2026-27シーズンからシニアに移行する島田麻央 photo by Sunao Noto / Dreams on Ice 2026

 昨季の国際スケート連盟主催の選手権大会に出場した選手などが、観客の前で新シーズンへ向けたプログラムを披露する『ドリーム・オン・アイス2026』(6月26日〜28日)。計4公演で行なわれたアイスショーは、昨年に続いて6分間練習を含む試合形式で行なわれた。選手たちも緊張に包まれるなか、昨季はジュニアGPファイナルおよび世界ジュニア選手権で4連覇を達成し、今季からシニアに移行する島田麻央(木下グループ)はSPの新プログラム『Between Two Worlds』を披露した。

 音楽グループMiliの楽曲。島田はそのプログラムを「テーマはフェニックスをイメージした再生。ジュニアからシニアに上がって羽ばたいていく気持ちを表現したいと思っています。終盤のステップシークエンスがとてもお気に入りなので、そこが見どころになればいいなと思います」と説明した。

 昨季までジュニアでともに戦ってきたチームメイトの岡万佑子(木下アカデミー・世界ジュニア3位)や、岡田芽依(木下アカデミー・世界ジュニア出場、ジュニアGPファイナル3位)らと同じ女子シングル第1グループに登場。

「昨シーズンなどに村元哉中さんが振り付けたプログラムを見て、どれもすごく素敵だなって思ったので、私から振り付けをお願いしました」というプログラムだ。緩やかな曲調に祈りを込めたような歌声で、再生への目覚めを語り始める曲。島田はその思いを体の中に浸み込ませたような振り付けで静かに滑り出すと、最初はトリプルアクセルに挑んだ。初日の公演ではパンクしてシングルになったが、2日目の第2回公演では軽い感じのジャンプで成功。第3、第4公演では転倒となったがすべての演技で挑戦した。

 それでも初日公演の後に、「新プログラムで初めて試合形式で入れたトリプルアクセルは失敗してしまったけど、その後は失敗を引きずらずに最後までミスなく終われたのはよかった。すごく緊張していたけど初めてのお披露目にしては踊りきれたのかなと思うので、そこはよかったのではないかなと思います」と話していたように、それ以降はすべての公演をノーミスで滑りきり、安定感も発揮した。

 伸びのある滑りで3回転フリップを跳ぶと、後半の3回転ルッツ+3回転トーループも安定。見どころにしたいと話していたステップシークエンスはこれまでとはひと味違うような力強さも感じさせる滑りで、再生への期待を歌い上げるかのような感情表現も見えてくる。そして終盤のレイバックスピンとチェンジフットコンビネーションスピンは、彼女のもうひとつの見せ場でもあるスピード感あふれる滑りを見せる。

「ジュニアの時は『ジャンプをしっかり跳ばなければ』ということばかりに意識がいっていたけど、私の強みはスピンでもあるので‥‥。これからはもっともっと全体的なスピード感や表現というのも強みにしていきたいなと思っているので、シニアではそこも見せていきたいなと思います」

 こう話すように、今季からのルール改正はフリーではジャンプがこれまでの7本から6本になったのが大きな変更点だが、それとともにスピンやステップの基礎点がこれまでより高くなっている。そこをしっかり最高レベルの4にしてGOE加点をより多く稼ぐことも重要になってくる。

 その点では島田は、以前「小さい頃に先生にスピンの練習をメチャクチャさせられて。本当に気持ち悪くなるくらいまで回っていたので、今になってそれがすごくよかったと思います」と話していたように、これからはスピンを得点アップの武器にできるという強みも持てるようになる。

 またフリーでも新たな挑戦をしている。新プログラムはクリストファー・ティンの『Waloyo Yamoni』で、振り付けはSPで初めてタッグを組んだ村元哉中氏に続き、シェイ=リーン・ボーン氏とも初めてタッグを組んだ。「シェイ=リーンさんは元々自分もやってみたいなと思っていましたし、先生からも『やってみてもらったら?』と言ってもらえたのでお願いしました。振り付けをしている時も自分がやりやすいような音を選んでもらえて、すごく滑りやすいプログラムになっていると思います」と島田は話す。 

 これは雨を祝う祈りの曲。「雨乞いの曲なので、雨が降ったらすごい自然が育っていくという、自然の素晴らしさを自分の体で表現できたらいいなと思っています」という。

シェイ=リーンは、羽生結弦も「いろいろ勉強して、深いところまで考えてプログラムを作ってくれる」と信頼していた振り付け師だ。そんな彼女が作り出す精神世界と自然との融合を、18歳になる島田がどのように演じてくれるかという期待も膨らむ。 

 昨季はケガもあったが、ジュニア無敗というなかでは練習中に「次でもし負けたら連勝が止まってしまう」と考えることもあったとも話していた。常に勝利を求められるプレッシャーも大きかった。だが新しいシーズンは、これまで4年間に背負い続けていたプレッシャーから解放される時でもある。GPシリーズは第2戦のカナダ大会がデビュー戦で、2試合目のフィンランド大会では五輪女王のアリサ・リウ(アメリカ)との対戦が待っている。再び挑戦者として臨める彼女が、シニアの世界にどんな新風を吹き込んでくれるかと期待は高まる。