海賊版サイトの著作権侵害を止めるために、権利者はインターネットサービスプロバイダー(ISP)に対してIPアドレスやドメインに基づいてアクセス遮断を求めるなどしていますが、プロサッカーリーグが試合の違法視聴をブロックしたことで数百万もの無害なサイトが巻き添えになった事例のように、海賊版対策が大きな問題につながることもあります。ヨーロッパのISPを代表する団体がEUの欧州委員会に対し、サイト遮断命令により過剰な遮断が発生した場合に、遮断を要求した権利保有者に直接的な責任を問うように求めています。

European ISPs Want Rightsholders Held Accountable for Overblocking Damage * TorrentFreak

https://torrentfreak.com/european-isps-want-rightsholders-held-accountable-for-overblocking-damage/

イタリアの「海賊版対策シールド」と呼ばれるブロック体制がブロック対象を広げすぎたため、イタリア国内でGoogleドライブや複数の学校サイト、通信会社、チケットサービスなどがアクセス不可になった事例が2024年に発生しています。

著作権侵害対策のドメインブロックのミスでGoogleドライブが12時間以上使えなくなる事態が発生 - GIGAZINE



また、2025年にはスペインのプロサッカーリーグ「ラ・リーガ」がISPに対して違法視聴のブロックを求めた結果、CloudflareのIPアドレス全体をブロックしてしまい多数の巻き添えが発生しました。

サッカーの海賊版サイトをブロックしたことで何百万もの無害なサイトが被害を受けてしまう事例がスペインで発生 - GIGAZINE



そこで3300社以上のヨーロッパのISPを代表するEuroISPAは2025年6月に、欧州委員会に対し「一部のヨーロッパの権利保有者および特定の加盟国が、『不均衡なネットワーク遮断措置』を実施していることに、我々は深く懸念を抱いている」と警告を送りました。EuroISPAによると、過剰なブロッキング事件が繰り返し発生しているにもかかわらず、一部のEU加盟国は依然として「攻撃的なブロッキング」の取り組みを強化し続けていたそうです。



さらにEuroISPAは、EU関連の政策を研究する主要な独立系シンクタンクである「欧州政策研究センター(CEPS)」が2026年4月に発表した「ウェブサイト遮断法制のメリットとコスト:経済的、法的、政策的評価」という報告書の評価に関する提出書類の中で、改めて「一部の国における著作権侵害阻止の風潮がますます過激化している」と指摘しました。

EuroISPAによると、近年のサイト遮断命令はDNSリゾルバやVPNプロバイダーなど、ISP以外の仲介業者にも拡大しているとのこと。これらのサービスは侵害コンテンツと直接的なつながりがなく、地域を限定したブロックを実施するための技術的手段も持ち合わせていないことが多いため、そのため、近年相次いでいる過剰遮断の事例と合わせ、大きな問題になっているとEuroISPAは主張しています。

EuroISPAはまた、「過剰遮断事件を引き起こした権利者が損害に対して責任を負うべき」とも提言しています。

そのほか、サービス提供者が短時間で遮断措置を実施することを求める「迅速な遮断要件」にもEuroISPAは反対しました。迅速な遮断要件ではプロバイダーは30分以内に対応しなければならないため、小規模企業にとっては問題となる可能性があると指摘されています。

記事作成時点では、欧州委員会の報告書を踏まえた制度の見直しが続いており、EuroISPAの提案に対してどう対応するかは不明です。