃子の王将は2026年4月と5月の売上が2カ月連続で前年割れ。値上げで稼ぐモデルは価格改定効果が一服し、客数の減少が止まらないと売上が伸び悩む傾向にあります。餃子の王将は正にその踊り場に差し掛かっているように見えます。
高価格帯と低価格帯の2極化が進行するラーメン店ですが、どちらのカテゴリーにいるかで今後の注力ポイント変わってくるでしょう。高価格は集客、特にリピーターの獲得に力を入れるものと考えられます。
◆泥臭いオペレーションで集客力を高める狙い
餃子の王将は、客数と売上減の対策として、顧客のタイムパフォーマンスの向上を実感してもらう店舗づくりを進めるといいます。具体的には、調理工程の見直し、仕込み作業の効率化、ウェイティング時の先行注文、会計動線の見直しなどです。
これはつまり、美味しい料理を迅速に提供、顧客がストレスなく会計までをスムーズに済ませられるようにし、満足度向上を図るということ。リピーターを獲得して来店頻度を高めるためには、料理の美味しさを担保しつつ店内での体験満足度を高める必要があります。そのためには、餃子の王将のように泥臭いオペレーション改善が欠かせません。
客数減に陥った際の常套句として、マーケティング施策の強化、DX化による顧客体験の向上などという美辞麗句で、その場をやり過ごそうとするケースを稀に見かけます。結局は具体的な手を打てずに時間だけが経過してしまうこともあります。餃子の王将は正確に課題認識をし、集客力を高めようという強い意気込みも感じとることができます。
餃子の王将は客数が好調だったころ、「ぎょうざ倶楽部」という会員サービスがメディアで取り沙汰されました。しかし、今になって客数減に悩まされているのです。マーケティング施策は一定の効果はありますが、顧客体験の向上がリピーター作りの本質。餃子の王将に限らず、高価格帯へと移行したラーメンチェーンは店舗オペレーションの改善など、見えづらい領域のブラッシュアップが必要な時代に入るでしょう。
