唯一無二の“美しすぎるごみ処理場”!「大阪広域環境施設組合 舞洲工場」に潜入してきた
大阪市此花区に位置する人工島・舞洲にあるごみ焼却場「大阪広域環境施設組合 舞洲工場」(以下、舞洲工場)。大阪で暮らす人々が出すごみを焼却・破砕・リサイクルするいわゆる“ごみ処理場”なのだが、最大の特徴は、思わず二度見してしまうなんとも不思議な建築デザインだ。建築に興味がある人なら、名前くらいは知っているのではないだろうか。
【写真】「舞洲工場」のシンボルとも言える、約120メートルある煙突
芸術家のフリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサーさんが、“技術・エコロジー・芸術の融合”をコンセプトにデザインしたという同施設。実はほとんど毎日見学が行われており、予約すれば誰でも中に入ることができる。
今回は、前々から同施設に注目していたウォーカープラス編集部員が見学へ。その実態をレポートする。

知る人ぞ知る大阪の名物スポット「大阪広域環境施設組合 舞洲工場」に潜入!
■思わず目を見張るテーマパークのような建築
「舞洲工場」がある此花区は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンや、大阪・関西万博の会場だった夢洲などがあり、関西圏以外の人にとってもおなじみの場所。もしかしたらその道中などに「舞洲工場」を見つけて、「なんだあれは」と思った人もいるかもしれない。
地下鉄とバスを乗り継いで工場の前に到着した編集部員は、正直なところ「ちょっと怖い」と思った。舞洲には高層ビルがなく空が開けているため、その大きさと奇抜さに圧倒されやすい。特に印象的なのが、遠くからでも目に入るキノコのような形の長細い建物。これが、のちに「煙突」だと発覚する。

【写真】「舞洲工場」のシンボルとも言える、約120メートルある煙突
辺りを見渡してみると、遠くにもう一つ同じような建物が見えた。これも、のちに「舞洲スラッジセンター」という下水汚泥処理場であることがわかる。「舞洲工場」と同じくフンデルトヴァッサーさんが手掛けたもので、言ってしまえば“おそろい”の建築デザインだ。

「舞洲工場」と似たデザインの下水汚泥処理場「舞洲スラッジセンター」
施設の周辺はとにかく緑が多い。「開放緑地」と名付けられており、市民の憩いの場として、フンデルトヴァッサーさんが“自然との共生”をテーマに作ったものだそう。誰でも散策できる遊歩道となっている。

「開放緑地」の入り口。緑が多いため、「テーマパークなのではないか」と錯覚してしまう
■“自然との調和”を反映させた内部デザイン
「舞洲工場」の見学は、1組につき1人のスタッフが付くシステム。この日も入り口で編集部員の案内を担当するスタッフが待っていてくれたので、すんなりと中に入ることができた。
内部も、外観のユニークさに引けを取らない。最初に15分程度のDVDを観て同施設の基本情報を学ぶのだが、その道中にある廊下はトリックアートのようにぐにゃぐにゃとしている。壁も手すりもすべて波打っているのだ。これは、フンデルトヴァッサーさんの「自然界には定規で引いたような直線や、全く同じものが存在しない」という哲学から、わざと曲線で作られているのだとか。

通るだけでワクワクする廊下
その哲学は施設内のあらゆるところに反映されており、大小186本ある柱はすべてデザインが異なるという。また、外壁に大量に設置された窓も一つひとつ個性があるので、ぜひその目で確認してみてほしい。

なかにはダミーの窓もあるそうで、そのこだわりに脱帽だ
ちなみに、「開放緑地」は2・3階まで続いており、これもフンデルトヴァッサーさんの「建物を建てるときは自然を壊してしまうので、なるべく緑を植えたい」という意見から。最初はその建築美ばかり意識してしまっていたが、“自然との調和”を重んじるデザインは、ここが環境に関わる「ごみ処理場」であるということを思い出させてくれる。

自然たっぷりの「開放緑地」
■ごみと対面!巨大な「ごみピット」に驚き
DVDを観終わったあとは、「ごみピット」と呼ばれる場所の見学へ。ごみ収集車で集められた燃えるごみや、粗大ごみ破砕機で細かく砕かれた燃えるごみを一時的に溜めておくところで、多いときで一日約600台のごみ収集車がごみを運んでくるという。
なんと約1万5000立方メートルもの大きさがあり、子どもでもわかりやすく「小学校の教室約55杯分」と説明される。

社会見学など子どもが見学する際は、公式キャラクター・ポムが窓に現れて解説してくれる
ごみピットには、直径約6メートルの「ごみクレーン」があり、24時間休まずごみを撹拌・整備。それが終われば、ごみは焼却炉へと運ばれる。ごみ処理場といえば“臭い”が気になる人も多いと思うが、見学中は全くにおいを感じないのでご安心を。もちろんごみピット内は臭いもあるはずだが、空気を焼却炉に送り、極力臭いを消しているそうだ。

ごみクレーンでごみを撹拌する様子

ごみクレーンの大きさを体感できる展示
■いつもの家庭ごみが約20分の1の大きさに
次は、焼却炉の仕組みを学びに行く。その道中にも、フンデルトヴァッサーさんによるアートが飾られていたり、「舞洲工場」の歴史がわかる展示が行われていたりと、見応え抜群だ。なかでも「舞洲工場」の全体図の模型は必見。

「舞洲工場」の全体図の模型。地下2階、地上7階建てで、敷地面積は約3万3000平方メートルにもおよぶ

工場の内部の模型も見られる

フンデルトヴァッサーさんの作品。美術館のように楽しめるのもポイントだ

オーストリアにある「プルマウ温泉村」もフンデルトヴァッサーさんが設計している
「舞洲工場」の焼却炉は一日900トンものごみを焼却でき、内部の温度は900度に達するという。さすがに焼却炉の中の様子は映像のみだが、内部に階段状に設置されている火格子の実物や、完全燃焼して灰になったごみを間近で見ることができる。

焼却炉の内部のイメージを掴める展示

階段状に設置された火格子が前後に動くことで、ごみがかき混ぜられながらゆっくりと移動する
高温で完全燃焼されたごみは、大きさが約20分の1、重さが約5分の1になるのだとか。最新の技術で小さく軽くできるからといって、ごみを減らす努力は惜しんではいけないなと、あらためて思えた。

もとのごみと完全燃焼したごみの比較

跡形もなく粉々になったごみ
灰になったごみは一時的に「灰ピット」に溜められ、「灰クレーン」を使って灰搬出車に積み込まれる。最終的には埋立処分場に運ばれて処分されるのだが、埋立処分場にも限りがあるため、やはり普段から極力ごみを出さないことが大切だ。
■アートに囲まれながら「自分はどうか」を考える
そのあとは、ごみを燃やした熱を利用して電気を作る「蒸気タービン発電機」の仕組みを体感できるコーナーや、昭和10年ごろに使用されていたごみ収集車の展示などが続き、いつも出すごみがどのように収集され、どう活用されているか、捨てたあとのごみに対して考えを巡らせることができた。

ハンドルを回して電気を作るコーナー

ごみ収集車の歴史についての展示

大阪市のごみ収集車から流れる音楽の違いを楽しめるコーナー。これには「聞いたことある!」と大興奮

ごみ収集車が入場するプラットホーム。においを漏らさない工夫が施されている
最後に見学したのは、粗大ごみの破砕の様子。巨大なクレーンがマットレスやパイプ椅子などを破砕機に投入し、巨大ハンマーが付いた回転体により粗大ごみを粉々にする。

粗大ごみをつかむクレーン。ごみを落とすたびに「ドシャッ」という音が聞こえ、その重さが感じられる
粗大ごみはこの工程を経て可燃物・アルミ・鉄の3種類に選別され、可燃物はごみとして処理、金属はリサイクルへと回される。クレーンゲームのような装置を使い、選別の仕組みを簡単に表現しているので、子どもでも楽しく理解できるのがうれしいポイントだ。

ゲーム感覚で学べる粗大ごみの選別
最初は、その建築美に惹かれて見学を決めた編集部員。しかし、いざ行ってみると、頭の中は“ごみ”でいっぱいに。
大量のごみを目の当たりにし、日々自分が出しているごみを安心安全に処理してくれているごみ処理場のスタッフに、感謝の気持ちが止まらなくなった。同時に、「今よりごみを減らすにはどうすればいい?」「正しい分別法ってどうだったっけ」と考えるきっかけにもなった。
見学の所要時間は約90分と長めだが、スタッフがおもしろい話を交えながら付きっきりで案内してくれるので、「建築デザインに興味がある」「珍しい建物の中に入ってみたい」といった気軽な感覚で参加しても大丈夫。大阪観光の際は、フンデルトヴァッサーさんが生み出した“技術・エコロジー・芸術の融合”を間近で体感してみてはいかがだろうか。

記念撮影にぴったりな子ども用顔はめパネル
大阪広域環境施設組合 舞洲工場
住所:大阪市此花区北港白津1-2-48
見学実施日:月曜〜土曜(祝日・年末年始を除く)
時間:10時〜、13時〜、15時〜
所要時間:約90分
料金:無料
※申し込みは先着順。
※見学は10日前までに予約が必須。
※状況により、ほかの団体・個人と一緒に案内する場合があります。
※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。
【写真】「舞洲工場」のシンボルとも言える、約120メートルある煙突
芸術家のフリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサーさんが、“技術・エコロジー・芸術の融合”をコンセプトにデザインしたという同施設。実はほとんど毎日見学が行われており、予約すれば誰でも中に入ることができる。

■思わず目を見張るテーマパークのような建築
「舞洲工場」がある此花区は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンや、大阪・関西万博の会場だった夢洲などがあり、関西圏以外の人にとってもおなじみの場所。もしかしたらその道中などに「舞洲工場」を見つけて、「なんだあれは」と思った人もいるかもしれない。
地下鉄とバスを乗り継いで工場の前に到着した編集部員は、正直なところ「ちょっと怖い」と思った。舞洲には高層ビルがなく空が開けているため、その大きさと奇抜さに圧倒されやすい。特に印象的なのが、遠くからでも目に入るキノコのような形の長細い建物。これが、のちに「煙突」だと発覚する。

辺りを見渡してみると、遠くにもう一つ同じような建物が見えた。これも、のちに「舞洲スラッジセンター」という下水汚泥処理場であることがわかる。「舞洲工場」と同じくフンデルトヴァッサーさんが手掛けたもので、言ってしまえば“おそろい”の建築デザインだ。

施設の周辺はとにかく緑が多い。「開放緑地」と名付けられており、市民の憩いの場として、フンデルトヴァッサーさんが“自然との共生”をテーマに作ったものだそう。誰でも散策できる遊歩道となっている。

■“自然との調和”を反映させた内部デザイン
「舞洲工場」の見学は、1組につき1人のスタッフが付くシステム。この日も入り口で編集部員の案内を担当するスタッフが待っていてくれたので、すんなりと中に入ることができた。
内部も、外観のユニークさに引けを取らない。最初に15分程度のDVDを観て同施設の基本情報を学ぶのだが、その道中にある廊下はトリックアートのようにぐにゃぐにゃとしている。壁も手すりもすべて波打っているのだ。これは、フンデルトヴァッサーさんの「自然界には定規で引いたような直線や、全く同じものが存在しない」という哲学から、わざと曲線で作られているのだとか。

その哲学は施設内のあらゆるところに反映されており、大小186本ある柱はすべてデザインが異なるという。また、外壁に大量に設置された窓も一つひとつ個性があるので、ぜひその目で確認してみてほしい。

ちなみに、「開放緑地」は2・3階まで続いており、これもフンデルトヴァッサーさんの「建物を建てるときは自然を壊してしまうので、なるべく緑を植えたい」という意見から。最初はその建築美ばかり意識してしまっていたが、“自然との調和”を重んじるデザインは、ここが環境に関わる「ごみ処理場」であるということを思い出させてくれる。

■ごみと対面!巨大な「ごみピット」に驚き
DVDを観終わったあとは、「ごみピット」と呼ばれる場所の見学へ。ごみ収集車で集められた燃えるごみや、粗大ごみ破砕機で細かく砕かれた燃えるごみを一時的に溜めておくところで、多いときで一日約600台のごみ収集車がごみを運んでくるという。
なんと約1万5000立方メートルもの大きさがあり、子どもでもわかりやすく「小学校の教室約55杯分」と説明される。

ごみピットには、直径約6メートルの「ごみクレーン」があり、24時間休まずごみを撹拌・整備。それが終われば、ごみは焼却炉へと運ばれる。ごみ処理場といえば“臭い”が気になる人も多いと思うが、見学中は全くにおいを感じないのでご安心を。もちろんごみピット内は臭いもあるはずだが、空気を焼却炉に送り、極力臭いを消しているそうだ。


■いつもの家庭ごみが約20分の1の大きさに
次は、焼却炉の仕組みを学びに行く。その道中にも、フンデルトヴァッサーさんによるアートが飾られていたり、「舞洲工場」の歴史がわかる展示が行われていたりと、見応え抜群だ。なかでも「舞洲工場」の全体図の模型は必見。




「舞洲工場」の焼却炉は一日900トンものごみを焼却でき、内部の温度は900度に達するという。さすがに焼却炉の中の様子は映像のみだが、内部に階段状に設置されている火格子の実物や、完全燃焼して灰になったごみを間近で見ることができる。


高温で完全燃焼されたごみは、大きさが約20分の1、重さが約5分の1になるのだとか。最新の技術で小さく軽くできるからといって、ごみを減らす努力は惜しんではいけないなと、あらためて思えた。


灰になったごみは一時的に「灰ピット」に溜められ、「灰クレーン」を使って灰搬出車に積み込まれる。最終的には埋立処分場に運ばれて処分されるのだが、埋立処分場にも限りがあるため、やはり普段から極力ごみを出さないことが大切だ。
■アートに囲まれながら「自分はどうか」を考える
そのあとは、ごみを燃やした熱を利用して電気を作る「蒸気タービン発電機」の仕組みを体感できるコーナーや、昭和10年ごろに使用されていたごみ収集車の展示などが続き、いつも出すごみがどのように収集され、どう活用されているか、捨てたあとのごみに対して考えを巡らせることができた。




最後に見学したのは、粗大ごみの破砕の様子。巨大なクレーンがマットレスやパイプ椅子などを破砕機に投入し、巨大ハンマーが付いた回転体により粗大ごみを粉々にする。

粗大ごみはこの工程を経て可燃物・アルミ・鉄の3種類に選別され、可燃物はごみとして処理、金属はリサイクルへと回される。クレーンゲームのような装置を使い、選別の仕組みを簡単に表現しているので、子どもでも楽しく理解できるのがうれしいポイントだ。

最初は、その建築美に惹かれて見学を決めた編集部員。しかし、いざ行ってみると、頭の中は“ごみ”でいっぱいに。
大量のごみを目の当たりにし、日々自分が出しているごみを安心安全に処理してくれているごみ処理場のスタッフに、感謝の気持ちが止まらなくなった。同時に、「今よりごみを減らすにはどうすればいい?」「正しい分別法ってどうだったっけ」と考えるきっかけにもなった。
見学の所要時間は約90分と長めだが、スタッフがおもしろい話を交えながら付きっきりで案内してくれるので、「建築デザインに興味がある」「珍しい建物の中に入ってみたい」といった気軽な感覚で参加しても大丈夫。大阪観光の際は、フンデルトヴァッサーさんが生み出した“技術・エコロジー・芸術の融合”を間近で体感してみてはいかがだろうか。

大阪広域環境施設組合 舞洲工場
住所:大阪市此花区北港白津1-2-48
見学実施日:月曜〜土曜(祝日・年末年始を除く)
時間:10時〜、13時〜、15時〜
所要時間:約90分
料金:無料
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